2008/03/04

第71号

労働契約法をめぐる宙に浮いた様な話は、役に立たない。
多くの弁護士さんたちの感想は、「従来からの判例が法律に定められただけのことで、今までと同じこと」といったものがかなり多く聞かれる。労働契約法についての出版物もまだまだ少なく、専門雑誌の記事を書き込めるだけの人物もほとんどいないといった状況である。施行直前になって出版される物いずれもが、せいぜい判例法理を交えた法律解説にとどまっている。苦心惨憺執筆してもマニアやオタクの類が、あまりにも多すぎる。個別企業が求めているものは、法律の施行で、何がどう変わるかの着想・予想・発想であり、経営管理の軌道修正を如何にどこまで行えば良いのかである。
そういった中で、
経団連あたりは、この労働契約法を重要視しているようだ。
そのポイントは
(1)労働契約法において、労働者と使用者の合意によって労働契約が成立するとの合意原則が明確化されたこと
(2)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)という理念が盛り込まれ、いろいろな場面に影響し得ること
(3)法律は労使トップが反対しない理念的なものが盛り込まれ、これでは抜本的な改革は期待できない
(4)紛争に発展する前に、紛争の隙間を埋める経営者の努力が必要であること
といったところのようで、これからの人事制度や労務管理における貴重な示唆をしている。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/index.html
厚生労働省も、1月23日に労働契約法の解釈のための労働基準局長通達を出している。都道府県労働局の総合労働相談コーナーとか、紛争調整委員会における、いわゆる労働省職員の考え方を意思統一するものである。確かに、通達の執筆者は司法試験にも合格し、退官すれば即日弁護士登録のできるだろうと思われる有能な事務官による執筆であることは間違いない。とはいってもやはり行政機関からの文書、いくつかの点では裁判所の見解、法律家の見解、現場の合理性とは解釈を異にするものが含まれる。
あくまでも「厚生労働省さん」の考え方にしかすぎないのだ。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/04.pdf



パート労働法は4月1日から施行される。
多くのセミナーやパンフレットなどが出されている。しかしながら、これらマニュアルめいた?受験参考書めいた?ものを読んでいるうちに、混乱して来ることは、否めない事実だ。
そこで、極めて本質的な要点を解説することにした。
(1)法律の対象者は、パートという名称にこだわらない。名称は異なっても、いわゆるパートと見なされる。契約社員、嘱託、アルバイト、臨時社員、準社員などであっても、「通常の労働者と同視する要件」に該当すれば、社員と見なされる。これがパート等の「等」の意味である。
(2)認識方法の視点を変えれば明確となる。社員と同じ仕事をさせておいて、身分をパート等にすることによって、賃金、賞与、退職金を値切っていることを、差別的取扱いとしているのだ。改正の趣旨はこの一点にすぎない。
(3)名称などで差別的取扱いをすることが制度として行われることがないための歯止めとして、教育や転換促進措置などの手段が設けられている。
(4)差別的取扱いとして紛争となれば、都道府県労働局の紛争調整委員会において調停がなされる。この調停は出席を拒むことができない。
これだけである。
なぜに、施行直前になって話題になっているのか?
どうやら、この答えは次のようなストーリーが推測される。
審議会メンバーを始め、政策や法律立案段階において、大手企業では社員と同じ仕事をさせるパートの存在がまれなことから、とりあえずの差別的取扱い改善の対象者数は、日本国全体では少ないのではないかとの誤算があった?のではないか。
中小の企業においては、社員もパートも混在常態、社員の定義・パートの定義など考えたこともない。
社員の給与は年齢給・パートの給与を仕事給などの賃金体系の発想も少ない。
たとえば、社員には愛社精神を求め、パートにはマニュアル通りの仕事を求めるといった概念を考えていることさえ少ないのである。いざ、ふたを開けてみれば、こういった大変な事態が浮かび上がって来た…といったところが実状のようだ。
政府側に近い学者の多くは、こんなことが分からない企業は、日本経済に不要だと思っているのである。
もとより、国会審議に関心の薄い中小零細の事業主、最近は国家に対する抵抗意識も縮小していることから関心もないせいか、それとも「どうせ」と言って、自棄のヤンバチなのか、今更あわててしまったのも否めない事実だ。
総務人事部門の企画立案が、これからの経営戦略や経営管理の考え方を整理していくうえで、極めて大切になってくるであろう。



中国に進出(予定)企業の基礎知識
毒入り冷凍食品の話題が渦巻く中、現代中国の組織や統治の論理構成が、日本とあまりにも異なることから理解不能・戸惑いの続発が起きている。こういったことを解決するためのインテリジェンスを提供。中国の改革解放直後、現地で500日強にわたって観光や視察では不可能な深層調査・体験した中国慣習に基づく解説である。日本と中国、大きく文化が違うとの認識は当然のこととして、その程度のことでは、中国からの冷凍食品の捜査発信情報は理解ができなくなるのである。
さてさて、ここからの文章は、憶測推測、そしてフィクションストーリーであるから、念のため。
毒入り餃子(現地では焼餃子を食べないので仕様が違う!)が報道されてから、中国政府担当局は
「日中友好に反対する者の可能性」との発表を行った。これを現地慣習から分析すると、
「既に実行犯は身柄を拘束したので、統治者としての責任は果たしたのだから、これ以上、日本は何を騒ぐのか!?」を意味する。警告発言を行ったことになるのである。中国政府担当局は既に話は解決モード。
したがって、「これ以上、日本が騒ぐのであれば、内政干渉である。中国側は役割を果たしたのだ!」という意思表示である。これに対し、もしも、国民の不満が湧き上がっていると日本政府が説明すれば、中国側から返ってくる答えは、「国民の声を抑えるのが、そちらの政府の仕事だろ!」となるだけなのだ。もとより、立法・行政・司法の三権分立の発想などない国であり、行政一本槍だから、組織の責任者だから抑え込んで統治するのが当たり前と本気で思っているのだ。三権分立など、日本人がいつも使う逃げ口上と真剣に思っている。現地ではこれが正義である。こういう慣習を理解すれば、その後の日本政府の対応と符合する。
もうひとつ忘れてはならない慣習がある。
いざとなれば、極めて強力強権的な情報収集を行う中国情報機関の存在、これも中国国内の慣習である。
おそらく、実行犯は知人友人親族の目前には二度と現われ出て来ることはないであろう。
地元警察が旧正月明けに捜査に入っても、もぬけの殻。まったく何も出て来ることもなく、その後の日本と中国の警察協議を重ねたところで、犯人不明・証拠不十分の道筋しか残されていない。こういった筋書き、これが中国の慣習なのだ。
ところが、日本国内は沈静化させられるどころではなく、問題は深刻化した。
すると、「日系企業で起こったことである!!」
と次に中国側は言い出して来たのである。すなわち、労務管理は日本が行っていた!仕入れ管理は日本が行っていた!危機管理は日本が行っていたのだから中国側の責任がない!との意思を示し、責任は日系企業と言っているのである。
これを言っている本人たちは、ここまで説明させるか?との気持ちで、自分達は日本に対して親切で言ってやっていると思っている。
もちろん、日系企業の敷地内は中国で治外法権ではないのだが、中国の慣習では法治国家という意識がなく、法律そのものは支配のための道具と思っているから、こういった発想が正しいとなるのである。これが中国での個別企業や人民政府の統治にまつわる経営環境なのだ。
ところで、中国食料品に関する恒常的協議会を日本と中国の両政府は持つこととしたのである。良く考えてみれば…原因究明と防止対策を中国側が行えば良いだけのことではないか?
と考える方は日本側に多い。が、そういった事実関係をはっきりさせて正常な社会を形成するといった慣習は中国には一切存在しないのである。世間体を利用して支配体制を築くのが正義とされるである。その優先順位は人民解放軍、地元闇集団、共産党組織、人民政府と言われている。
2月27日になって、「残留農薬ではない」こと、「毒物投入は中国国内では行われていない」などの主張を中国政府公安省(日本でいえば警察庁)は記者会見で示した。
現代中国の慣習は、政治的経済的な、統治のための結論が先にあって、それを国内外に如何に納得させるかが政府の責任であるといった論理なのである。今回の毒入り中国食料品に関わる断片的発言は、日本国内の教育基準の判断基準で理解することは出来ない。しかしながら、現代中国の慣習が、日本国内で表沙汰になった意味は大きい。本質が暴露されたといった具合だ。中国の慣習を理解せずに、中国進出や中国取引を行った個別企業はかなりの数にのぼる。そこでは、品質不良、製品未納、資産回収不能などの大きな火傷を負うしかなかった。これに反発したところで、中国外交部に集金と示談を持ち込まれるだけである。
これが中国に関わる経営、人間関係、労務管理を理解するポイントなのである。
この中国の慣習は彼らの表面では分からないが、面子で隠されている。彼らが決して見せたがらない最底辺の人々に発見のカギがある。



有給休暇の管理ソフト開発、
労働基準法バージョンを製作し、個別企業ごとのオプションのオーダーメード
一般常用社員のみならず出勤日数の少ないパートも個人ごとに一目で分かるものです。
電話での、残日数や過去の消化日の問い合わせに対して、ひと目で分かります。
集計結果は給与計算データとなり、人件費管理に役立つよう、賃金締切日とか任意特定期間の消化日数が計算できるようにします。
まだまだ皆様の些細なるご要望やニーズを、お寄せいただければ幸いに存じます。
http://www.soumubu.jp/info/kujo.html