2022/06/07

第242号:経済経営の学術的成功の原点

<コンテンツ>
国際経済、次代の事業経営、個別経営と能力人物育成
  ___日本経済、今どんな状況に?___
         (事業経営・事業開発の重要視点)

  ___COVID-19感染、冷静に把握して失敗しない___
  ___株式投資で、一般国民を貧困に陥れるカラクリ___
  ___ウクライナ戦争・対ロシア経済制裁の本質は___
   グローバル経済圏>:対決:<資源本位制の資源国圏

今や、経済システムの崩壊・機能不全、その時こそ成功の原点を振り返る
       アダム・スミスの指し示す、成功の原点】
似而非(えせ)経済学との比較表と解説①項~⑧項
経済学の父:アダム・スミスと、似而非(えせ)の経済学比較表

【新しい経済社会で役立つ、本の拾い読み 20220607】
 ①『アダム・スミス 共感の経済学』早川書房
 ②『ソ連を崩壊させた男、エリツィン』下斗米伸夫(著)


§国際経済、次代の事業経営、個別経営と能力人物育成
いわゆる表現の自由度、その日本の順位は71位となった。
10数年前は17位であった。「まさかあの国より低いなんて」、と多くの日本人が驚くほどに、過去のアジア発展途上国よりも、日本の表現の自由度は下位に転落しているのである。そのことに気づかない、乃至は無関心といった恐ろしい世間の現象、これこそが、経済学の父=アダム・スミスの言う、
先ずは、商業を推し進めること。その後に富と自由をもたらす」、との本質なのだ。
今ここで、このメルマガの役割、「マスコミの気づかない経営や経済のインテリジェンス情報」を、典型的なインテリジェンスIntelligenceの体裁でもって、今月号は提供することと した。
要するに、自由市場や資本主義の足を引っ張るなとの“戒め”である。
___グローバル経済崩壊の節目は変わった。日本も節目の転換だ。
そこで、経済学の父アダム・スミスの説いた「経済発展の法則」主なものを挙げる。傾向と対策といった、“蟻地獄発想”からの脱出なのだ。
これとは対照的な、新自由主義者と評される=、18世紀までの重商主義(日本で例えれば、テレビ番組でおなじみの「越後屋とお代官様の関係」のイメージ)とを比較してみた。


___日本経済、今どんな状況に?___
  (事業経営・事業開発の重要視点)

現状日本政府の経済政策は、後に述べる、現代重商主義となっている。
そもそも重商主義とは、人類史において貿易などを通じて貴金属や貨幣などを蓄積することにより、国富を増やすことを目指す経済思想や経済政策の総称だ。自由市場や資本主義よりも前の経済政策だ。
それが現代日本では、大手輸出入業者と経産省が一体となって、投機市場その他での、闇での扱いを追い求め(そもそも重商主義は市場が嫌い)、競争入札は嫌いであり、暗闇で縁故発注を続けているわけだ。
小麦などの食料品や原材料、石油その他のエネルギーといった、国家規模で安定させるとの名目を唱えながら、実のところ江戸幕府並みの民間企業そのものである。例えば、ガソリン価格の高騰=ガソリン税の徴収の、停止や延期を行えば、ダイレクトに国民生活を援助することになるところ、にもかかわらずだ。
さらに、海外輸出業者には消費税の還元制度があって、輸出をした場合に輸出業者は、下請けとか仕入れ業者の支払った消費税の税額部分までもが、その輸出業者に、丸ごと“消費税10%還元”との形で管轄の税務署から還付されるわけだ。輸出額の10%現金は、とっても使い道がある。(ナチス・ドイツは、輸出額還元制度で輸出業者からまた違った政治献金を集めていた)。
重商主義には、簡単には目に見えない隠れたコストがかかっている。
だから、アダム・スミスは、その時代、「起業とは、隠れたコストを発見すること」とも指摘している。同じく彼の言葉を借りれば、「商業を推し進めることが、その後に、富と自由をもたらす」とも言っている。すなわち、今の日本の経済政策は、“商品を自由に交換させる商業”に力点を置いているとは言い難い。
ところで、日本国内の“新自由主義者と評される輩は”、日本の“現代重商主義者”と比べると、極めて能力が劣っている。だから彼らは、行政機関に巣食って、リストラと称して“単純なコストカット”をし、それを食い荒らすor利権の蜜を吸う程度のことしかできない状況なのだ。
よって、現在日本の現局面を転落させているのは、その大半が重商主義者とその傘下に広がる同類の縁故資本主義の信奉者なのである。くどいようだが、経済を崩壊させる本命は、現代重商主義者である。これを新自由主義者だと錯誤すると、事業経営や事業開発の焦点を見誤ってしまう。
__なお、現代重商主義者の研究とか詳細な裏付け証拠は、そのうち有能な学者のみなさんが研究整理をしてくれる。ただ、そういった研究を待っていては、経営者にとっては“時すでに遅し”となる、それは、歴史の常識(皆がやっていたこと)でもあるのだ。

___COVID-19感染、冷静に把握して失敗しない___
今や、誰もが報道や政府発表の信憑性を疑い、少なからずの人たちは、“正確で有効な重症化防止方法”を心得つつある。ワクチンに対しても、接種目的の虚偽説明、効果信憑性の疑い、保健より暴利目的のワクチン政策の姿などが露になり、ワクチンの多くの在庫や廃棄となっている。
検査不十分と医療体制不作為(やらなければならないことを、実行していない実態)が原因して、感染者と重症や死亡者が抑えられていなかった過去の経緯がハッキリしてきた。それが、各々の自治体での感染や重症・死亡の差となっている。
ちなみに、重症化防止のサプリ=グルタチオンといった超安価な酸化中和物質は、いまだに生産が追いつかないようで、世界中で品切れ状態だ。2年ほど前に、中国武漢においてCOVID-19ウイルスが漏えいすることとなった原因も、出所や原因の的が絞られつつある。もちろんこれらは、すべて“世に言う陰謀論”ではない、科学的かつ根拠のある報道として広がりつつあるのだ。サル痘の漏えいは、ナイジェリアの生物研究所(アメリカ関与の疑い)とのことだ。

___株式投資で、一般国民を貧困に陥れるカラクリ___
米国株式相場は下落する基調にもかかわらず、日本の株式相場はそこまで落ちていない。
ところが一方巷では、銀行を初めとして強力なNISAの販売促進を行っている。ことに販売促進の対象者は、資産形成とか経験のない壮年若年と女性に集中している。円安とか諸口実による“買い占め&売り惜しみ”によって派生する消費財物価の値上がりを背景に、不安を煽っているのである。マスコミの流す、断片的な物価上昇の報道によって、そもそも原因や根拠そして内容を明らかにされないことから、無知な人は不安に陥れられているのである。YouTubeも然り、闇雲に世間の話題と非科学水準に合わせれば、視聴者数も伸びることから、マスコミに右へ倣え或いは、空虚な刺激的表現に、内容の多くは走るのである。
すなわち、日本の財務官僚らは、「国民の金融投資への意欲」を表明して、消費者庁初め金融商品の「買い求めへの注意喚起」を行っていない。ことに、資産の市場マーケットは特殊な世界であり、消費財の一般市場マーケットとは大きく中身も感覚も異なることすら説明をさける。そこでは、次に述べる景気対策もだが、国庫&財政の不良債権の解決が本命のようだ。すなわち、日銀の大手企業株の買い支え国債とか、年金資金の株式への投資といった、国や日銀の保有する“焦げ付き不良債権”だ。この買い手のない金融商品を、“一億人=国民に買い取ってもらおう”との目論見のようだ。
NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
彼らは、夏の参議院選挙にかけて、どんなことがあっても日本の株価を暴落させるわけにはいかないとする。
その後のシナリオとして、「機関投資家が、壮年若年と女性に集中して、NISAに向けて、現有持ち株を売り逃げ」をする。その後に財務官僚らは、安心して経済原則に基づく自然な株価暴落を待ち、その後長期の安定期に導くという目論見が予見される。
日銀が株価を買い支えている以上、米国株の値下がりや、米国の金利上昇、加えてウクライナへの経済制裁による制裁側の損失などが、さらには“アメリカを筆頭とするグローバル経済なるもの”の経済崩壊を促進するといった、その後の推移を予想すれば、日本の株価暴落の予見も否めないのである。

___ウクライナ戦争・対ロシア制裁の本質は___
グローバル経済圏>:対決:<資源本位制の資源国圏

その本質にこそ、ソ連その他東側諸国の崩壊に端を発する、その後の略奪だ。
それはグローバル経済圏といった表向きの経済システム(サプライチェーンなど)の話とは裏腹に、“軍事力とか武装でもって人命や暮らしと引き換え”、といった非経済外的策略による、資源などの争奪戦に原因があるのだ。それで全てが解る。
そこでは、18世紀並の重商主義のごとく、“取引の規制&略奪を伴う交易”が進められたというわけだ。「ソ連崩壊・東西冷戦終結」の掛け声が30年ほど前、その火蓋を切った。石油、天然ガス、ウラン鉱石、ダイヤモンド、金鉱石といった資源(そのほとんどが投機市場の対象)が、世界各地の政変紛争の陰で焦点となっていた。
ウクライナの場合も、ほぼ30数年前のソ連の崩壊で、ここが直ちに資源・資産の取り合いばかりか、ウクライナ東部集中の工業地帯、ソ連軍130万人、ソ連海軍の黒海艦隊などをめぐって、__ロシア共和国(エリツィン→プーチン)と関係国らと
“>対決<”米国やNATOとの間での、陰陽裏表の争奪の歴史__
が繰り返されていた背景がある。
もちろん、ウクライナ国内では2014年前後から、クーデター騒ぎ、住民投票もあれば、国内武力衝突も延々と続き、そういったウクライナ国内の内戦とそこへの資金援助ばかりか、海外の主に米英からの恒例エージェントの派遣、武器弾薬の搬入は繰り返され、2022年になって一気に、“いわゆる天王山”を迎えることとなったわけだ。

【グローバル経済圏と、資源国圏との、全地球規模対決の段階だ】

その対決の焦点に係る勢力の表向は、次の通り区分できる、実態規律は別として。
【経済圏の決済は、債権債務と為替相場の操作 → これが制裁参加国の少ない訳】
 ■米国やNATOを軸とするグローバル経済圏の、対ロシア制裁参加国と、
  (ロシアの非友好国リスト国=)48国/国連加盟国193=人口約10億人。
 ■ロシア先頭に(その他の資源経済国圏の勢力)およそ60億人。
そして肝心な事、実は、
【制裁参加の48カ国の経済損失は酷い事態となっている状況】
それに引き換えアメリカだけは、エネルギー不足のヨーロッパ向けへの、石油や天然ガスの輸出で大きな利益を上げている。ウクライナに向けての武器弾薬支援は、有料かつ高価格であり、アメリカ軍事産業は大儲けだ。ウクライナは借金を負わされ、義援金までも武器弾薬の支払いに投入しているという。


(コラム)金融:国際決済方式とは、債権債務と為替相場の操作

①「後から、そのうち払う」というのが債務制度だ。あるいは「しばらく借りとくわ!」
 この制度で、力の弱い国は、支払いを踏み倒されるのが国際経済の常套なのだ。
②ドル通貨の、為替価値操作で決済を先延ばしにされ、
 支払額を目減りさせられ減らされる被害国の存在が、
 グローバル経済圏の実態。
~だからこそ、ドル決済のグローバル経済圏を拒み、
 制裁不参加国になるのだ。
 で、ロシア、中国、インド、ブラジルといった資源国、
 資源本位経済である。
 (交易金融が必ず資源本位となれば、自ずと金の延板が
 用いられる)

§今や、経済システムの崩壊・機能不全、その時こそ成功の原点を振り返る
経済学の基本的な趣旨目的は、“誰もの富と自由”を増やすことである。
決して、「一方が儲かれば、他方が損をする」との趣旨は経済学にはない。
経済学の父とされるのが、アダム・スミス(スコットランド生まれ、1723年~1790年)である。アダム・スミスは、初めて文明Civilizationの進展と共に学問的に科学的な経済の法則を、現実や歴史の中から発見・研究した人物である。
その主なところが、次の表に示すものだ。
これらは、“自由平等実現のための制度発明としての社会制度”が、文明Civilizationとして歴史的に制度開発されつつある過程で、その時期までに成功していた(文明的)経済学的事例を、現実や歴史の中からアダム・スミスが法則化をしたものなのである。(ただし、アダム・スミスは、倫理と経済が一体化していることは否めない。が、一体化しているからこそ世に受け入れられた)。
要するに、極めて実践的な現実的な“経済や経営の基本”なのである。
当時の時代背景かすれば、詐欺・略奪あるいは権力と一体(TVでおなじみの、越後屋とお代官様)といった重商主義が、当時主流の時代背景である。
また、哲学者ディドロ(1713年~1784年)などが活躍した啓蒙思想時代であるから、現代のような自由平等に基づく刑法や民法などは全くなく、世間一般が詐欺や強奪そして冤罪のルツボ(坩堝)に在った時代なのである。
そして、世界で最初に経済学を始めたのは、イタリアのナポリ公国。経済学最初の大学はボローニヤ大学だと言われている。また、経済学者マーシャル(1842年~1924年)は、産業革命以後から今時代の、ついコロナ感染前までなら通用するニュービジネスのアイデアやプランを生み出していた。日本でも戦前戦後と、このマーシャルの着想を元にしたビジネス書籍や雑誌は非常に多く出回り、あなたも無自覚のうちに書店やセミナー他で目にしたことはあるだろう。マーシャルとは、アダム・スミスの学説を発展させ、経済学者ケインズの師であった。


【アダム・スミスの指し示す、成功の原点】
アダム・スミス 現代向け、日本の壮年若年そして女性向け解説
先ず、商業
推し進める、
その後に、
富と自由が
もたらされる
(資本や政治
ではない)
商品取引のことを商業と言っているが、商業の先に富と関連があるとは言っていない。商業に最初に資本金は不可欠だと言っていない。自由が保障されて初めて商業が成り立つとも言っていない。
東欧諸国はソ連から離脱する前に、国民は商業を活発化させ、その経済力もあって、東欧革命を西側の援助なく行った。東欧諸国の自治体の公務員や共産党専従職員は、前もって国民の味方となっていた。
起業とは、
その具体性=
隠れたコストを
発見すること。
余ってるモノ
に着目
【起業は社会
にも資する】
物事の隠れたコストの発見。すべて、これに尽きると言っている。
現在の予見される経済危機も、隠れたコストの発見で、起業→産業育成となる。グローバル経済圏が崩壊しても、日本国内の余りモノに注目だ。米、近場の山林に自然再生エネルギー、有休耕地。値の付かない遊休資産。若年労働も未開発のままに、余っている。
半面、発明ならば、活用すれば該当産業ごと消滅する性質がある。日本政府のデジタルは、使うほど“庶民負担のコスト増”だから発明でも起業でもない。封建時代さながらの縁故発注=隠れたコストだ。
コミュニケー
ション
(意思と気付き)
自由と共感
一体として扱う
【選択肢から
選ぶ行為は
自由ではない】
共感Empathyという概念(同情Sympathyは全く別概念)が、初めて学問に登場したのは、脳科学や神経科学の分野でもアダム・スミスだ。
https://soumubu1.blogspot.com/2022/04/blog-post.html#240-12
意思表示と他者から受ける気付きは、自由な関係において、互いのありとあらゆる表現によって、共感(共感作用&共感精度)により実現されている。言語の役割は、そのうちの一部分一手段に過ぎない。言語基盤情報では脳が機能不全。で、“自由”の究極は、「自らの希望する他人との特定の人間関係を、行為を通じ自由を感じ取ること」。
当時の
女性不在社会

アダム・スミスは
それが反社会
・非経済性
だと強調した。
意思決定や機密類から、女性排除する。生後から日常的に、女性の自信を喪失させ、そうやって自律をさせない。アダム・スミスの時代は、“男のように働く女性“ないしは高級設備の代用といった概念(女性活用の言い逃れ)すらもない時代だった。
実際の現実で、女性の能力と役割を正当に評価しないから、富と自由をもたらす妨害となり、社会システムにおける障害となっている。
スミスの名言、「人間社会のすべての構成員は、相互の援助が不可欠である」「人間を社会に参加させよ。そうすれば、人間はそれまで持っていなかった鏡を直ちに提供されることになる」。
文化の
重要性を説く
(固有文化価値には至らず)
【文化は希望を求め、芸術は希望の道標であり、耽美は文化に枠をはめる。今ではこの作用も解明】
文化価値多様性こそ、世界各地へのビジネスチャンス(異なる文化Cultureこそ商品価値を増す)=フランス革命時代の女性評論家、父親がルイ16世の財務大臣の:スタールは語っている。また、この日本列島は文化の坩堝(ルツボ)だと。日本は「アメリカよりも地域格差と特徴が、実に細かく多様である」と、西武の:堤清二は語った。
今では、地域経済単位(≒日本では中学校区ごと)の固有価値IntrinsicValue文化が、商品価値に含まれる場合、適正な利潤が確保されることが解明された。量産規格品の様な文化価値の少ない物は、商品価値の逓減が進む。そればかりか、固有文化価値商品の如くに、量産規格品は商品交換後の価値増殖も生じないと解明された。
資産の市場と、
消費財の市場
この両市場は
全く大きく中身
は異なる。

【アダム・スミスは、資産や
消費財の
価格構造と
その安定を保つ
倫理を強調した】
ここでの資産とは、「通貨を尺度とする評価が可能で、将来に収益をもたらす期待が経済的価値に限ってのモノ」をいう。経済学用語と会計学用とは異なり、帳簿から収益の期待できないモノは除かれる。
消費財市場では、生産価格や正常価格を基盤に、“需要と供給”や“買い占め&売り惜しみ”といった要素で市場価格が形成される。ところが、こういった消費財のイメージと、資本市場は全く異なるのだ。
しかし世間一般では、理解されやすい説明に顧客は乗せられ、資産市場も消費財と同様のカラクリで動いていると錯覚させられている。
だが事実現実では、資産市場では流通回数に基づく手数料増収を期待する行為の収益が第一なのだ。取引する資産価格を低く落として流通コストや手間を、“安易に手早く”確定させ・終わらせ回転を図る。
顧客や素人学者の考える“需要と供給”=“より高く:対:より安く”といった要望に付き合えば、資産市場の経営は維持すらできない。
いまや資産流通の実態は、土地付き高価値豪邸の例であれば、⇒「豪邸解体・更地にし、土地のみ流通」といったヤリクチだ。この金融資本の、不合理不具合な債権債務が持ち込まれ、こういう類(MMT理論や不良商品生産その他)による経済破綻を招き益々続ける訳だ。


§似而非(えせ)経済学との比較表と解説①項~⑧項
①___アダム・スミスは1723年生まれ。
“経済学の父”と評され、1776年には主要な論説を示した。それから約250年が経過した。そこには時代背景から解明できなかった物事もあれば、現在に至るまでには裏付け証拠が積み重ねられ、益々科学的確立を歩み続けている。当時の物理学的な根拠裏付けから、量子力学(2012年立証)、カオス理論(2008年立証)までもと積み重ねられつつある。
ことに共感Empathyの概念は、ここ10年ほどの神経科学や脳科学に立証され、はっきりと同情Sympathyとは区別される概念だと解明された。この解明により“アダム・スミスの共感”が、共感Empathy(1904年にEmpathyは英語で造られた概念)と同概念であることも解明された。

②___だが、アダム・スミスの文言や説の偽装引用が多いことから、
とても多くの「文言の独り歩き」があることも分かった。
(はっきり言えば、時の政権に都合よく変質させた引用を露にやってきた訳だ)
★アダム・スミスは、「神の見えざる手」といった内容や趣旨のことは話していない。「自由放任」とかも言ってはいない。彼は自分自身のことを、哲学者と言っている。
アダム・スミスの主著の2冊、倫理学書『道徳感情論』(1759年)と経済学書『国富論』(1776年)は、内容が一つのセットなのである。「経済学の父、主著:国富論」と、高校の教科書で紹介すること自体が手抜かりであり、各々の経済学者の水準が、今現在問われている。
【比較表の後に、③~⑧が続く】

経済学の父:アダム・スミスと、似而非(えせ)の経済学比較表
20220607 むらおか
  アダム・スミス 新自由主義者ら 現代重商主義者
先ずは、商業を推し進めること
その後に、富と自由をもたらす
自由と・気まま勝手
の主張ばかり
一般人商業の抑圧
富を吸い自由弾圧
起業、そのコスト具体性とは=
隠れたコスト、を発見すること
必要不可欠なコストも
単に削減=事業は崩壊
実態=労働力買叩
隠コストは利権の蜜
コミュニケーション(意思と気づき)
自由と共感を一体として扱う
数値と人間の機械管理
共感ではなく忖度を重視
非意思疎通・命令
自由・共感は無用
当時の女性不在の社会
その反社会・非経済性を非難
男のように働く女性
乃至は高級設備の如く
意思決定や機密類
から女性排除
文化の重要性を説く
(固有文化価値までは至らず)
債権債務文化を優先
人間的・物的価値なし
文化は全く無視
金・貴金属・通貨
資産の市場と、消費財の市場
この2市場は全く中身が異なる
価格構造と安定を保つ倫理を
両市場を混同させる
買い占め売惜しみとか
投機市場カラクリの闇
全て投機市場の
闇での扱いへ
そもそも市場嫌い
物事は、競争的であれば
縁故をなくすことができる
競争入札から指名競争
の入札へ理屈で誘導
競争入札は嫌い
暗闇で縁故発注
×縁故資本主義
(それは商業でも自由でもない)
資産の安値払い下げは
守秘性から縁故に限る
自由市場の維持や
資本投資は大嫌い
奴隷制度の中身とは=
×暴力的支配と権力欲
労働契約書さえあれば
形骸しても奴隷にあらず
迷信と脅し論理の
封建時代の名残
重商主義者の手段とは
×政治力で強引に進めるだけ
口先では、真心と宗教を語る
嘘と理屈で固め+限界
新自由主義を掲げても
実行は重商主義の行為
現代全体主義者は
重商主義に復古
ついでに政治も復古
  目指すは、誰もの富と自由 アダム・スミスをずる悪用 科学や学問が大嫌い

③___多くの経済学者や素人の話題として、アダム・スミスの学説引用は、ケインズを大きく引き離し断トツに1位とのことだ。経済学者としてのアダム・スミスの引用(注:相当の作り話の存在を含め)は、マルクス、マーシャル、ケインズの3偉人の合計よりも多いとの集計を行った学者もいる。ところが、アダム・スミスの評伝とか解説書といったものは非常に少ない。そんなことも影響してか、アダム・スミスの書籍や翻訳本を読んだ経済学者も、少ないといわれている。要するに、偽装引用が多いことから、とても多くの「文の独り歩き」が多いわけだ。

④___アダム・スミスは、表で示したように、
過去の歴史や現代に現れ出ている“重商主義”に対して、
「商業の発展は富と自由をもたらす」と、反論・主張したわけだ。
彼は現実主義者で、決して、“自由になれば商業が発展する”といった訳ではない。当時のアダム・スミスの周辺には、英国国教会(聖公会)、ローマ・カトリック、プロテスタントその他といった“生活や経済に介入する宗教団体”と、当時は“非科学的観念の坩堝(るつぼ)の烏合集落”だった。そこでの、“反重商主義&現実主義”といったものが、後世の早とちりをした学者らには、“自由気まま”と脳裏や観念には映ったのであろう。それは、まだ社会科学の“論理構成とか科学性”が未熟な時期であったであった訳だからである。ところが、現代の新自由主義者?とか重商主義(全体主義やナショナリスト)たちは、庶民を騙しやすいとして、ズルく悪用していることは否めない。「不誠実なことをしない」といった、生活信条はない。
⑤___すなわち、アダム・スミスは、「利己主義と強欲」を説いていた訳ではない。決して
「商業発展の末に生まれる“資産と所得の格差を”自由市場の帰結だ」
とも言ったことは正当化していないのだ。新自由主義者と自他共に評される
学者人物は、ほぼ間違いなく、こういったアダム・スミスの主張を知らない。
さもなければ、根っからの嘘つきだ。詐欺師や太鼓持ちのような学者や
コンサルタントに乗せられて、無知にも詐欺られ続けているといった状況なのだ。

⑥___ついでの話しだが、新自由主義といえばハイエクとかフリードマンらが有名だ。が、その弟子と称する輩にもアダム・スミスを読み違え、師匠の説く中身の好いとこ取りをして振る舞うような詐欺的学者も少なくない。ことにアメリカでは、政治家や公務員に好まれる“太鼓持ち”でこそ、初めてアメリカ政府らの仕事にありつける。さらには、それがビジネスだと思っている悪(善悪の悪とは人類進歩に資さない)の文化がはびこっているから。深く注意しなければならない。
加えて日本でも、統計のように数字を使えば公務員は喜ぶテクニックが存在し、加えて“一般人にわかりやすい話こそが最初の第一歩”と錯覚している。そう考える学者や政治活動家も少なくない。けれどもこれでは、一般の人たちとか科学的素養からかけ離れた人たちには、無意識のうちに完璧な誤解を与える。…それでは、「必要悪」と自己欺罔する不誠実行為だ。
それに対して、哲学者カントは指摘をし、“そういった解りやすい?例え話”は止めろという。(※カントのエピソード=ドイツのカトリックの神父が、ミサの説教で、解りよいとの都合で、“好いから加減”な例え話をするから、これをカントは批判した。そのため、カトリックは、カントを組織防衛のために「反キリスト教」と決め付けた)。

⑦___アダム・スミスの名を語り、異なる説を持ち出す学者たちも
新自由主義者と評される人たちに多い。
そのなかでも、一時期、MMT理論なるものがもてはやされたが、その彼らは複式会計帳簿の記載方法の説明でもって、あたかも日本国の累積財政赤字が激増しても、日本国が破綻することはないと力説する。しかし、肝心の国民への増税とか社会保障の切り下げといった、経済社会の基盤崩壊については何も語らない。その沈黙の姿からすると、彼らは新自由主義者ら若しくは、利権の蜜を吸いたがる現代重商主義者の類、とも言わざるを得ないのだ。
今般筆者が、アダム・スミスと対比して、彼らの犯罪性及び未必の故意を証明できたわけだ。その彼らの行いとは、どう見ても、社会主義国の「市場が大事か?民主主義が大事か?」といった、二元論?&二者択一論の論理とも類似する詭弁である。そして現在日本政府の本省に屯する官僚らは、詭弁というものが大好きのようだ。
【参考資料】
参考その1 実際に社会にはびこる新自由主義者とは
 https://soumubu1.blogspot.com/2022/01/blog-post.html#237-05
⑧___現代日本の重商主義者とは、
それは16世紀から18世紀にかけて、西ヨーロッパの絶対君主国らがモテはやして採用していた。ところが産業発展や富の形成、そして社会や人類の発展の弊害ばかりをもたらすことから、民主主義国家では国民から支持をされることがなくなった。
★学問的にも科学的にも無能な人物は、
自分で思いついたかのように、錯覚して、それは実に幼少や歴史物語とかアニメの断片的話題や記憶にヒントを得る愚かさといった代物に過ぎない。彼らは、次のような共通点を持っている。
①権力濫用・仲間や縁故取引・暴力や経済外的強制を拠り所に、
経営や政策を進めることしか考えられない。

②法人経営(株式会社や有限会社)を実体として嫌い、
生産性や収益性を二の次にすることしか思い付くことができない。

③イノベーション・事業発展とか人類進化に資すること(善)を度外視し、
そんなことで、誰からも心の中から相手にされないから、孤独に陥る。

④彼らの考える富だけ、を増やしたいから、
貨幣蓄積増進の重要手段として「通貨」
(それ自体は“経済価値のない紙幣|や電子マネーなどの器材”)を用いる。
だが、心から信頼できる人物が寄り付かないから、そこに限度がある。
けれども、現代社会にあっては、それなりの文明国や地域で、もろに
重商主義を行おうとすれば、“各種富の総量”の、創造や増加の障害者
として批判される、には変わりがない。

⑤よって彼らは~、
秘密・隠匿・イノベーション潰し・経済復古と女性卑下といたことを好むわけだ。
★彼ら、現代日本の重商主義者は、新自由主義者ではない。
新自由主義といっても彼らには分からない。総合的関連性を持った思考が出来ない。アダム・スミスの話と称して、偽話を聞かされても、彼らは、狭い視野を通しての「好いとこ取り」しかできないのである。さらに、その彼・彼女らに猜疑心が強いならば、詐欺師に弄ばれる運命でもあるわけだ。近頃は、そんな彼・彼女らに、議員とか国会代議士の仮面の就職口もある。
【参考=18世紀ごろまでの重商主義】
 https://honcierge.jp/articles/shelf_story/7880


§【新しい経済社会で役立つ、本の拾い読み 20220607】
①『アダム・スミス 共感の経済学』早川書房
②『ソ連を崩壊させた男、エリツィン』下斗米伸夫(著)
(この段落は先月号と同じ)筆者の仕事は、読者の解決手助けのために、あなたの正確な選択へと導くことである。なので、記事分量は少なく、あなたの判断材料となるように書いていく。(購入して読む必要もなく、あなたの秘書に代読する必要もない)。それは、学術系書籍などは学者が同業学者に向けての論理構成だから、学者以外に正確な理解が出来る訳はないのだからである。
一般ビジネス書というものは、厳しい出版業界の状況から、多数の読者が、さも喜んで買うような内容に編集しているから、買った人が喜ぶように出版する。そんな出版物から、役立つ部分のみを理解することは、時間をかけても無理である。とかく、近年の学校教育は、“その意味内容が解らなくても覚えるだけ”といったAI頭脳教育に陥っているから、頭脳明晰であっても知識偏重主義(主知主義)であれば、プロセスを踏まえないから応用できないばかりか、誤読の頻発も招いてきた。(ここまで先月号と同じ)

①『アダム・スミス 共感の経済学』早川書房 2022/2/16)ジェシー・ノーマン(著)
(むらおかコメント)
このメルマガの本文でアダム・スミスの解説でも示したように、経済学の父とは言われるものの、アダム・スミスについて、十分な思考や論理の展開に基づく理解が乏しいのが、雑多に繰り広げられる経済学の現状のようだ。さらには酷いことに、思考や論理の展開そしてプロセスを把握しないで、“我が身に都合の良い部分だけの文言”を、つまみ食い(場合によっては捏造)してしまう過失、これを平気で犯してしまう知識偏重主義(主知主義)者が後を絶たないのである。
この本の著者は、そういった知識偏重主義とか、故意あるいは重過失の事実上悪意を持ってねじ曲げられた学説を、数多く拾い上げ⇒1つずつ細かに、アダム・スミスを基盤として間違いを暴いているのである。

(出版社の案内)
神話を葬り、スミスの「人間の科学」に迫る決定版評伝!《フィナンシャル・タイムズ》紙 2018年ベスト・ブック
・「利己主義の擁護者」?「金持ち贔屓」?「自由放任の信奉者であり政府や国家の介入にはすべて反対」??――「近代経済学の父」として知られ、引用回数でも他を圧倒するなど、世界で最も偉大な経済学者として知られるアダム・スミス。にもかかわらず、「スミスの人柄も思想も、あまりにも理解されていない」のが現状だと著者はいう。
本書は、イギリスの現役国会議員であり財務担当補佐官を務めた経歴を持つジェシー・ノーマンによるアダム・スミスの本格的評伝であり思想解説書である。スミスの思想の成り立ちをその生涯からひもとくとともに、「市場原理主義者」「不平等と利己主義の擁護者」といった〝神話〟をそぎ落とし、経済学はもちろん政治学、倫理学、社会学、心理学にまで広がる思想的影響を俯瞰。スミスを理解するキーワードの一つである「共感」に代表される、その「人間の科学」への洞察を足がかりに、格差拡大やグローバル化など様々な課題に直面する現代へのヒントを提示する。

・スミスの「共感」を通じた人間への深い理解は、150年後の渋沢栄一、その70年後の宇沢弘文、更にその30年後のSDGsへと受け継がれている。
――堀内勉(『読書大全』著者 本書解説より)
多摩大学社会的投資研究所 教授・副所長
多摩大学大学院 特任教授 ボルテックス100年企業戦略研究所 所長
https://gentosha-go.com/articles/-/36965?page=4

・世界で最も偉大で、最も理解されていない思想家、アダム・スミス。本書はその全貌をエネルギッシュかつ明快に教えてくれる。
――キャス・R・サンスティーン(『NOISE』共著者)
https://www.keisoshobo.co.jp/author/a50638.html

・現代社会の最も困難な社会的・経済的問題を解決するのにスミスの洞察がなぜ役立つのか。この素晴らしい本はその理由と方法を示してくれている。
――アマルティア・セン(アジア初のノーベル経済学賞受賞者)
https://www.keisoshobo.co.jp/author/a9002.html

・健全な社会と活力ある経済を実現するには、支配者や特権階級を抑制する政治システムが不可欠であることをスミスは理解していたのだ。
――ダロン・アセモグル(『自由の命運』『国家はなぜ衰退するのか』著者)
https://econ101.jp/%E3%83%80%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%A2%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%80%8C%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%EF%BC%9A%E8%BF%91%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E3%81%AE%E7%B5%8C/

https://www.amazon.co.jp/dp/4152100850/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_8HR75T8D66VXHFAJW108

②『ソ連を崩壊させた男、エリツィン-帝国崩壊からロシア再生への激動史』
下斗米伸夫(著) 作品社 2021年12月26日
(むらおかコメント)
ウクライナ戦争・対ロシア経済制裁__まずこれに翻弄されないことが大切だ。
それを大局的に、ロシア側からの視点で考える必要がある。この本の著者は、ソ連やロシアの政治経済に対して、事細かな根拠をもってして詳細に分析し、そのロシアの流れを解説している。こういった事態の遠因を把握することこそ、かつ、ソ連その他東側諸国の崩壊に端を発する事情を知ることで、事態の解決の糸口と、我々は翻弄されないための知恵を出すこととなる。
引いては、我々のビジネスチャンスをつかむきっかけとなる。あまりにも極度のバイアス報道に晒されているのでは、正確かつ確実な道が歩めない。
今般の戦争の本質には
グローバル経済といった表向きの経済システム(サプライチェーンなど)の話とは裏腹に、“軍事力とか武装でもって人命や暮らしと引き換え”、といった非経済外的策略による、資源などの争奪に原因がある。そこでは、18世紀並の重商主義ごとく、“取引の規制&略奪を伴う交易”が進められたというわけだ。約30年前、「ソ連崩壊・東西冷戦終結」の掛け声が、その火蓋を切った。石油、天然ガス、ウラン鉱石、ダイヤモンド、金鉱石といったもの(そのほとんどが投機市場の対象)が、世界各地の政変紛争の陰での焦点となっていた。
ウクライナの場合は、このソ連が崩壊、ここが直ちに資源・資産の取合いばかりか、ウクライナ東部集中の工業力、130万人のソ連軍、ソ連海軍の黒海艦隊共同運営などをめぐって、ロシア共和国(エリツィン→プーチン)と関係国らと“>対決<”米国やNATOとの間での、陰陽裏表の争奪の歴史が繰り返してていた頃と背景がある。
もちろん、ウクライナ国内での住民投票もあれば、クーデター騒ぎ、国内武力衝突も延々と続き、そういったウクライナ国内の内戦とそこへの資金援助ばかりか、海外からの恒例エージェントの派遣や武器弾薬の搬入は繰り返され、2022年になって一気に、“いわゆる天王山”を迎えることとなったわけだ。

(出版社内容情報)
ソ連崩壊/ロシア連邦誕生30周年
この男がいなければ、世界史的転換は起きなかった。
新たな歴史史料・当事者の回想をもとに、20世紀最大の激動史の真相を描く。
ちょうど30年前、核を持った社会主義の超大国が、世界地図からなくなる衝撃的事件が起こった。人口3億近い大国が、共産主義という理念とともに消え失せ、代わりにエリツィン率いるロシア連邦が後継国家となる事態が、なぜ起こったのか? 20世紀最大の政治運動・体制であった共産主義を終わらせたエリツィンとは、いかなる人物だったのか?
その背景には、共産主義と自由、イデオロギーとアイデンティティ、世界戦争と東西冷戦という20世紀的なリアリティをめぐる対立が介在する。それらを一挙に転換し世界の次元を変えた、矛盾に満ちた政治家エリツィンを通じて、現代ロシア政治の位相を捉え直す試みが本書である。この30年間に現れた歴史史料や同時代人の回想を取り込みつつ、エリツィンとロシア再生の苦闘を再構成しよう。(「はじめに」より)

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784861828805
https://book.asahi.com/jinbun/article/14499788