2002/11/12

第7号

 解雇ルールの労働基準法への法律明文化への政府の意図はどこに???
 民間の現状はこうだ……。整理解雇の四要件(経営悪化、解雇回避努
 力、公平解雇、説明納得性)を満たすより、民事再生の方が簡単であ
 る。期間契約雇用者が四年目の雇用に突入すると60歳まで雇ったこと
 になるのだが、三年も雇う予定が立たないのが現実である。コミュニ
 ティユニオン(合同労組)でトラブった場合、パートで100万円、社員
 で300万円ほどの解決金が必要である。地位保全の裁判を起こされると
 70万円持って専門の弁護士事務所に会社が駆け込まなければならない。
 着手金が50万円の弁護士は敗訴の覚悟が要る。労働者側弁護士は、東
 大や京大の学生現役司法試験パス組の宝庫であり、事情による10万円
 着手金後払いはザラである。解雇を撤回して組合員がひとりでも残る
 と団体交渉でプロを相手にすることになる。労働組合には刑事免責、
 民事免責をフルに使った行動が出来るので会社には「無視の仕様」が
 無い。労組に、たいがいの事をされても監督署、安定所、警察でも結
 局は手は出さないことになっている。…これが現実。
 昔々の労働省には企業育成の発想があったが、今は「事なかれ主義の
 官僚統制」で民間を子ども扱いしているとしか見えない! 希望退職
 を募り3年分の年収を退職金に上乗せして10年分の人件費を払わなけ
 れば7年分お得なんてな単純発想は今では通用しない。
 事業の柱と会社の石垣は築くのには何十年もかかる。

 労働力の切り替えが進んでいる。二つの流れがある。ひとつは、パー
 トや業務請負。二つ目は最近芽が出始めた個人請負(委託)とかSOHO
 である。個人請負は契約の名称に関係なく指揮命令、専属性、時間管
 理の順で労働者かどうかの判定を下される。現に条件付出来高性労働
 契約は存在している。SOHOはスモールオフィス・ホームオフィスとい
 ってるが、昔ながらの内職そのもの。専門職業のプロは「事務所」を
 開く。実態把握は必要だが研究は既に終結している。厚生労働省は家
 内労働実態調査として発表している。所得は労働に対する工賃なので
 ある。世界に目を向けてみると、個人請負と家内労働(SOHO)はILO
 (国際労働機関)で10年も前から討論されている事項であり、今にな
 って注目される背景には、日本での労働力調達と労働の工程管理の後
 進性によるものがある。

 イラク戦争で景気はどうなる?… イスラムの文化・社会・経済への
 進出が出来なかったアメリカが貿易や資本進出したいだけのこと。と
 冷静に見てみれば何がどうなっているのか良くわかる。その点、今の
 日本は経済進出し放題である。13億人ほどのイスラム地域への「アメ
 リカ経済進出の岐路」ではあるが、アメリカを先頭に先進国と言われ
 る国でイスラム教が激増している事実は見逃せない。

 来年の日本経済の行方… 政府は産業育成再生ともに対策をしないよ
 うだ。内需拡大もしない。この政策を専門的には新古典学派というが、
 実は100年前の幼稚な理屈そのもの。経済恐慌は金融に及びそうな一触
 即発。三月は年度のしわ寄せが出てくるので経済危機がくる。六月の
 危機はとても厳しい。健康保険、雇用保険、年金、介護保険などなど
 個人消費減少で直撃。その額は四兆円弱となる。今の経済力だと、97
 年橋本消費税5%のときの3兆円個人消費ダウンの際の、数倍の経済
 不安を生む。これは会社の売上を激減させる。
 ことあるごとに、多くの年寄りや年金生活者は「私たちを政府が見捨
 てることは無い」と発言する。「子供たちはかわいそう」と言う。こ
 れだけ口を揃えて言うのには、戦前からの人生経験がそうさせるのか
 もしれない。「国破れて破れて、財務省あり!」なのだ。

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