2010/03/09

第95号

<コンテンツ>
トヨタ自動車→ アメリカ市場から撤退の見通し
1980年代からの日米自動車摩擦
ここで、豊田社長の有能さが発揮された!

日本のマスコミ論調は、物事を分析することに終始

人材派遣業者を弾圧! 予算不要の雇用安定策
監督指導の主要な点は、いわゆる26業務
S61年以来の変化が・・・・それ以上に市場激変

未払い賃金請求訴訟用のエクセル開発
訴訟用エクセル活用して、書証として提出しよう!
訴訟用エクセルは公開

社員が事件に巻き込まれたら…? 初動方法WEB開設

トヨタ自動車→ アメリカ市場から撤退の見通し
は、有識者の間では根強い判断である。豊田社長の、アメリカ議会公聴会での証言は、アメリカ社会に受け入れられるような論理ではなかった、というのがその主要な根拠だ。
苦情対応遅れなどの「不都合」について、アメリカ社会が最も嫌悪拒絶する論理と論述をしたからだ。例えば、「不都合な対応をした幹部数10名を解雇しました。神に誓って謝罪いたします」と弁明すれば、アメリカ社会は、謝罪があったとして、大いに受け入れ、トヨタ自動車を許すことになる。アメリカ社会というものを、少しでも研究した人ならば、これはすぐ解ることである。それにも関わらず、豊田社長は、アメリカ社会が排除(嫌悪拒絶)して来た世間体重視の弁明を行ったのだ。
ところが、電子部品の技術性能については、評価を守り切ったのかもしれない。「電子欠陥」の疑惑にも、3月8日にトヨタは異例の公開実験で反論、「トヨタ車の電子制御システムに欠陥を示す証拠はない」と改めて広報、技術面では徹底して論述展開した。
中国向けの記者会見における豊田社長の弁明内容、日本でのテレビ朝日(報道ステーション)での豊田社長の弁明内容、そしてこのアメリカ議会証言、これら各地の論理、その奥底から読み取れる趣旨は異なっていた。すなわち、これから伸ばそうとする中国市場と、撤退方向のアメリカ市場とでは、対応が異なるといったわけだ。


1980年代からの日米自動車摩擦
の問題が、その背景にある。それまで日本は、完成車を超大型輸送船に積み込み出荷していたものを、日米摩擦以後は現地の労働力と部品をアメリカ側から強制的に購入させられた経過がある。不本意ながらではあっても、労働力を受け入れ、(Kaizenn, Kiretuなどのアメリカ英語まで登場するぐらいにまで)教育訓練で何とか克服をした。ところが、部品については、今回問題になったように、現地の形状その他、完成車の性能レベルを発揮させるに十分さが不明な部品の購入を強制されているのだ。そこに追い討ち、アメリカ国内での個人需要見通しがリーマンショックを境にして超緊縮に突入して来た。ここから、アメリカ国内の状況は、トヨタ車の販売増加が見込める市場ではなくなったのだ。GMの株主であるアメリカ政府、このGM救済政策と対決しても、トヨタ自動車は売れない。


ここで、豊田社長の有能さが発揮された!
それまでの副社長クラスの、頑固とまでもいえる一本調子を豊田社長は切り替えたのだ。アメリカ市場から撤退する場合、トヨタ側からの意思表示を出せば、部品工場やアメリカ政府からの賠償金請求を招来することは間違いない。アメリカ文化というものは、海兵隊グアム島移転費の日本政府負担の如く、そういったものである。
もとより、トヨタ自動車の技術水準は非常に高いが、市場を制圧するのが技術力でないことは、トヨタが創業以来、身にしみて熟知しており、まして欧米の市場とはそういうもの(WTO協定理念)だからである。
→ トヨタが頑固な態度をとれば、訴訟がアメリカ全土で起こされる。
→ トヨタ自動車側の曖昧な態度は、アメリカ文化での違和感招来は必然。
→ GMはトヨタ車両下取りで販売促進、…米国政府政策を逆利用。
→ 曖昧な態度に徹すれば、文化的違和感のテーマとして客離れが発生。
と、あえて自然な装いでもって市場撤退策、といったシナリオである。
計算された円滑な戦略、「豊田家」ならではだ。
さて、自動車業界だけでなく、家電業界でも日米摩擦が発生する傾向である。
他山の石とし、貴方の携わる事業は、どういった教訓を得ただろうか。


日本のマスコミ論調は、物事を分析することに終始
ああだ!こうだ!と、不毛な論争をしている。
どうしても、国民はそれに流されて、「物事の分析めいた思考」、これに長けるようになってしまっている。そこに、あたかも一石を投じたように、100にひとつの事例を持ち出し、ペテン師めいた詭弁や修辞学が用いられる。これを現代日本の特徴と指摘する学者もいる。
古代ギリシャは、反対意見を認めない文化であったから、詭弁学や修辞学が、瞬く間に発展した。
ところが、反対意見を聞き、議論をし、多数行為で物事を進める文化を用いたローマ文化は、一挙にギリシャ文化を制圧した。
その後、現代実社会にあっては、物事分析(インフォメーション)は将来構想実現のための限定情報に限られ、将来構想に役立つ情報(インテリジェンス)こそ重要な役割を果たしているとして、(特にグローバル社会は)見識と決断力を、情報(インテリジェンス)に加えて重視する文化である。すなわち、「どうしたら良いのかを探るために情報を集める」といった情報の扱い方である。これがICT社会の流儀とされている。
その意味で、五大紙の新聞などが、
物事(インフォメーションは数値とは限らない)の分析に終始するのであれば、ますます無用の長物ならぬ、重たい紙の山、その「読者もが過去の遺物」とならざるを得ないであろう。加えて、正義か不正かは一先ずおいて、五大紙を中心に検察側に偏った報道の有様は、これに拍車をかけたのだ。
ところが現に、インテリジェンスを報道する地方紙や海外の新聞社は、健全経営、今もジャーナリズムの地位は確固としている。国内ジャーナリストも、このことに気が付き始めたのか、インテリジェンスを報道する視点からの経済政策論議も活発になってきたようである。
日本の社会経済で、ツイッター、2ch、携帯電話が幅を利かせている現象に通じているのかもしれない。


人材派遣業者を弾圧! 予算不要の雇用安定策
に厚生労働省が、火ぶたを切った。
このメルマガ号外で報じたように、派遣業の適正化として2月8日付で通達が出された。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000048f3.html
ところが、労働者派遣法施行の昭和61年(三協工業:偽装請負事件)以来と言っていいほどの、新たな動きが出て来た。この2月8日通達では、3月と4月に業界団体を通じて、監督指導を行うとしていた。
だが、3月1日になった途端、リクルート系のスタッフサービス(リクルートが1700億円で買収)などに改善命令が東京労働局から出された。
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/index.html
この種の命令は、本省主幹課の指示や了解がなければ出せない仕組みがあり、東京労働局の独断ではない。また、各地の営業所に対する改善命令も含まれていることから、この日までに溜め込んでおいた事件であることも間違いない。加えて、スタッフサービスは人材派遣業界団体の理事長職、もう1社のヒューマンリソシアは副理事長職の立場にある業者なのである。
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030101000884.html
業界団体には厚生労働省のOBが送り込まれているのだが、業界団体内部のOBの手引きの上で、理事長職に改善命令を出すことは、極めて政治的かつ特異な監督指導なのである。
3月1日の改善命令は、極めて世論誘導の手法ではあるが、全国労働局の担当職員が、監督指導をするにあたっての意気込みに、強力な追い風となる効果である。


監督指導の主要な点は、いわゆる26業務、
とりわけ
=事務機器操作における単純入力作業の禁止、
=ファイリングでのマニュアル仕分作業の禁止、
=付帯業務が時間数で10%を超える作業の禁止、
=全く関係ない作業を含む対象業務の禁止
として、派遣対象26業務から排除するといった狙いである。26業務から外れた派遣業務の期間は3年内であるが、既に3年経過している。すなわち、この10年ほどの、緩和された実態を禁止するのである。
それも、3月から4月の新入社員受け入れと派遣契約始期に照準を合わせている。
厚生労働省の言い方の論述構成は
「期間制限を免れるため、ファイリング業務などと称している」といった方法であるが、26業務の範囲外であれば、3年以内の期間制限が法律で定められている。「免れた業務?」とされれば、既に3年が経過しているのがほとんど、即刻、「派遣先は派遣労働者に直接雇用の申し込みをしなければならない」との法律規定に従いなさい!といったカラクリになるのだ。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000048f3-img/2r985200000048gl.pdf
こういった事態を、マスコミ関係者は理解出来ないから、記事にもしていない。
また、巷では、改正派遣法は国会で決まっていないのでは?と、その呟きが流れているのだが、改正法施行時点で改正内容を事前定着させておく作戦は、官僚の良識的責務として、行政機関の作為としては当然のこととされているから、社会問題にもなりそうにないのである。


S61年以来の変化が……それ以上に市場激変
26業務対象外の事務処理業務を派遣に頼っていた企業は、先々の情報を昨年の内からキャッチ、この4月1日から派遣社員を一斉にパートタイマーとして直雇用するとしていた。うっかり、マスコミ報道の論調に乗ってしまった人たちは、「派遣業を規制したら、雇用不安が再燃?まだまだ大丈夫!」と、高をくくっていた。しかし、監督指導を直撃されることとなった。
従前から、実態的には日雇派遣は弾圧され、採算面では合わなくなっている。
そこに、26業務の監督指導である。さらに、派遣の実態は、派遣スタッフを探すにも、一般求人募集に頼らざるを得ず、その分が派遣料金のコスト高要因となっているのが現状だ。
加えて、
労働者派遣業のそもそも論、これを振り返ると、
昭和55年オイルショック以来の、仕事の外注化・外注業者の活用で人件費削減といった長期戦略(背景には経済のグローバル化)の波に乗って、
昭和61年の派遣法施行は男女雇用機会均等法と共に派遣法が想定した女性雇用安定の側面をしのいで、
会社経理帳簿上の人件費を外注費に付け替えられるとの思惑で、いわゆる金融資本に翻弄されながらも、猫も杓子も積極活用した。
平成9年からは、規制の箍(タガ)が外れ、労働省の事業保護(社会保険適用の緩和)も無くなり、いわゆる自由化となって、悪徳業者の参入を許してしまったのである。
ここに至っては、労働者需給システムの柱であった、派遣労働者の業務・作業の水準や成果よりも、「派遣先担当者に従うか否か」の拝金主義思考が優先することとなり、これが刹那的な影響を社会問題に及ぼした。
それだけに留まらず、個別企業の「高付加価値製品や高水準サービス」の技術や技能に悪影響を及ぼし始めたのだ。
一時の風潮は、派遣労働者を正社員化すれば、悪影響を排除出来るとする意見が世論の主流ではあったが、今は薄れてしまっている。「中高年の発想」などと揶揄された末に、学識経験者・有識者には、正社員化による雇用安定論を支持する者はいなかったのである。「正社員化!」で踊ったのは、大手マスコミ関係者だけであった。当然、選挙戦でも正社員化?がマニフェストに、雰囲気利用されただけのことであった。むしろ、労働運動の研究家からすれば、「直接雇用を通しての労働条件の改善」といった、パート・期間雇用→雇用の安定改善が、現実的であると提唱されたのである。もちろん、これが世界の労働運動の潮流であるとしている。そこで、小さいながらも日本の労働組合運動は、この提唱に基づき、パートタイマーの組織化を進めているのである
したがって、社会・経済構造は変化する。
労働者派遣を取り巻く環境で、期間的には四半世紀、昭和61年以来の変化が来る。
100年に一度経済危機と市場激変に対応するため、ICTと相まって働き方の概念が変化する。


未払い賃金請求訴訟用のエクセル開発
したとの発表がなされた。京都の某弁護士が開発したとしている。
http://www.daiichi.gr.jp/syoukai/work/overtime.htm
このインテリジェンスの重要ポイントは、これを開発した弁護士が、自由法曹団の弁護士であるということだ。消費者金融の債務整理に奔走している弁護士たちが、将来の債務整理代理人の受注量激減を見越して、ビジネスのためにソフト開発したといった代物ではないことだ。
自由法曹団といえば、
高度経済成長以来、新たな労働判例を次々と導き出している労働者側の弁護士集団なのである。東大、京大などの法学部在学中に司法試験合格、あえて裁判官や法学者の道を歩まずに、労働運動などのために身を投じている人たち、といった人材の塊である。したがって、能力的には裁判官や一流大学教授の上を行く人物にも事欠かない。この弁護士たちの集団活動が、新しい労働判例を導くといった結果にもつながっているのだ。兎にも角にも、その方面の根性が入っているから、当然の如く、著しい能力が発揮されるという訳だ。


訴訟用エクセル活用して、書証として提出
しようとの呼びかけである。日本労働弁護団と自由法曹団所属の弁護士らの限定使用としている。ところが、彼らは一声かければ、数百人の志を同じくする弁護士が集まるつながりをもっている。自由法曹団は全国の都道府県全域に窓口をもっており、全労連系の組合への労働相談も、ここに流れている。松下PDPの労働者側弁護団は203名の弁護士とのことだが、これが1例である。
http://www.minpokyo.org/jihou/2010/1001.html
だから、この集団ガが動き出したとすれば、サービス残業・賃金未払い等の事件は、個別企業にとって脅威なのである。大量の訴訟を提起することにより、「量から質への転換」といった彼らの命題も実現、すなわち労働基準法や労働契約法の法改正を迎えることを目指すといったことなのだろう。


訴訟用エクセルは公開
されている範囲でしか判断出来ないが、賃金計算ソフトとしては、未熟さを含んでいるように思われる。それは「これからの研究課題」としている部分に、その課題は集中しているようである。始業終業時刻の定めがない場合、1ヵ月内変形労働(週休2日など)の場合、法定休日を定めない場合の計算方法など、巷で主流となっている事柄への対応は、今からのように思える。賃金計算の分野に、「専門的職業人の存在しない」のが、日本的労務管理の特徴なのである。だから、この訴訟用エクセルは、巷の計算ソフトに比べ勝ると誇ってはいるが、確かに優位だと見受けられるが、それはあくまでも巷の計算ソフトが、あまりにも、お粗末その物であるからにすぎないだけのことである。
「刑事事件は金の流れを追っかける」
「労働問題は絵図に書いてみる」これが原則である。
労働時間の集計は、加減乗除の計算ではなく、積分&マトリックス計算であることが根本となる。労働基準法に積分方程式やマトリックスが、どのように組み込まれているかは、賃金理論の専門家の分野である。
http://www.soumubu.jp/download/template/template2/jinji/labortime.html
とはいっても、この訴訟用未払い賃金計算エクセルは、裁判所に提出する書証であれば、十分満足出来るものであることには間違いない。
☆【要するに、
いい加減かつ、「業務改善や付加価値など何のその!」といった個別企業が、狙い撃ちにされることには間違いない。
「30時間以上の残業カット」といった個別企業は、有名企業であるほど、(彼らのいう)独占大企業であるほど、ファイト!ファイト!と、狙い撃ちされるのである。
☆【経営側弁護士にとって、
この分野は、ほぼ「お手上げ状態」などであり、権威高い有能な弁護士は引き受けたがらない。
未払い訴訟が発生すれば即決請求額支払で、弁護士費用節約を優先する個別企業も少なくない。
適切経営管理・高水準監督体制をもってして、会社側が優位に切り返せる裁判例(互光建物事件:大阪地裁。平成17・3・11)は、まだまだ少ないのである。
☆【反面、「残業禁止命令」といった手法
などで、会社から通達するなどして、抜本的業務改善を促進している個別企業は、狙い撃ちにされることもありえないのだ。


社員が事件に巻き込まれたら…? 初動方法WEB開設
社会や経済が激変期に入ると、必ず事件が多発する。市場の変化に合わせて事業改革を断行すれば、ここでも事件が多発する。それは、社会でも個別企業でも、変革するときには、一時的にせよ、それまでの秩序が崩壊するからである。だから事件が多発する。また、変化に対する注意が行き届かないとこから事件に巻き込まれる確率も高くなる。
社員が通勤中に痴漢で逮捕された。宴会の帰りに、喧嘩で逮捕された。飲酒運転で逮捕された。大麻や覚せい剤で、逮捕された。社員に対して、恐喝や横領の脅迫が来た。会社に脅迫状が届いた!
このとき、貴方は、総務部門の責任者として、どう対処しますか?
警察や逮捕された社員の家族から連絡があったときからの初動方法を公開しました。
専門家へのコンタクトルートも紹介
http://www.soumubu.jp/contact/free/f014.html