2007/05/08

第61号

グローバル経済のインテリジェンス
日本の経済や社会のあり方をめぐって、個別企業の経営のあり方や総務部門の企画内容が揺れ動いている。そこへ、憲法論議も加わり混迷は度をましている。そこで、日頃、マスコミには登場しない、きわめて重要なインテリジェンスを提供する。

東南アジア経済圏の通貨統合をめぐる条件は、ユーロが導入された場合と比べ、今や整っていると言われている。
ところが、日本は東南アジア友好条約(TAC)をめぐっての憲法第九条論議が急浮上したものだから、東南アジアから日本は孤立化するかもしれない岐路に立たされた。日本の水先案内を必要とするアメリカ(ASEAN諸国はアメリカが大嫌い)は東南アジア経済圏からアメリカが追い出されることを恐れ、日本政府に徹底的な政治的圧力を加えているとのことだ。この事態には日本の経済界は、こぞって気が動転! また、日本経済の中国進出は、きわめて不安定要素を含んでいることから日本政府は、アメリカが中国内陸部経済に食い込む作戦を進めているなかで、その2番手として進出することも視野に入れ出した。
この春、日本経済は将来の経済市場をめぐって、きわめて微妙な立場に陥ってしまった。今現在、個別企業の総務部門といえども、グローバル経済社会のなか、自社製品の売り先に気が気ではないのだ。

北朝鮮の経済は、多くの日本マスコミの報道にかかわらず、概ね市場経済への転換を図り、回復を歩んでいるとの情報だ。現地や北朝鮮周辺からの直接取材は、多くの日本の新聞やテレビとは、まるで大違いだ。
電力は、日本と比べれば貧弱なものだが、着実に電力供給は増加しており、北朝鮮庶民は喜んでいるという。飢えている人々の絶対量は減少しているとの情報。反北朝鮮の韓国人大学教授も、北朝鮮の食糧事情は豊作と評価しており、援助を引き出すため、北朝鮮政府はサバを読んで発表しているとのこと。
船舶、トラック、長距離バス(最近、外資系が運行)などは、必要な支払いを差し引いた残りの利益の一部を国家に納入さえすれば、相当自由に運営ができるとのレポートが、北朝鮮の政府外から報告されているとのこと。北朝鮮の現職教員が家庭教師に励み、欠勤したとしても党幹部は黙殺。北朝鮮の富裕層は家政婦を自由に雇うことができる。平壌で、ベンツを乗り回して「消費者金融?」を営む者も出現、との在日朝鮮人の目撃者も現れた。
極めつけ情報はこれだ。
今年の正月前、中国の丹東(一説に北朝鮮対外貿易の8割が集中と言われる)トラック・ヤードには、北朝鮮では贅沢品のバナナ、メロン、スイカが大量に積まれていた。この丹東こそ、テレビでお馴染みの中国から北朝鮮へ向けてのトラック輸送の基地である。で、外国人カメラマンの撮影が見つかれば中国公安に逮捕・没収されている。日本政府が北朝鮮経済封鎖と叫んでいる真っ最中に、中国政府は極秘裏に中朝貿易を拡大させ、中国外交もこれを認めているとのこと。アメリカや日本を排除した交易ルート(韓国もこのルートに乗っていることは間違いない)が確立されつつあり、グローバル経済とは何かについての実態が、よく現われているのだ。


さて、話が国内に。その昔、
大阪を中心として、大和銀行が活躍していた。大和はメガバンクへの再編に向けて、まっさきに巻き込まれた銀行。1996年夏に大和銀行の危機が、信頼できる消息筋から流れていたが、その時、当の大和銀行支店単位では将来に向けての夢が有力顧客に語られ、有力顧客向けの会合まで行われていたそうだ。その年の9月22日からの連休に、大和銀行から、事実上地方銀行への転落を認める記者会見が行われた。その衝撃後、全国の中でも落とし穴のように大阪の経済が落ち込んだのは、この大和銀行の融資が継続されなかったことによる痛手が大きいのだ。すなわち、新規事業を起こそうにも、関西経済ことだからアイディアと企画はでき上がるのだが、資金繰りの段取りがつかないといったことになってしまったのだ。

日本は、今から3年から5年の間にわたって、優良中堅企業などからの、メガバンクなどの貸し付け資金の回収が始まる。これは、つい数年前の「不良債権処理」の3倍以上の規模が想定されている。この貸し付け資金回収は、かつての大和銀行で大阪で優良中堅中小企業が次々とダメージを受けたような影響も含め、図られるとみて良いのだ。あなたの企業のメインバンクはいずれの銀行なのか? メガバンクとは、三菱東京UFJ、三井住友、みずほ、加えて地銀上位の広島銀行、静岡銀行、七十七銀行(仙台市)なども含めて考えておく必要がある。小零細事業では、消費者ローンが事業資金となっている現状からすれば、個別企業の血液である資金供給環境の激変が到来することになる。

メガバンクの貸し付け資金回収の根拠は、ひとえに、5%以上の金利が見込めないので、メガバンクなどが投資先を変更するだけのことである。時を同じくして、財政赤字のアメリカ政府は、将来にわたり利息5%以上の国債を売り出し中である。もう少しメガバンクの言い分から解説するならば、5%以上の金利が払えないような、非効率的な経営、将来性のない経営の企業が、資金回収の対象になるということだ。
緊急避難の対抗策として、「メガバンクの担保を捨て、資金は借りっぱなし。同時に地銀や信金からの借入」といった方法がある。緊急避難であるから、公序良俗・社会正義の側面から認められることは間違いない。緊急避難の悪用は許されないので、グローバル社会における優良中堅中小企業の克服課題は次のとおりとなる。
☆高付加価値製品の生産性向上
☆高水準サービスの開発体制
☆労働力効率化による販売流通をはじめとした業務改善
☆労働意欲向上施策で上記三つの恒常的体制づくり
などが求められることになるのだ。
政府・金融庁は、高度経済成長政策の内側には大手企業の放漫経営改革が存在したように、今回の貸し付け資金回収の内側政策には、中小中堅企業が体質を一挙に強化させるために、
・子育て期間だとしても有能な女性労働力を確保しておくとか、
・熟練技能労働者にIT・ソフト開発手法の技能をつけさせるとか、
・TWI訓練やPlan・Do・Check方式を非正規労働者に導入するとか、
さまざまな業務改革を進める必要があるとしているようだ。
もっとも、衣・食・住などに関わる産業は壊滅することはないことは確かだ。が、個別企業は身売り(吸収合併・買収)や倒産をするかもしれない。そこには、中小企業の景気回復の「白昼夢」を見ているどころではなく、具体的に改革を完成させてしまわなければならない必要性があるのだ。

経済変動による人事労務分野の摩擦が避けられないときに、ここが肝心なのだが、人員削減整理解雇、退職金などの削減、その他労働条件変更を、従業員に対し無理を通してトラブルを誘発させないように、和解や調停で収めることが、リスク管理としては極めて重要なのだ。
仮に、法的問題となっても、「手続主義の法パラダイム」がクリアされていなければ、訴訟となったとき、企業側は多大な損害賠償が必要となる。まして、労使衝突による不信感と、その後の労働意欲激減は、個別企業の将来に向けての致命傷となる。その理由は、もはや中小企業といえども日本国内市場は、先ほどから述べているグローバル経済の荒波にさらされているからだ。


社会保障のアンフェアトリートメント(不公正な取り扱い)
政管健保に比べて、健康保険組合の給付条件は劣悪といっても過言ではない。扶養家族の届け出や出産給付に対して、様々な添付書類の提出が完了するまで引き伸ばされるなどの制限を加えているような実態は以前からあった。それが、ここ最近は医師の処方する投薬についても規制をしてきている。ある胃腸薬は胃かいようであれば3日分、胃炎であれば1日分。同じ薬でも、気管支炎なら10日、それ以前の傷病名なら5日といった具合だ。患者の容体は無視することになっている。多くの健保組合は、容体=病名との医療界では考えられない理屈を押し付け、医療機関への診療報酬支払を問答無用で一方的にカットして来るとのことだ。
そもそも健康保険は、生命保険とは異なり、「いくつかの、病名の1つの病気に対して給付する」といったものではなく、病名に関係なく健康回復の最終手段としての包括保険なのである。政管健保や国民健康保険は、その精神を今でも貫いている。
従来から、ある健保組合は、「老人保健負担金が大きい」というような理由を説明するようだが、それとてよく考えてみれば、道理の無い言い訳でもって、給付を渋っているだけにすぎない。
最近の事案では、社外からの余分な収入があるとして、常勤取締役の健保組合加入を妨害する始末で、厚生年金加入手続きを済ませた社会保険事務所職員からの説得によって、渋々、健保加入を認めたという事件もあった。このような状況に対しても、厚生労働省や都道府県社会保険事務局に健保組合への指導権限はないのである。
その昔は、健保組合加入の事業所といえば、保険料の会社負担が多いなど、「好待遇」と言われた時代もあったが、今や、不公正な取り扱いの被害事業所そのものとなっているのだ。
これはあまり知られていない話なのだが、1960年前後、岸総理大臣の政権のもと、財政赤字を招くことを覚悟してまでの国民皆保険・国民皆年金の制度が整備された。加えて、最低賃金法を成立させ、失業対策事業が担っていた最低水準(職安が日額240円の失対賃金を支給したことが、「にこよん」の語源)確保の制度を、民間企業にまで広めた。こんどは、その孫が、「戦後レジームからの脱却?」と称して、祖父の功績の幕引きを行おうとしているのは、結構皮肉な話だ。


改正パート労働法案が19日の衆院本会議で与党の賛成多数で可決、国会で成立する見通しとなった。いろいろな批判が集中しているのだが、よくよく分析をする必要がある。一時期マスコミが話題とした、格差社会解消の一環といったメディアの刷り込みが、頭の片隅に働いてしまっていると、どうしてこんな法律条文が、何を言おうとしているのか理解することは出来ない。
端的にいえば、今回の改正は、いわゆる「短時間正社員」といわれる人たちの労働条件を正社員と同様の待遇にまで引き上げることによって、フルタイムorパートタイムにこだわることなく、正社員としての有能な労働力を確保させようとする基盤政策と見れば、政府の法改正の狙いを合理的に理解できるのである。
政策理念担当者は
採用する側からすれば、朝から晩まで体力勝負で働く者ばかりを採用しなくてもより社会づくり、になるはずだと言い
朝から晩までフルタイムで働くばかりが脳ではないと言い
強いていえば、短時間で有能な労働力を発揮してくれる正社員の生産性に期待しよう、と言いたいようだ。
加えて、ここにも、雇用機会均等法と同様に、紛争が生じたときには調停制度が設けられており、参加を拒否すればペナルティーをかけることとなっている。

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