2009/08/04

第88号

<コンテンツ>
「景気悪化に歯止めがかかった」との情報?
ここまで経済や社会が混乱するから、
最新インテリジェンス(情報)の実例
個別企業や経済を回復させる力が萎えてきている
個別企業の賃金は、「職能」「職責・役割」をより重視


「景気悪化に歯止めがかかった」との情報?
が流れているが、それは悪徳金融業者のまやかしか、それとも金融・経済恐慌が信じられない経営者の思い込みに過ぎない。統計を診るだけでも、09年1~3月期の生産の落ち込みは日本-30.7%に至り、アメリカの-5.7%、欧州の-9.7%の何倍もだ。09年4~6月期統計の発表待ちだが、明るい兆しがない。雇用保険に加入する正社員の離職が09年4~6月期は09年1~3月期をはるかに超えて急拡大しているから、生産がさらに落ち込んでいると診るしかないのだ。「歯止め」の情報が流れるたびに、都合の良い統計資料を検証しても、垂直落下の加速度が鈍っただけなのだ。
多くの専門家の見方は、累積の過剰生産、貧富格差、過剰金融の構造に、未曾有の財政出動を世界的に行っても手をつけられないとしている。昭和大恐慌(1929年)を引き合いに出してはいるが、まったく打開のめどが立っていないのだ。企業内失業者は推計607万人、6月の失業率は5.4%にアップ、雇用調整助成金支給者も約230万人の微増、生活保護対象は約160万人である。
8月1日土曜朝の読売テレビによると、生活保護申請の多い大阪市では、月収16万円以下が生活保護対象になると推測される受給例示を報道した。労働運動の研究機関は、埼玉で17万円、東北地方都市でも13万円を保護経費として試算している。主要都市では、最低賃金が生活保護を下回っているから、働けば「健康で文化的な最低限度の生活」が営めなくなるといった構造的問題を引き起こしている。通常景気循環なら、最終経済である個人所得が低くなれば、物価が下がってもよさそうなものであるが、実はここでも流通や生産に構造的問題を起こしているのだ。
内需拡大 → 硬質な労働力の確保 → 外需拡大で、日本商品の多国籍展開を図る戦略に、日本の将来はかかっている。景気対策の緊急融資や雇用調整助成金を、錬金術的中抜で金融業者に迂回させているどころではないのだ。高度経済成長時代から此の方、経済の景気循環の度毎に、マインドコントロールにかかる経営者が続出するくらいに、「あと半年で景気がよくなる。総選挙の後は景気がよくなる!」と聞かされ続けできたが、今度ばかりは予断を許さない。


ここまで経済や社会が混乱するから、
さすがに筆者も、このメルマガの読者に何を知らせようか、何を書くのが良いのか、ここしばらく困ってしまうことにもなってしまった。やる気を出して、元気を出して、個別企業の経営は進めなければならない。が、この私に限っては「空元気」を出してしまうと、インテリジェンス情報を提供する上では誤報記事となるから、空元気は禁物なのである。ところがやはり、「空元気」でも出したくなる経済・社会の混乱ぶりであるから、職業上のジレンマもはなはだしいのである。もとより筆者は、無責任な金融経済を対象としてないから、「記事を書く人は孤独である」なのだ。「他人に同調を求めるのは愚かだ」と、娘が中学校で習ってきたゲーテの言葉を読み返す始末である。
思い切って、昔の古典的経済の勉強も始めた。労働問題の古典もだ。リカード、アダム・スミス、マルクス、ケインズなどの経済や、パスカル、ジョン・ロック、ルソー、ウェッブ夫妻、職工事情なども引っ張り出してきた。その方面では蟹工船に留まらず「資本論ブーム」(NHK教育TVの番組にも)が起こっているようで、再び日本では労働問題の専門家であれば、「資本論」の柱の知識が不可欠となった。(この知識の有無は、あっせん代理や団体交渉の結果を、確かに左右する)。
大恐慌の真っ最中、経済や社会の悲惨な現実や現象面をいくら訴えたところで、個別企業の社会での活躍の幅が拡大するわけではない。問題提起には、「もう!うんざり」となるのは、情報がインフォメーションであるからだ。若年層にはそっぽを向かれる、「部長、お先に失礼します。お手柄横取りご苦労様です。僕は帰ってグルメ・ナイト!」といったリクルートのテレビコマーシャルが堂々と流れる時代なのである。


最新インテリジェンス(情報)の実例
「近年は暴力団対策に使われてきた職業安定法、この09年7月から厚生労働省の本省は、各地で確かに職業安定法44条の労働者供給の摘発に踏み込んだ」
これこそがインテリジェンスは最新情報である。だがインテリジェンスであっても、所詮は労働者派遣に関係する分野に限られているにすぎない。
日本経済の将来は、「高付加価値製品&高水準サービス」の商品提供にあり、衣・食・住+生活+環境に関わることが不可欠…といったことは言い古されているインテリジェンス。「今や詐欺師でも、中国やインドその他への資本投資など口にすることはなくなった」
と判断するインテリジェンスが重要なのだ。銀行の話に乗せられて、中国投資した人の経営判断を助けるのが、このインテリジェンスの役目だ。
「日朝国交正常化の話には、超キケンなインフラ建設工事が見え隠れする。その額1兆円と悪魔の誘惑話が見え隠れ?」
といったものもインテリジェンス。ただし、接触厳禁・超高度に危険。
「正社員(Seishain)のセ・リーグに対して、パート(Part Time)のパ・リーグ、セ・パ両リーグの交流試合といったパロディーに似通った労働経済政策が一方から提案され、他方からは頭ごなしに交流を否定するなど、こういった双方の感情的理論の応酬では、格差社会が解消されない論議であることは学問的に明白で、改善したいのならば、同一労働同一賃金を個別企業ではなく、(ヨーロッパ各国や一部アメリカのように)日本国中で行うしかない…」
と、ここまで記事に練り上げでこそ重要なインテリジェンス情報となるのである。
こういうインテリジェンスが、個別企業の総務人事部門に役立つのだ。
パソコンや大手新聞論調といったインフォメーションでは、個別企業や個人の営みに資することはあり得ない。本来、ジャーナリズムはインテリジェンスを扱い、インフォメーション分析だけには留まらず、今後を見通す記事などが中心で、記事の一貫した方向性は試金石となる。インテリジェンスで「生きる勇気」が湧いて来れば、それも芸術と言われるらしい。インフォメーションは通信社の領域である。100ある経済理論のうち3つほどの理論で書いている日経新聞では、個別企業の成長には役立たない。日本のインターネットのWebサイトでは、インフォメーションの情報が大流行している。IT技術からICT技術(コミュニケーション)と、IT革命も進化しているのだ。


個別企業や経済を回復させる力が萎えてきている
と思われる節がある。個別企業の集団運営そのもの、個々人の生活そのものに、筆者はその現象を感じ取る。個別企業の成長にブレーキがかかると、相当の注意をしていないと、管理職、監督職が組織自体の保持や個人の地位保身に走るのは一般的成り行きである。個別企業の利益と、企業組織自体の利益とが相反して来るのだ。場合によっては体を張って、個別企業の経営方針に反旗をひるがえす監督職が現われ、少なからずの者は職場秩序を陰で(ゴキブリのように)乱す。
ここでいう監督職とは、係長、主任、班長、リーダーなど、最先端の現場で監督する職についている者である。通常、仕様書やマニュアルなどに従って業務遂行をさせるが、監督職には不適切な職人的気質も発生しやすく、労働意欲や効率に与える悪影響は大きい。

≪企業組織自体を保持&個人の地位保身≫
これを如何に防止するかが人事管理の理論とも言える。だが、現在の経済大恐慌状態は誰もが想定外である。だから、管理職、監督職のいずれでも、個別企業の成長その他に期待出来ないとの自己判断をすると、強気の人物から順に自己の利益は自分で守ると「自力救済」の如く、自己の地位と職権で他人を押しのける活動を始めるのである。もちろん、会社に秘密の裏取引も、顧客との取引や、従業員との間で行われる。
その根底に、個別企業の事業発展とか事業転換の発想はない(そのほとんどは発想する能力がない)。個別企業の組織の強みを発揮して打開しようといった考えもない。自分自身と自分が支配したい子分を確保したいだけの、超自己中心的な欲望なのである。
そこで用いられる理屈などは、よく考えれば道理の通ったもの(合理性)は皆無だ。まるで新興宗教のカルト(ヨーロッパではセクトという)そのものを連想させる手法、カルト的な論理構成まで同じである。

≪カルト(セクト)を一言で定義≫
しようとすれば、「表面的自由とか気まま勝手を口実にはするが、合理的理由がないにもかかわらず、他人に精神的物理的な圧力を加える行為。職場では全体主義的カルトとなる」
と言える。この場合の合理的とは、道理があり論理的な要件が整って説明できることである。教育訓練不足、男女差別、セクハラとは、どれをとっても当てはまらない領域である。
カルトは、本来は宗教とは関係ないものの様であるが、これを例に出したのは、その方面の情報収集によってイメージがつかみやすいからである。個人崇拝を強要することからすれば、その種の超ミニ新興宗教ではある。名称が違っても内容や実態は共通するのである。昔の労働運動におけるセクト主義も研究資料となる。戦前の日本社会や日本陸軍はカルトと見てほぼ良く、カルト構造の上に軍部指導者は胡坐をかいた。海軍はTWI監督者訓練の前身の教育手法を行ったからカルトではない。国防婦人会は典型的カルトである。フランスでは世界にさきがけ、民主主義と基本的人権に反するとして、カルト(セクト)は宗教ではないとして排除の方向を出している。

≪カルト(セクト)の特徴≫
職場で身近に発生するカルトを整理・特徴づけると、
○職場で発生するのは全体主義的カルトである。要するに個人崇拝を強要する形態だから規模は数名程度に留まる。稀に宗教が絡むが、個人崇拝では信用がないから宗教カルトに頼る形だ。経営者がカルトを持ち込む場合がある。反社会カルトならば個別企業の外で形成される。
○加害者になる者は、能力がないのに、他人を「仕切る」ことが好きな性格である。
○精神論など空理空論、地に足の着いた話になっていない。うそ、でたらめ、個人攻撃がいっぱいである。
○会話は、金銭がらみ、作業は量で質を否定、行きつく先は「組織防衛論」となる傾向。
○カルトに陥った加害者個人のメンツで、あれもダメ!これもダメ!となる。
○反面、セクハラ、パワハラ、わいせつを「息抜き手段」に用いるのである。ニュースに流れる、わいせつ宗教カルトや仲間内リンチ殺人の「連合赤軍」の軽い版である。
○常套句は、「あなたのため、だから!」とか、「あなたへの愛、だから!」と、「だから」がやたら強調、やっぱり加害者への見返りは要求されている。
○カルトに組み込むには、一種の軽い洗脳(職場八分、友達なくなる!などの恐怖感を与え、思考停止・強制同調させる)が行われる。マインドコントロール(感情的高ぶりで共感を得る)ではない。
○カルト(セクト)に陥ると、取引契約書の目的と条文、業務の仕様書の趣旨・項目、日頃改良済みのマニュアル、就業規則の趣旨・条文など、こういったものを事あるごとに無視・違反を繰り返すことになる。当然、商品は品質劣化を起こす。ふたを開いてみると、営業上の多大な損害を抱えているケースも少なくない。
○他人や会社を批判する行為で、自己の存在価値を保とうとする者は知識偏重主義者、カルトとは別領域である。(宗教、慈善団体、テロ集団では重複することもあるようだ)。
○名誉欲がないから誉めても効果なし。給与増の金銭欲では動かない。子分を持ちたい権力欲は旺盛。超自己中心なので経営方針からはハミ出すことになる。
○カルトは管理者の目を盗んで、自分が支配したい子分を確保したいだけの、超自己中心的な権力欲望で暗躍する。管理者が甘いと、いくつものカルトが発生、その小集団が相互に競い合うことになる。加害者より有能な後輩、子分にならない後輩をハジキ出してしまう。
○カルト小集団間の派閥争いは、見る見るうちにカルト構成員の職業能力を低下させる。
○男女を問わず、面の顔が厚く、イヤミ100連発を武器、強きに媚び・弱きにキツく当たるのが共通で、社会経験が少ない加害者は仮面も被らないからストレートな現象となる。メイクも相まって顔の表情にまで、特徴がうかがえるのは筆者だけだろうか?
○カルトに女性は狙われやすい。(戦前日本の国防婦人会の様相や役割とまったく同じ)。女性加害者は男女差別の被害者意識を利用してカルトを作りやすい。だから、女性パートが多い職場ではカルトの多発・悪化の一途をたどる現象が多いと思われる。
○女性だから狙われるのではなく、加害者は不安定な立場の新採用を狙う。女は男を狙うが、男は女をカルトに誘わない。擬似同性愛は入り込まない。
○女性差別の被害者意識が強い加害者は、自分のことを「できる女!」に仕立てる手段に子分を作り、自ら男女差別を克服した女と錯覚・自負するといった特徴もある。混同しやすいが、男女差別ではない。男を根っから無能力と決め込んでいる。新入女性社員の離職が激しい部署は要注意。出来る女性は徒党を組まない、まして女だけで。
○職場八分で脅し、経営方針より個人崇拝をと選択を迫るから、カルトである。
こういった特徴から、
正常な人間関係を保とうとする周りの者は敬遠し、正常な顧客、正常な労働力、有能な労働力は寄り付かない!のである。

≪カルト(セクト)が精神疾患多発の原因≫
精神疾患のこの数年の多発、とりわけ去年の秋以降の職場での「統合失調症」や「うつ病」の激増続出の原因を、私もリサーチしているところであるが、どう考えてもカルト(セクト)に焦点を当てざるを得ないのだ。気の弱い人物、生真面目な人物、優しい人物の順に、カルト(セクト)に接触すると、精神疾患を起こしているのではないかと思われる。ことに、リーダー、主任や係長の肩書を持つ先端の監督職の者がカルト(セクト)の中心的加害者に陥り、部下の精神疾患を引き起こしやすい。これは管理職教育がなされず、または管理職の素質欠落によるものと考えられる。先ほど述べたカルト(セクト)の特徴を、そのまま地に出すものだから、すぐさまいじめ、いやがらせ、イヤミとなってしまう。
明確に本人には悪意があるが、これを隠ぺいする。一種の軽い洗脳に対して抵抗出来なくなって精神疾患を発症するケースも大いに考えられる。
したがって、合理的な理由もなく、他人に精神的物理的、圧力を加えるから、正常な職場環境が保たれないことになる。
そうなると、個別企業には、労働者が円滑に労働能力をできるように人間関係をはじめとした職場環境を整える義務があるから、個別企業の監督責任としてこれを放置していると、法的にも不法行為責任を負わなければならないことになるのだ。それは、セクハラ、パワハラ、わいせつ、過度の不合理な仕事の指示など、今話題となっている現象になって現れる。最近、都道府県労働局の個別労働紛争で、ハラスメント(いじめを含む)の相談が急増している。確かに、刑法に触れることはないが、様々な取締法に反していることから不法行為を形成している。カルトが法令違反を引き起こす原因にはなるが、カルト自体は法令の条文違反ではない。条文違反でないと誤認しているから犯罪意識はない。

≪業務遂行に、カルト(セクト)の影響≫
を受けてしまうと、個別企業の商品はみるみるうちに品質劣化して行く。売る側の立場、作る側の立場が、カルトの異様な精神論に影響されるから、その部門はクライアントのニーズから、ますます離れて行くのだ。各種サービス業、小売販売、飲食店などは大きな打撃を受ける。挙げ句には、「客が馬鹿だから買わない!」とか、「利用者に常識がないからだ!」などの理屈ばかりを、その部門の社員が言いだす。
その部門自らの能力の無さや仕事の手抜きを棚にあげて、部門内にスケープゴート(排斥、ハラスメント、精神疾患など)を作り上げて、「アイツのせいで、みんなが困る!」と仲間割れに問題点をすりかえるのである。
ここでの「みんなが」といった抽象的なことを言い出すところにカルト達のポイントがある。中間管理職であれば、「これでは会社組織が潰れます!!」などの経営者には耳ざわりの良い語句を使う(実のところは、我が身の地位と給与の保身目的を言い換えたもの)といった現象が現れるが、これがカルト(セクト)に陥る兆しである。この耳ざわりの良い言葉に喜んで、経営者や上司管理職はカルトを見逃すとか、カルトを助長してしまうのである。

≪そこで、個別企業での対応策≫
カルト(セクト)に陥った管理職や監督職は、個別企業が選任する際には正当順当な評価と方法でもって任命しているのだが、後日になってカルトに陥るのである。だから、発見したと同時に即刻排除するわけにはいかないし、今の状況で排除すれば個別企業の骨組みが抜けてしまう個別企業も存在しているのだ。カルト(セクト)の加害者に陥った者を、不正常であるからといって攻撃してしまうと、本人なりには精神的に切羽詰まっているから、これも精神疾患に陥るケースが多い。宗教やテロのカルトたちは、自分たちの被害妄想も加わって、「攻撃する・される」の被害関係を着想してしまうので、知らないうちに戦争を仕掛けられるが、これと同じく、ときに職場内でも発生するのである。
個別企業の収益性、生産性、労働意欲、効率が、カルトやセクトに掻き回わされないようにするには、今の時代のように成長が見込めない場合にあっては、
A.洗練整備された業務仕様書
B.日常的改良の施されたマニュアル
C.時代や事業に合目的な就業規則
D.これらはミーティングを通じて徹底すること
これらを組織的に行うことが効果的である。
カルト加害者は、一種の軽い洗脳(職場八分、友達なくなる!などの恐怖感を与え、思考を強制同調させる)を行うから、目先の対処は、
1.会社方針・作業計画を公に全員に伝え、カルト達の余地をなくす。
2.管理者は部下に対する、分け隔てない応対をする。
3.仕事の内容・教育・予定などの情報遮断が無いかチェックする。
4.醜い顔つき・濁り目つき・暗い発想と、突然転換が認められれば、カルトの構成員。
もちろん、目先の対処は個別企業の経営理念や方針に沿った事柄が柱である。個人的悩みの解消には、いっさい触れないことが技芸である。被害者への目配せは、もぐら叩き、被害者の救済にならないと覚悟しておくことで。
それよりも、以前のように目が輝いていた時の運営を思い起こしてみることである。


個別企業の賃金は、「職能」「職責・役割」をより重視
する傾向に向うようだ。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の昨年12月のアンケート調査結果は次のURL、
http://www.jil.go.jp/press/documents/20090616.pdf
内閣府経済社会総合研究所の、2004~06年の景気回復期において、製造業大企業を中心に賃金抑制が続いた要因についての分析は次のURL、
http://www.esri.go.jp/jp/archive/new_wp/new_wp020/new_wp012.pdf
従来の賃金カーブは、年齢とともに上昇し45歳後は頭打ちであったが、将来は「早期立ち上げ高年齢層下降型」が予想される。一時期のトレンドであった「成果主義」などは何処かへ飛んでいったようだ。一般社会的には、金融業者主導?影響の正社員の人件費削減では商品劣化を生じるとの認識に立ったようだ。
もとより、本来の成果主義は、ある特定ランクの職能資格の枠内だけでの成果を他人と比較することを想定した理論。そこに目新しくコーチングが付着したから見栄がよくなったのだ。所詮は賃金体系関連のコンサルティング商品でしかないのだ。基盤が職能資格制度だから、社員1000人以上で、コンピュータ計算も当然のこととして前提にした制度である。
ところがこれでは、中堅の個別企業に販売出来ないから、想定理論を無視して単なる歩合給に書き換える商品として、コンサルタント会社が販売した。この書き換えを、セミオーダーとまで命名しているのだ。販売した者は素人、購入した個別企業も素人、役に立たないのは当たり前のことである。
芸技の領域にある専門コンサルタントとは、個別企業の理念、戦略、経営方針をもとに、賃金体系の中に、職務型、年功型、職能型、成果型などを織り交ぜ、忠誠心散布を施すことができる職業である。
(…これこそ、毒舌を極めたインテリジェンス:情報である)。