2012/12/04

第128号

<コンテンツ>
インフレでもデフレでも、景気は回復しない。
個別企業の組織崩壊、その人事的兆候とは
今年から、仕事の劣化が顕著な様相を!
職業能力&人材育成の方向転換、時は急ぐ!
巷の経済学では解明出来ない経済の話
4月1日、労働法改正にまつわる質疑
   ・期間契約は、「5年を超えて更新しない」といった記載の効力?
   ・5年以内なら、本人さえ納得すれば期間満了では?
   ・いっそ、期間の途中で30日分を払って解雇するのは?
   ・まだ5年以上も法改正の猶予期間があるのでは?
   ・65歳までの再雇用、その後の契約更新は無期に転換するのか?
   ・パートなら、5年を超えても同意してくれ、大丈夫?
   ・パートなのだから、賃金格差、通勤手当無しは当然?
   ・どこの国でも、法律を造る側のすることは、すなわち


§インフレでもデフレでも、景気は回復しない。
そもそも、インフレーションとかデフレーションといった名称は、流通している経済財に対する通貨供給量との関係である。これは高校生の教科書にも載っていることで、インフレ政策をとっても景気が回復しないのは、1970年代のスタフグレーション説以後、毎度のことである。選挙になれば、まさに受け狙いだ!
インフレとは=巷に大量の通貨量を供給して商品交換を誘導すること
デフレとは=少量の通貨に供給を減らし商品交換するといった現象のこと
を指す。すなわちインフレとは、輪転機を回すなどして紙幣を大量増発すれば、流通経済における経済財総量は急激に増えないから、一つの商品に対して通貨供給量を水増しすることとなり表面化も値上がり、といったカラクリとなるのだ。インフレ政策でいちばん収益をあげるのは、国家財政である、だからインフレ政策を=大衆課税と言う。この大衆課税の常套手段は、輪転機で紙幣を印刷するよりももっと手際よく、国債という紙切れ一枚で大量の紙幣を供給したことにする手段を使っている。国債のほとんどは民間銀行が引き受けさせられている。国債の9割は国内の金融機関が保有、金融機関は政府の厳しい監督下で自由に国債を売却できない。今話題となっている「日銀買い取り」というのは、行政機関が国債を発行して、自ら当該国債を買い取る仕組みのことである。今や誰もが、そんな「子供銀行」並みに馬鹿げた破綻招来の道は、誰もが見抜いている。
日本政府は、朝鮮戦争による軍需特需以降、この方式を続けてきた。
が、バブル崩壊とともに行き詰まり、そのまま行き詰まりを無視して続けたことで、現在の国家財政危機を招いている。その本質は、財務省に集まった大衆課税収益を、公共事業その他の名目で民間企業に対して発注・配分することである。この公共事業のおこぼれ目当てに、様々な民間業者は群がってきて、確かに「一瞬の潤?」は味わうことが出来る。まさに日本の過去は、こういった手法の社会主義計画経済そのものであったのだ。
今から思えば、行き詰まった1990年ごろの最後のチャンスに、社会主義実体経済から離脱する「手が打たれれば」良かったのであるが、行き詰まりを無視して続けたことは、日本国内の民間個別企業の成長を阻害し、技術・技能を「切磋琢磨」しない社会づくりにつながった。その後の規制緩和と言っても、経済学的に破綻した社会主義国と同様に、「金融をいじくっただけ」なのである。社会主義国も、社会主義経済的に金融破綻したし、もちろん日本も金融破綻したし、その破綻ぶりは何れも資本主義的ではなかった。
因って、
日本経済は世界から見放された、日本の商品を買ってくれる人はいなくなった。決して円高不況になったのではない。ところでドイツは、水面下で独り勝ち、EU金融危機によるユーロ安で、史上最大の輸出を続けている。かつ今、デフレと言われている現象は、国内製品を新興国からの輸入品で代替したことによる価格破壊も影響しているのだ。この12月は経済経営が大切で、うかうかと選挙の世論操作やTVやマスコミに誤魔化されてはいけない。


§個別企業の組織崩壊、その人事的兆候とは
この秋、元住友銀行の元行員からの複数の内部報告を聞く機会があった。みずほ銀行の内部を描いたノンフィクション小説も存在するが、別々の複数方から住友銀行内部の当時の実態を、それも、それなりの役職経験者から直に聞けることは滅多にない。それは、人事労務管理の仕事には、極めて貴重なものであった。
その、当時の内部実態の要点は、
1.主に課長職以下の行員の発言と、実行する内容が食い違ってきた。
2.ヤクザへの融資が増える、そのために偽装書類を部下に作成させる。
3.「立場上やむを得なかった」と、ひとりが言い逃れし、それが拡散・蔓延。
すなわちこれが、当時住友銀行が内部から組織崩壊していった兆候と言うのだ。後日、住友銀行内部では、「投資先の間違いであった」との反省の弁を多くの行員が口にしたとのことだが、後の祭りであったとのこと。だが当時から、ほとんどの行員から、「立場上やむを得なかった」との発言がいまだに消えることは無いとのことだ。
元住友銀行の元中枢行員の話は、
「一旦、転落し始めてしまうと、もう取り返しがつかない」という証そのものであった。彼らが当時を振り返り、今も悔やんでいるとして口にしたことは、「立場上やむを得なかった」の発言が持ち込まれた時点で、その場で芽の小さいうちに食い止めなかったことだった、と言う内容だ。カネボウが崩壊したとき、当時の社長は、「10年前に兆候は見えていた。命の危険を感じたが、それでもあのときに手を打っていたらと思っている」と、後日手記にしたことを思い出す。
加えて現代、3・11の地震・津波・原発事故の後に、
そもそもが、予見はあったが、「もとより計画外」の事柄を、何か責任の所在があやふやな風に、「想定外」といった言葉を、誰もが繰り返している。確かに、「所詮はサラリーマンの如きだから」と、その責任を問わずに甘く対処しても良いかもしれない。だが、基本的に必要なのは、「敗軍の将、兵をかたらず」といった責任ある姿勢・態度(決して原因究明をしないということではない)の、実際に仕事のできる人間である。しかしながら、その多くは、取り返しがつかない。
因って、個別企業で、
こういった兆候を貴方が発見すれば、芽の小さいうちに対処しなければ、後日危険がやってくる。1回の人生の中で何度もあるようなものではないから、社長に進言し、社長補佐して、早急対処が求められる。「敗軍の将、兵をかたらず」と社長に責任転化をしたとしても、その前にサラリーマンは「兵」であり、敗軍となれば浮き上がることが出来る確率は、「1000に3つ」程度だ。


§今年から、仕事の劣化が顕著な様相を!
ことに、首都圏・関東方面での、業務水準の劣化を肌で感じる。ICTシステムも、本来は業績向上を念頭におくべきところ、組織維持のために各種ICT機器を活用するといった具合だ。ICT機器による効率低下が直に影響して、労働者は表面だけを取り繕い、方針が末端まで通らない事態も招いている様相である。もちろん、提供する商品の価値増殖などとは反対の方向に動いている現象は、次々と散見している。労働者が価値増殖出来ていないのだから、賃金水準の下がるのは、原因は別として確かに自然なのである。金銭的インセンティブで動く正規社員も激減しているようだ。所詮、「動機づけ」といったものは、仕事が単純作業であれば効果もあるのだが、創造したり高度な判断を要する作業では、「動機づけ」を持ち込めば仕事の足を引っ張る。
東南アジアへの進出と言っても、一時もてはやされた日本的労務管理は、今や口先だけになっている様相だ。日本的労務管理は、ほぼ世界的に崩壊してしまったようだ。インドネシアからの報告では、インドネシア金属労連という労働組合が大活躍中?との事である。その労働組合の主力は、電器・自動車などの日系企業であり、組合員構成の80%以上を占めているとのこと。日系企業もインドネシア現地では、日本的労務管理の理念は実行されていないとの報告がなされており、極めて激しい交渉と争議が繰り返されるとのこと。現地調査の最中、ある日系企業がデモで工場を囲まれて日本人幹部を含む従業員450人が帰宅を阻止され、二晩続きの交渉の末やっと会社側の全面譲歩で解決するという事態に遭遇したそうだ。「ジャカルタ日本クラブ」(現地商工会議所のようなもの)でも、争議激化には頭が痛い様子とのインタビューを採っている。
ソニーとパナソニック、この2社の株価評価がこの秋にガタ落ちした。この秋に出版された、「リバース・イノベーション」(ダイヤモンド社)の研究書籍では、ソニーが中国向けに「型落ち」した製品を販売した結果、一挙にサムスンに追いぬかれたと分析している。この本の著者は、貧困国の市場を斜陽技術のゴミ捨て場のように見たのは誤りで、安さだけでは新興国市場の期待はつかめない。「それなりの性能が必要であり、それを提供するためには全く新しい技術が要る」といった主旨の分析をしているのだ。こういった分析の材料企業にされているぐらい、ソニーは能力低下を起こしたのだろうか? それとも、こんな分かりきっていることをサボったのであろうか?
こういった風潮を見てとって、短絡的な考えに走り、「新興国で通用するグローバル経済」に傾く発想も強まっている。果たして経済原則である、「お金がなければ、まして新興国など経済成長も豊かさも不可能」といったことを忘れているのだろうか。親が子供の教育にかける期待も変化したとの調査もあるが、「出稼ぎのために教育する社会」は、必ず滅びるのが歴史の必然である。
http://www.benesse.co.jp/newsrelease/20120911_004.html


§職業能力&人材育成の方向転換、時は急ぐ!
今、必要な能力は創造性:創造力だ。
人間の職業能力には、次の三つの分野がある。
 分野1:スキル skill
   技能がある、それを見れば・聞けば、意欲は出る desires, will
 分野2:パフォーマンス performance
   芸当や技巧があれば、感動する impressions
 分野3:アート art
   芸術になると人に希望を抱かせる hopes
この三つのいずれかに重点を置き、二つを有機的に結合させて、人類は職業能力を発揮するようにしてきたのだ。このことで、人類は朝から晩まで休むことなく、飢餓と隣り合わせで働き詰めることから解放された。それは現代でも、また個々人でもあてはまることなのだ。
そして現代は、この日本の地に足につけて国内にも海外にも、将来を望むなら、第三の「創造力」に相当の重点をおいての能力向上である、それも仕事においても芸術的に!なのである。そのわけは、周囲に希望、活気、啓発その他を与えるのは芸術だからである。貴方だけの意欲的働き、感動的働き、今やこれでは周囲は動かない、家族ももちろんだ。だがその原因も解決も、個人ではなんともしがたい種類の事柄であることも間違いない。では私が何をいいたいかといえば、貴方の労働・労働力こそを、固有価値(意欲&感動&希望)のある商品として提供していただきたい、そこに解決の道があるとの結論である。
そのために、貴方の足手まといを減らす目的で、私たちは次のようなサービスを開発した。
(料金表の次の、=改善コンサルティング=と=1日講座=の2つ)
http://www.soumubu.jp/price/index.html#new
(A)貴方の知恵を支えるために=改善コンサルティング
(B)総務人事部門の事務員が、貴方の足手まといにならないように=1日講座
この二つを、私が思い切って推奨する理由は、
このメルマガの後に触れることになるが、日本国内で流行している旧来の経営管理方式、あるいは旧来の経営についてのアイディア、これを実行・継続することを進めると、今の個別企業が「安泰」どころか、転落しかねないからだ。日本の経済・社会状況はそこまでの危機に瀕しているし、その奈落の渦に何れの個別企業も巻き込まれようとしているからだ。
そして加えて注意点、
個別企業は、あくまでもクライアント・利用者を相手にしている。より連携が顧客と深くなれば質・量ともに充実し、それが息の長い経営に役立つのである。こういった目的とは別に教育や研究を施しても、何の役にも立たないし、自分の役にたつどころか能力劣化を起こすのが通常である。いわゆる資格マニアがそうだ。だから、クライアント・利用者と接触することが、教育・訓練・創造力開発には重要なヒントや刺激になる。例えば日本では、通信関係、在宅医療外注、健康医薬品その他、販売や配送をマニュアル化して外注したために、製品やサービスの質・量は向上せず、新商品開発に失敗、クレーム増加で評判低下などを招いている。あとで述べるが、携帯電話のノキアは、その国ごとにクライアントになると予想出来る人たちの生活・経済を、必ず肌で感じる方法で調査に入っている。サムスンも日本家電業界の傲慢さから生まれる間隙を突いたかと思えば一挙に売り上げを伸ばした。
要するに、
スキル(技能)、パフォーマンス(芸当・技巧)、アート(芸術・創造性)の三方面の何れにしろ、クライアント・利用者と接触が不可欠なのである。それは本当の意味でのコミュニケーションであり、面談していてもコミュニケーションの拒絶(マニュアル、見世物自慢の芸当など)があっては意味がないのだ。本来の職業能力向上のコツは、「行動特性のパターン化と普及」である。それは三方面での教育テクニックは、それぞれ独自に歩んで行くものだ。それを、「マニュアル化」と偽証して、手抜き作業を展開したから経済・技術・創造性は破綻したのだ。(その背景には、商品の価値を公共事業と同じく使用価値や効用価値と、官僚たちが規定してしまったところにも原因がある)。


§巷の経済学では解明出来ない経済の話
すなわち、個別企業の経営活動や普段生活の豊かさに、身近ではあるけれども、マスコミ業界の好きな巷の経済学ではないから、世の中に広まっていない経済の話である。マスコミ業界の好きなテーマには、過去の経済成長の「夢をもう一度」との白昼夢とか、金融政策さえ打てば景気が上向くとする終戦直後時代の方式とか、そういったものが含まれている。EUなどでの次世代経済議論の的となっている、「環境配慮を追求することで経済成長を招く」といった考え方、成長が止まった現代の「成熟すれば成長もついて来る」といった発想などは、マスコミ業界や記者たちは、どうも、そういった経済の話が嫌いなようだ。
   不動産業者は、契約成立件数の数をあげるために、
   商取引において、取引の一方が、もう一方に比べて
   出会い系サイトは、自分の個人情報を
   同一商品における販売価格の差異化は、
   別の地方からきた商売人は、地元の商売人よりも、
   流通の習慣や流通の障害から脱出して直接商品提供
   世界の先進諸国においては、伝統産業と言われる
   労働市場(労働需給システム)がオープンな国は、
   否応なく決断を迫られる事態が生じないよう、前もって判断
   肥った女性、歯並びの悪い女性は、
   チャイルドシートよりも子供の成長に合わせたシートベルト
   景気の良い時代には、値段が安く仕組みも簡単な便利商品は、
   アメリカのER(救急救命機関)の実際の調査によると、
   石炭は化石燃料の中で最も安価で、まだ大量に存在するし、
   携帯電話のノキア1100型は農漁村地帯を中心に、
   世界の経済学者(日本の経済学者は異質)の一般的考え方は、
   なお、もう一段と深い部分の研究をしたい方は

(A)不動産業者は、契約成立件数の数をあげるために、
貸主や売り手に、賃料とか販売価格の値下がりを誘導する。高値で契約成立を行なおうとすれば、時間がかかり、時間をかけた割には成立件数が伸び悩むから、貸主や売り手に利益の圧縮を求める経営方針となる。

(B)商取引において、取引の一方が、もう一方に比べて、
たくさんの情報を持っている。(経済学用語=情報の非対称性という)この情報の非対称性に因って成り立っていたビジネスが、インターネットに因って致命的な打撃を受けている。医療健康、法務行政、不動産取引、学術教育など。

(C)出会い系サイトは、自分の個人情報を
見ず知らずの人と交換しあう、インターネットで最も成功している会員制ビジネスである。今から5年前のデータでも、アメリカは4000万人のメンバー登録、実に全人口の16%に及ぶ。ICT産業革命のおかげで、クー・クラックス・クランのようなもの。日本でのビジネス宗教などといったものも衰退しつつある。

(D)同一商品における販売価格の差異化は、
巷の経済学では議論されない。差異化が発生する主な条件は、
  (1)高価格を払ってでもほしいと思う顧客の存在する商品
  (2)その商品は転売されることなく、利ザヤを抜かれることを売り手が止められる商品

(E)別の地方からきた商売人は、地元の商売人よりも、
顧客を騙すことが多い。たぶん地元の商売人は自分の評判を気にしているとの分析だ。地方に進出する大手流通業者の商品は、都市部に比べて価格は高い、がそれだけではなさそうだ。

(F)流通の習慣や流通の障害から脱出して直接商品提供
を顧客に行うことで、著しい経済効果が生まれる。例えばソニーの電子書籍構想は、出版業界とソニーが手を組んだ裏で、出版業界が電子書籍構想の進展を妨害したとされる説が有力だ。同じ電子書籍構想でもキンドルは成功しているが、当初から従来の流通習慣や流通障害を排除して事業展開をしていた。多くの人が今でも、業界各社が連携すれば、かならず経済発展するとの錯覚をしている。

(G)世界の先進諸国においては、伝統産業と言われる
旧来の職人芸に頼っている産業は、ほとんどは採算割れをしている状況のようだ。そこに、顧客の持っている不便さを解消するとか、ニーズを調査しストレートに提供形態を改めると、一挙に需要を増やしている。例えば、アメリカのボストン交響楽団やニューヨークフィルなど9つのシンフォニーオーケストラ(民間事業)が行ったことは、顧客の調査を行った。結果、駐車場を充実させ、前奏曲の時代背景や作曲家の生涯を解説し、チケット払い戻しを迅速にするとか、友達無料招待券、ポピュラーな曲目の挿入その他を行った。すると、売れ行き30%増しとか、通常チケットの5倍の演奏会、ものに因っては20倍の実験結果を得た。アメリカのオーケストラは会員制で支えられているが、会員数を700人から1000人に増やした楽団も現れた。

(H)労働市場(労働需給システム)がオープンな国は、
窃盗、強盗、詐欺、恐喝、横領といった財産にまつわる犯罪に対して、人々は魅力を持たなくなる。日本のように正規と非正規の格差が激しいとか、産業業種を異動する垣根が高いといった労働市場が閉鎖的な状態は、決してオープンとはいえない。派遣労働や偽装請負に多くみられる単純作業の繰り返しで職業能力の身につかない集団を形成すれば、労働市場は益々閉鎖的になる。

(I)否応なく決断を迫られる事態が生じないよう、前もって判断
を、仕事の中で繰り返すといった経営管理法が重視されている。今や、決断をしなければならない事態=その決断に至るプロセスの途中で解決しておかなければならない課題を放置したツケが回ってきた結果、という風に受け取る時代になってきた。小さな失敗や計画のズレが発生すれば、その問題が小さいうちに判断して、修正・解決することで、リスクを抱える「決断行為」そのものを回避するようになった。
バブル経済以前のオーソドックスな経営管理法は、本気で事業展開をする場合は、資本金5億円以上の会社を設立する。それ以下は基本的にアンテナ事業である。その投資した5億円を、初期に定めた計画に沿って予算消化して行く経営管理方式であった。その予算消化の必要に迫られマーケティング理論が確立したのだ。初期の計画を実行することのみが経営管理では重視され、軌道修正すること自体が否定された。もちろん、間違いを認めることも許されなかった。計画をやりきることが良い経営陣と評価され、成功すれば意思の強い人だと精神論がもてはやされ、成功しなければ、「運が悪かった」と慰める運命論者だった。
だから個人的なそこでの危険な損害を回避するために、日本では、同年代・同期は、精神論と運命論が入り乱れる、「同類で慰め合い助け合う」人間関係が、家族の絆よりも重視される社会であったのだ。家族よりも会社人間関係が危険を回避する仕組みであったから、家族が二の次扱いを受けたのも当然であった。これが「家族のために働く!」ことの本質であった。だが、こういった官僚的・社会主義的な管理が、経済の足を引っ張った時代であったし、家庭崩壊の主要な社会的原因であったとされている。

(J)肥った女性、歯並びの悪い女性は、
それだけで男性に比べて悪い境遇を押しつけられる。また女性は相対的に稼ぎの少ない分野(能力があっても例えば医者でも一般医、企業法務、一般公務員、企業会計など)で働く傾向があり、家庭や子供のために仕事を離れるとか、楽な仕事に行く傾向は強い。先進国各地の分析によると、小売りや旅客輸送は、利便、簡単注文、親切、関連情報を重視する個別企業が伸びている。また、飲食・販売に絞ると、第一:店の見た目、第二:温かいもてなし、第三:新鮮高品質の順に、店舗展開方針を決定している個別企業は伸びている。

(K)チャイルドシートよりも子供の成長に合わせたシートベルト
の方が安全で安価だ。水道水にフッ素化合物を加えることで歯科医療費は激減した。カーシェアリングは、都市部において集中的に営業所を展開することで成功した。DVDレンタルは、一両日中に配送するシステムで成功した。良く分析すると、そこにはクライアントの後援や協力といった、商品価値増殖作業の(買い手と売り手にまたがる)分散が存在している。

(L)景気の良い時代には、値段が安く仕組みも簡単な便利商品は、
みんなでそれを馬鹿にする。高血圧・高コレステロールを安い薬で抑えることで心臓病での死亡率は激減した。初期の心臓病治療薬は激安商品である。日本が開発した老化防止のコエンザイムQ10の酸化型と還元型のいずれもが安価な商品である。活性酸素を除去する水素(H2)気体そのものはさらに安い。数10ccの砂糖水を夕刻に飲むだけで、夕食の食欲が減退しダイエット効果は著しい。初期の糖尿病は、発見後数ヵ月間の糖分遮断で治る。傷病を予防する医療行為は民間医療保険会社も歓迎するようになった。高齢者予防医療に、室内段差の解消、毛足の長いカーペット排除、高齢者の足の爪きり、心疾患患者の体重を毎日把握などが広まりつつある。すなわち、問題が起きる前にそれを防ぐやり方だと、長い目で見ればとても安くつくことが多い。

(M)アメリカのER(救急救命機関)の実際の調査によると、
訴える症状の中で危険度の高いものは、息苦しさ、血栓、熱、感染症といったもので、危険度の低いものは胸の痛み、めまい、しびれ、精神科的症状だとの結果がある。

(N)石炭は化石燃料の中で最も安価で、まだ大量に存在するし、
技術開発のおかげで窒素酸化物処理法も進展している。ちなみに日本には、製鉄など工業に適した石炭の埋蔵は多い。日本の大陸棚拡張申請を国連が認めたため、日本のメタンハイドレート、レアメタルの採掘権領海が拡張された。今や日本は、次世代の資源大国になりつつある。窒素肥料(硝酸塩肥料)は農業生産量を一気に引き上げた、そして極めて安価な肥料であった。二酸化炭素濃度の高い温室での植物栽培では、植物の成長度合いは高まり、吸収する水量も節約出来る。

(O)携帯電話のノキア1100型は農漁村地帯を中心に、
インド、南アジア、ラテンアメリカ、アフリカといった貧しい国々に、最初の5年で2億5000万台を販売した。さまざまな機能は切り捨て、農村のニーズをとらえることはもちろんだが、なによりも経済、農産物や漁獲量の生産性向上と、旧態流通による腐敗・廃棄の無駄を解消する効果を生み出すことに、ノキア1100型は設計されている。

(P)世界の経済学者(日本の経済学者は異質)の一般的考え方は、
現代のようにストックが増加すれば分配方法を変更することを自然と考えるものである。ただし、現時点の経済危機は、いわゆる循環の繰り返しと見ている経済学者は少なく、18世紀から始まった産業革命以来の危機と見ているか、若しくは、「商品」が生産され流通が活発になって以来の450年ぶりの危機と見ているか、といった人が多い。共通しているのは、ICT産業革命の真っただ中であり、日本の戦後の高度経済成長時代や終戦直後の金融・公共事業政策の間尺では対策がとれないとの認識である。

(Q)なお、もう一段と深い部分の研究をしたい方は、
   ☆彡東洋経済新報社の、「ヤバイ経済学」
   ☆彡東洋経済新報社の、「超ヤバイ経済学」
   ☆彡日本経済新聞出版社の、「ザ・ディマンド=爆発的ドーム需要創出術」
   ☆彡朝日新聞出版社の、「BCC流競争戦略=加速経営のための条件」
などが研究入門としては、おすすめ書籍である。

さて以上、
ここに挙げた事例は、読者の固定概念を崩すために拾い集めたものの一例である。つい十数年前まで活躍していた、世界の有名企業のビジネスモデルのほとんどは、1929年の世界大恐慌の後に開発されたものである。だから、どうしてもそんなイメージに固まりやすく、読者の先輩や知識人の多くは、同じようにどっぷりつかった固定概念に染まった色眼鏡をとおして、貴方に語りかけているわけだ。そんなスタンスのままでは、真剣に頑張るほど崩壊のスピードをはやめていったのだ。
そう、世界恐慌前に活躍した企業も、戦後に活躍していた企業も、もちろん日本でMade in Japanで風を切っていた企業も、それまでのビジネスモデルは破綻若しくは崩壊してしまった。ほんのわずかに企業名を残すのみなのである。


§4月1日、労働法改正にまつわる質疑
労働契約法、高年齢者雇用安定法改正について、よくある質問に回答をする。

期間契約は、「5年を超えて更新しない」といった記載の効力?
そういった契約やその旨の就業規則改正の効力はあるのかとの質問ですが。端的にいえば、そのような記載を行ない、誰が何を言っても、どんな事態になっても、「5年を超えて更新しない」ことを実行すれば、たしかにそれは有効ではあります。問題は、労務管理の実態からは現場では不可能、若しくは経営者や人事部門の目の届かないところでは実行していない可能性が高い実状なのです。中小企業は管理能力がないから不可能と決めつけるのは実態無視であり、大手企業であっても人事のいうことを聞いていない事例が多いのも事実です。もとより、そういった「5年を超えて更新しない」といった記載が、組織として履行出来るのであれば、なにもわざわざ法律で有期労働契約の規制に介入して来ることすらありえないのです。

5年以内なら、本人さえ納得すれば期間満了では?
雇用の期間契約の会社側の目的が、人手が余ったとか都合良く解雇出来るとか、「期間満了で丁度良いから!」といった行為が労働契約法第19条で、今年の8月10日から禁止されました。その場合、3回目以降の契約更新を8月10日以降に迎える場合、期間契約が自動更新されます。本人の働く意思がなければ出社しないので差し支えないのですが、「いやだ」とか「困る」といった口頭の意思表示だけで、法律は労働者を守ります。加えて、後日に代理人からの意思表示が行われたのだとしても、法律は労働者を守ります。5年以内と言っても、次回の契約更新の際に解雇したい場合は、社員と同じように普通解雇の客観的合理的かつ社会相当的理由が必要になります。理由が、「期間満了で丁度良いから!」といったものではないことを、証拠だてて証明する必要があるのです。

いっそ、期間の途中で30日分を払って解雇するのは?
解雇する場合は、客観的合理的かつ社会相当的理由が必要になります。30日分を支払えば解雇出来るというのは、社員でも契約社員でも、それは合法的ではありません。労働契約法では、期間残余の労働者の逸失利益(賃金100%)の支払いを求めています。加えて、そういった解雇は無効ですから、先程述べましたように契約期間が自動更新される場合もあり得るのです。なお、終期契約を結んでおれば、逸失利益の支払い問題は避けることが出来ます。

まだ5年以上も法改正の猶予期間があるのでは?
安易な解雇をするための期間契約の場合は、来年の4月1日から5年を経過する前に、3回目の契約更新を迎えて自動更新されますから、猶予期間というもの自体が存在しません。まして、今年の8月10日以降に3回目の更新を迎えてしまったのであれば、もう既に自動更新されています。その場合、60歳以上の定年などの定めがなければ、「死亡するまで」自動更新することになっています。辞めてもらうには、就業規則の具体的な解雇条項に該当するような客観的合理的社会相当的理由がある場合、もう一つは会社から懇願して退職に同意していただく場合しか、現在でも道は残っていません。

65歳までの再雇用、その後の契約更新は無期に転換するのか?
再雇用制度を、60歳を過ぎて1年間の期間契約を繰り返す会社が多いようです。60歳から5年間の労働契約も許されていますから、65歳以降の契約更新が1年ごとといった会社も少なくありません。いずれにしても、期間契約には変わりがありませんから、客観的合理的社会相当的理由がなければ、3回目の更新から自動更新となります。加えて、来年4月1日から始まって6年目に突入したときは、無期労働契約に転換するのです。無期契約とは、定年や再雇用の年齢その他の定めがあればその時点まで、決めていなければ、「死亡するまで」の期間をさします。
ですからその場合に、6年目が定年や再雇用年齢を過ぎている場合とか、それが無期契約に転換するので、「死亡するまで」は客観的合理的社会相当的理由がなければ解雇することは出来ません。なお、注意をいただきたいのは、60歳定年や65歳の再雇用年齢を過ぎている労働者を多数抱えている場合には定年や再雇用年齢の年齢制限自体が、慣習により就業規則の効力を失っていますから、念の為。ここでも、会社から懇願して退職に同意していただく場合しか、道は残っていないのです。厚生労働省から施行通達が出されていますが、今述べたような事態に至ることを、彼らは既に予見しているようです。

パートなら、5年を超えても同意してくれ、大丈夫?
大丈夫と考える場合の法的根拠はありません。ひたすら会社から懇願して同意していただくしかないのです。すなわち、パート労働者といえども法的に対処するとの意思も持てば、いつでも申し入れをして無期労働契約に転換をすることも出来ますし、実態としてはいつでも自由に退職出来る状況が出来ているということです。現代は経済成長の時代ではありませんから、最も会社にとってマイナスなことは、予見出来ない事態や不安定な計画のもとに経営管理を行うことです。大概のリスクは、後日になって膨大な累積となったところで請求がまわってきます、それも法律を伴って。経営上の一般債務がそうですが、労働債務も同じようにまわってきます。

パートなのだから、賃金格差、通勤手当無しは当然?
今年8月10日から、社員と同じ仕事をしているにも関わらず、期間の定めがあることによって労働条件を低くすることが禁止されました。ここでの要件は、「社員と同じ仕事」ということです。ほぼフルタイムの期間労働契約者が対象とされます。通勤手当の不支給が典型的なものとされています。法律で、正規社員と非正規社員の格差は五項目余にわたって認めるとしていますが、それにあてはまらなければ賃金格差とされます。確かに、訴えがなければ支払う必要もないのですが、例えば退職時にまとめて過去2年分(ただし平成24年8月10日の法制定日後のみ)を請求出来ますから、目に見えない労働債務を抱えることになるのです。また正規社員との格差は、「ダラダラ仕事をしている社員」との差が最低基準となりますから、チェックしなければならないのは非正規の期間労働契約の従業員だけではないのです。

どこの国でも、法律を造る側のすることは、すなわち
政治家・首長・官僚・公務員といった人たちが考えることは、たとえ彼らがどれだけいいことをしたつもりでも、今回の労働法改正がほとんどオール与党であったとしても、実際の民間企業=個別企業の中で、人々の利益や建前その他インセンティブにどのように反応するかを想定(計画や予見も含め)すらしていないのです。昭和27年の職安法施行規則改正、昭和61年労働者派遣法、昭和61年男女雇用機会均等法、平成9年職安法改正、平成11年労働者派遣法改正その他、厚生労働省の官僚が思いもしなかった事態ばかりを生んできたのです。