2004/01/13

第21号

 2004年、明けましておめでとうございます。
 経済構造大変化の真っ最中です。事業の枠組みの選択で明暗がはっき
 りする時代になりました。新経済状況でのジャパニーズドリームの可
 能性が見えてきた時代でもあり。事業を切り開くのかどうかの時代。
 「世の中こんなもの」と悟ってしまえば先は我慢の連続。暗闇であり
 ドン底です。
 私たち専門家も知恵と工夫の発揮しどころです。幸いにも職業能力は
 持ち合わせがありますチームですので、どうぞ私どもをお役立てくだ
 さい。本年もよろしくお願いいたします。

 この1月1日から労働基準法が改正施行される。実務上の目玉は期間
 雇用契約と解雇事由の2つである。時はグローバル社会。労働力調達
 策や業務遂行体制において、個別企業の事業運営方法が2極分化する。
 「改革と効率」それとも「現状と人目を気にする」の2極だが、企業
 間でも企業内でも2極に分かれる。

 具体的な書式などを公開しました。ダウンロードのページからどうぞ。
 ○期間雇用の雇用契約書(2-02)
 ○解雇規定の例文と説明(雑誌の企業実務1月号誌より内容充実分です)
 まずは見てください。一挙に解決する課題もあるでしょう。労働基準
 法のイメージチェンジもしてください。さらに正社員対象に業績評価
 の出来る業務内容・評価基準契約の労働契約書も開発中です。
   http://www.soumubu.jp/download/

 皆様から寄せていただきましたネットでの質問。総務部門での弊社WEB
 のフリー相談に寄せられた質問。これらの公開承諾分の一部、第一弾
 をnet掲示板にしました。よく似た疑問などを探してみてください。
   http://www.soumubu.jp/contact/

 実は、製造業の派遣解禁とは、偽装請負の摘発抑制の対策。実態が派
 遣である偽装請負を派遣業者・派遣先共々でも解決させようとのこと
 での摘発抑制対策が大きな狙いとしてある。(偽装請負とは、民法で
 言う請負と称して実際には労働関連諸法で言う派遣、出向、労務供給、
 職業紹介、雇用の仲介などを行っている状態)。だから、期間は1年。
 安全衛生上で派遣先が保護。労災事故の管理監督責任は派遣先。
 政府は指導監督業務を公共職業安定所から格上げして労働基準監督署
 の上級機関の都道府県労働局でもって進めようとしている。
 また、狙いが偽装請負対策なので、社会的コスト対策は熟慮しても個
 別契約にコスト軽減の政府配慮はない。派遣先からすれば社員と比べ
 ると人件費減だが、偽装請負会社が派遣許可業者として契約した場合、
 従来の偽装請負に比べコストの増加を見込まなければならない。特に
 製造派遣では労働局の指導監督の厳しいことが予想されるため社員の
 欠勤や休暇の緊急代替程度しか使えない。個別コスト増の要因は、
 1.社会保険料のコスト増。社会保険料は毎月の給与の22.7%もかか
   る。そのコストは、やがて請求として派遣先に回ってくる。
 2.労基法改正で浮上した期間雇用者のコスト増。具体的には、派遣
   会社は雇用契約を結んだ場合その途中で派遣先の都合で契約解除
   したときは残りの賃金を保障しなければないことになった。派遣
   会社が残りの不就労日賃金の損害賠償の責めに応じなければなら
   ない。派遣会社に利益の余裕がないので、その派遣会社が責任逃
   れをしたとき「派遣会社の責任だ」と言っても派遣先が責任を取
   らねばならない。派遣先が共同被告としての訴訟ケースも可能性
   大である。業務請負のように人数の融通が利かない。
 3.派遣先でも解雇事由が問題になり損害賠償の責任が発生。派遣労
   働者に解雇事由があったとしても今般の労働基準法改正で派遣会
   社の就業規則に不備があれば解雇無効。また派遣会社の支払能力
   や倒産などの場合、結果的に解雇を暗示または指示した派遣先の
   派遣契約解除行為が賃金保障等の損害賠償の引き金になっている
   との責任を免れることはできない。その金額は派遣労働者の定年
   (60歳)までの賃金総額。(これからは派遣先でも派遣会社の就
   業規則の点検が必要)。
 業務請負の形態とノウハウを持つ会社は、今回の改正でも、何の問題
 も生じない。実態として経営基盤の弱い業者が将来にわたって不安定
 だからこそ「今こそ、派遣業解禁!」と主張しなければならないのだ。
 水ぶくれした大手派遣会社こそが、投資の割には受注が少なかったり
 膨大な先行投資をかかえているので銀行のツナギ融資のために表面的
 売り上げが必要なのだ。派遣先へはこんな派遣業者のコストの跳ね返
 りは必然的。不安定業者。ダンピング。そして法律違反。派遣業の
 「追い風」とは偽装請負専門業者が自らの営業トークに使っているに
 過ぎない。メーカーが、その片棒をかつがされてはたまらない。だか
 ら製造派遣は自社雇用と変わらないのである。
 ここまで説明しましたように何時までも偽装請負を続けるとか派遣法
 違反を繰り返す製造業関係の違法業者が、政府としては本当に邪魔に
 なってきた。「物の製造」業務への派遣解禁にともない、従来からの
 偽装請負を法改正後に取り締まるために司法警察権が使われる。
 指導監督業務を公共職業安定所から格上げして労働基準監督署の上級
 機関の都道府県労働局でもって進めようとしている。派遣先への指導
 も、従前の例からすると、製造派遣業者の契約企業から順次定期指導
 が行われる。(なお、事件事故があった場合は優先的に即調査が入る)。
 派遣業の「追い風」とは偽装請負専門業者が自らの営業トークに使っ
 ているに過ぎない。もう一つ違う側面から。労働局の労組である全労
 働省労働組合を傘下におさめる全労連は製造業の派遣について、この
 期に何も言っていない。だとすれば監督指導要員の増員要求をしてい
 ることからして労働局の職員の意識実態は取り締まりに賛成であり、
 労働局は労使挙げて、製造業の違法派遣の取り締まりに乗り出すと見
 てよい。

 年金改革。マスコミもすべてが決まってから大々的に報道。テレビで
 元大蔵官僚が年金財政は破綻し粉飾決算と認めたとおり。マスコミは
 この周知の事も報道するのをチュウチョしていた。
 厚生労働省の官僚たちは抜本的改革どころか、マスコミ外では、もと
 より「概ね合意」された改革案の成立に大きく自信を持っていた(事
 務次官発言)。給付は元のとおりの50%。保険料は20%から18.35%減
 だか、これは元より織り込み済みで調整の範囲。今の赤字を作ったの
 は昭和36年の国民皆年金の際の政治判断。そのときから破綻の指摘が
 されていた。今回の年金改革は、そんな事もこんな事も知っている専
 門家を審議会はじめ政府関係に寄せ付けず、素人と赤字の責任を取ら
 されそうな者たちで作戦を練って決めたようなもの。政府はここに来
 て、新制度なら移行経過措置の費用計算が必要と言い出してはいるが、
 本気で思っているなら年金制度の素人である。子供だましなら悪質で
 ある。いずれの立場でも年金の専門家ならば、こう即答する。「この
 給付と保険料だから財源はいくらかかる」。次に「財源を使い込みし
 た? 誰だ!」そして「横領なら弁済させろ。はっきりさせて後、税
 金投入を」責任ある専門家はこう答える。ところが、実は日本の大手
 4政党は「年金泥沼」での浸かり具合の差しかないのでモゴモゴとし
 か言えないのである。善良なる民間事業者は政府と言えどもインチキ
 な輩の言うことばかり聞いてはいられない。