2013/02/05

第130号

<コンテンツ>
インフルエンザ、風邪、アレルギー性気管支炎
改正:高年齢者雇用安定法の対策
あと30年はデフレ、これが真実。
なぜ日本で、偏った情報や経済論評が
現在の「いわゆる不況」の原因は、
同業他社より一歩前に出るだけ
中堅中小企業には【直ぐ取り組めるOJT】
実体経済が一層の深刻さを増す実態
現在の日本企業の社是・社訓というものは
仕事の教育を行うときの順序
監督職・技能職の教育ポイントは
固有価値商品の、サービス(服務)行動、13ルール


§インフルエンザ、風邪、アレルギー性気管支炎
(1)これらが大変な流行している原因には、健康保険・医療制度に問題があると考えられるとはいっても、個別企業での目前の対策が必要である。
(2)インフルエンザは、……
予防接種をしておけば、まず罹ることがない。伝染で気を付けなければならないのは眼球の粘膜からウィルスが侵入することである。インフルエンザ予防にマスクは関係ない。ウガイも関係ない。それはウィルスが目に入れば10秒ほどで感染するからである。サーズ、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザその他ウィルス性伝染病は総て粘膜から侵入する。侵入した後に手を洗っても仕方がない。だから眼鏡の方がまだしも有効である。とりわけ、世界中どこでも医者という人たちは手を洗わないから危険度は高い。自覚症状は喉から異変が現われ、そして熱が出る。あとの治療は医師と相談してどうぞ。
(3)風邪は、……
その感染経路が決まっている。まず鼻の粘膜が侵され、→喉の粘膜が侵され、→気管支が侵される。だから、変だと思ったら、0.45%の食塩水で鼻の中を洗うことである。0.45%の食塩水ならば、鼻は全く痛くない。鼻のタンを出し、耳を塞ぐなどして鼻をかめばキレイになる。黄色い色の病原体の塊を鼻から出さなければならない。感染当日なら、それだけで風邪を引くことはほとんどない。感染を防ぐにはマスクはそれなりに有効である。のどの粘膜まで感染してしまった場合、その後は、医師と相談して早く治すことである。水分補給には、0.3%食塩水を推奨、汗も出やすく心臓に負担がかからない。
(4)アレルギー性気管支炎は、……
風邪とは異なる。喉は痛くない。鼻水もほとんど出ない。突然、気管支から軽い咳が出るようになる。気管支のタンが咳をする程度ではなかなか切れない。風邪と誤診して抗生物質を処方する医者が多い。ところが3日や5日も薬を飲んだところで治らない。風邪薬は無用の長物である。アレルギー対策の薬を飲めば3日以内に治まる。怠惰な医者は直ぐ風邪と判断してしまうので数ヵ月たっても治らない場合がある。そういう場合は、アレルギー性気管支炎かもしれないと医師に、明確に告げて治療薬をもらう必要がある。とにかくこのアレルギー性気管支炎が大流行している。「今年の風邪は長引く」といった話はとんでもない誤解であり無知等である。
(5)肝心の厚生労働省は、そういったことを知っているのか知らないのか、それとも医師の水準が能力低下してしまったのか、疑問を抱かざるをえない。豚インフルエンザの時も、医師の誤診で学級閉鎖に追い込まれた事例があった。神戸の医師のように、保健所に強く迫って流行を食い止めた医者もいた。
(6)いずれにしても、この三つの病気が流行しているのは間違いないので、個別企業で率先して対策をとる必要がある。信じられない読者の方は、産業医に確かめることである。労働力や働く人たちの健康管理は、会社に責任があり、労働生産性の問題であるからだ。なお、中国の大気汚染や花粉症とアレルギー性気管支炎は、症状から異なるので、念のため。


§改正:高年齢者雇用安定法の対策
イ)これは、3月31日までに手続きを済ませなければならない。
ロ)満65歳まで定年を延長するのであれば、さほど問題はない。
ハ)再雇用制度や継続雇用制度、あるいは経過措置としての基準の労使協定といった手続きは、2ヵ月を切った今、もう無理かもしれないのである。
ニ)よく忘れているのが、昨年8月10日に施行された労働契約法の有期労働契約の部分である。相まって満65歳再雇用を考えなければならない。
ホ)退職金もマイナンバー制導入とともに影響が出る。それは税務署の退職金扱いは、確実に退職したときでなければ給与所得と見なすからである。
ヘ)次に示した、過去の総務メルマガに解説をしている。手抜かりがないかチェックが必要である。

*〔緊急課題2〕改正高年齢者雇用安定法のQ&A
 http://soumubu1.blogspot.jp/2013/01/blog-post.html#07
*4月1日、労働法改正にまつわる質疑
 http://soumubu1.blogspot.jp/2012/12/blog-post.html#06
*改正労働契約法と効率的労働力確保
 http://soumubu1.blogspot.jp/2012_10_01_archive.html#05
*高年齢者雇用安定法、その改正の意味するところ
 http://soumubu1.blogspot.jp/2012/09/blog-post.html#11
*労働契約法=解説ドキュメント
 http://www.soumubu.jp/documents/roudoukeiyakuhou-kaisei-kaisetsu.doc


§あと30年はデフレ、これが真実。
One 政府の記者会見や、それを鵜呑みにするTV・マスコミの報道で、何やら日本経済が明るくなりそうな幻想にとらわれている。ところが、確実に言えることは、その動きは8月のお盆休みまでのこと。7月に参議院選挙があれば、今の明るそうな余波も8月までも続かないかもしれない。「知恵より地位」、それに振り回される流浪の民といったところだ。だが、今回の金融トランプだけはジョーカーをつかみやすいのだ。
Two すなわち、どのような経済分析をしても、どのような世界経済状況だとしても、この半年に限って、株価・土地その他の数値がインフレ傾向を表すにすぎない。外国人投資家は現在半身の構え、兆候が出れば直ぐ引き上げる動きを示している。あらゆる評論家も、「政権与党がデフレ脱却に取り組むことができれば…」の仮定の冠を、必ず経済分析の文章に付けている。
Three まして、政府の「産業競争力会議」での経済成長戦略は相も変わらず。必要かつ日本経済を復活させる産業育成は、「口先」ばかりで現実性のない物ばかりである。直ぐ取り組める産業育成も、「今少し時間をかける」というばかりである。もちろん、大手企業は東アジアからインド方面に向けて、利益率も悪く事業構築も困難とは解っていても、薄利を求めて海外進出している。それは、新商品開発力を失った大手企業であるから、仕方のない話といえばそれまでであるが。また、いくつかの大手企業は腹のなかで、自社の技術をアメリカその他に買ってもらおうと虎視耽耽(こしたんたん)、腹の中はトップをはじめ仕事をする気なんかあるわけがない。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai1/siryou.html
Four エネルギー問題ひとつとっても、成長戦略から外れている。たとえば、富士電機が世界有数の技術を持っている地熱発電、発電を認めず熱効率だけに規制している。全国各地で小規模発電事業を始めようとしているが、官僚らは大規模な施設をつくるのと同じ基準や手続きを押しつけて妨害している。小水力発電などは水利権問題などを、無理矢理官僚が絡めて来る。農業用水路の小規模水力発電所設置に、大規模ダムの仕様・許可申請を官僚が求めて来るのだ。こういった官僚の動きは、経済成長戦略会議を開かなくとも、大臣の指示で通達を出しさえすれば解決する。
Five それにも増して円安になって喜んでいる人たちは、果たしてどれだけいるのか疑問である。輸出産業と言っても、今や誰も買ってくれない日本製品を作っても仕方がない。円安によって輸入品のエネルギーや原材料は次々と値上がりをしている。毎月13兆円日銀が日本国債を買い取ると言っているが、そのツケは一体誰が払うのかといった論議自体がない。
Six これとよく似たことは、戦争中に横浜正金銀行が行っていた。正金とは金地金を取り引きする銀行だが、当時、金地金ではなく証券発行にまで手を出して、あげく国債暴落を招いた。この証券をアメリカ国内で売った資金で、日本政府は中国侵略の武器と兵站に使ったものだから、アメリカが怒ってしまうのは当然であった。対日ABCD包囲網の経済封鎖をかけられても当たり前であったのだ。
Seven 日本経済が、本当にインフレに転換すると思っている人は多い。それは情報遮断の中だから、仕方がないのかもしれない。しかしながら、本当にインフレになるまで通貨政策を強行すれば、アメリカよりも先に日本の通貨、「円」と日本国債が崩壊してしまうのは目に見えている。
Eight 中国の対日経済封鎖によって、様々に日本経済の悪影響が出ているが、ほとんど報道されない。尖閣諸島をめくって中国人民解放軍の人事異動がなされていることも報道されない。日中経済関係は、「切っても切れない!」と幻想ふりまく評論家が後を絶たないが、既に中国(北朝鮮もだが)にはドイツ資本が入り、ドイツの生産技術が入りこんでしまっている。
Nine さながら、大本営発表→マスコミ報道→国民には情報が入らない→みんな貧乏になって行く、日本国内に物資や貯蓄はあると言いながら、半失業状態は広まるばかりである。


§なぜ日本で、偏った情報や経済論評が
それは、アメリカにおいてさえ、NPOといったスポンサー付きの経済学研究は所詮、そのNPO理事たちの(もしかすれば素人)思考水準に、研究程度を落とさなければならない。
日本では明確に、政府の審議会であれば官僚の思考水準に、大学等研究機関であれば「教授会や理事会」の思考水準に、研究程度を一致させなければならないからだ。
近年は、政府の審議会の言いなりになる学者が少なくなり、聞いたこともないような大学教授?がテレビや新聞に登場する。良識ある学者は、学問や真実とは似ても似つかない話をしない。そのような先生はまだ多数!と観ることが妥当だ。


§現在の「いわゆる不況」の原因は、
A項目 従来のような過剰設備による反動から来たものではない。日本の経済発展の社会状況を度外視して、機能や数量の使用価値にばかり焦点を当て商品を開発する理念だから、いつまでたっても個人消費の拡大が出来なかったのである。現在もそうであるから何時までも景気低迷をおこしている。そういった日本製品は売れるわけがない。製造業に従事する労働者が1000万人を切った。だがそのほとんどは他業種に職業転換できたのではなく、失業・半失業・潜在失業なのである。日本製品が売れないばかりか、製品を作ってきた労働力も買う人が居ないのだ。

B項目 世界規模で見た場合では、たとえ不均衡に国ごとの経済が発展するものだとしても、日本をはじめとした経済先進国にあっては個人消費の伸びが決定的に重要となる。発展途上国には経済先進国の資金や技術が投入されることで、数字での世界経済は成長だけはするかもしれない。しかしながら、経済先進地域にあって経済発展はおろか経済的豊かさが後退する可能性が高い。

C項目 経済的豊かさとは、「個人消費と生活満足度が有機的に結合してこそ実現するもの」である。とりわけ世界の経済先進地域においては、「経済的豊かさ」において、経済発展の原動力になっていると考えられる。この経済先進地域とは、日本国内での比較的に経済の豊かさを保つ地域(それは地方の中核都市であり、大都市圏に点在する地域)と考えられる。これらの地域は日本全体や流通経済圏全域ではなく、その内の局所的地域である。そこでは経済的豊かさこそが原動力となり追及され、確かにその傾向は少なくとも経済発展を果たしている。

D項目 一部の学者は、防衛製品産業での輸出回復を主張している。ところが彼らは、世界最先端の防衛製品産業の現実を知らないのか、合理的思考が出来ないのかのいずれかである。ドイツは、昔のマルクであれば、マルク高で輸出は停滞しているところ、EU内の農業国のおかげでユーロ安、輸出は膨大に伸びている。EU域内、NATO加盟国などに、「騒音環境に優しい」ユーロヘリコプター、あるいは「ユーロファイター・タイフーン」戦闘機を出荷しているが、性能は日本とは比べ物にならない。スウェーデンは2010年に徴兵制を廃止、従来から超高性能銃器輸出産業を柱として社会保障を支えている。撃っている最中にネジが緩む機関銃?で有名になった日本製の性能に及ぶ物ではない。まさか、中国や北朝鮮の暴発率の高い粗悪品市場に日本が進出を出来るわけもない。コンピューター操作の日本製戦車・装甲車との夢物語も飛び出すが、日本の自衛隊に実践操作ノウハウなどありもしない。

E項目 どうしても、機能や数量の商品価値(使用価値とか限界価値)を追求すると、巨額の金融資本の先行きに翻弄される。近年のヒット商品、例えば、アイパッドiPad、キンドル、ノキア1100、カーシェアなどは、商品の固有価値を追求し、売り手と買い手が協力して商品価値を作り上げた。その売り手と買い手の関係は、あくまでも創造的和解(reconciliation)の関係を形成している。「消費者に買わせて、利益率を高くして、消費者と対決して商売をする」といった発想は、ヒット商品を出す企業にはない。もとより、数百年前、世界各地で商品経済が広まりつつあった時代の商品価値は、固有価値であった。買い手も売り手も、その商品に、「意欲・感動・希望」といった価値を3セットで見いだした。そして、「意欲・感動・希望」といった価値をわけあった。

F項目 ところが、日本の大手企業は、コスト削減で利益率上昇ばかりを狙ったために、商品開発・技術蓄積が破たん、あげく=Made in Japan は見向きもされなくなった。それは社会主義の計画経済と同様の道をたどったのだ。中国部品にもA級品はあるようだが、日本製より高品質ながら価格も高価であるから日本企業の部品には使わない。そして中国も量産意思が無いのでどうしようもない話ではあるが。

G項目 日本経済は、こういった制度的悪循環の原因&事情を克服しさえすれば日本文化に基づく Made in Japan製品とサービスを再び世界は買ってくれることになる。


§同業他社より一歩前に出るだけ
で、今の経済状況であっても、その個別企業は高利益率で経営をすることが出来る。怠慢を続ける企業は経営が行き詰まるが、その市場は優良企業のもとに集まる。
ただし、使用価値商品を売るのではなく固有価値商品を売る、ことに末端の生活文化型商品を提供することを念頭におく必要がある。天然ガスは末端の家庭発電事業を進めている。某大手氷砂糖メーカーは機械製造に踏み切り料理材料商品を狙っている。還元型コエンザイムQ10は、安価で共有されているサプリメント食品、糖尿・心臓の疾患予防に、何よりも「健康意欲」を目指している。すなわち、素材原材料メーカーであっても、消費者の、「意欲・感動・希望」といった固有価値商品を念頭においているのである。


§中堅中小企業には【直ぐ取り組めるOJT】
がある。そのOJT教育訓練は、固有価値商品あるいは生活文化型商品の場合は次のとおりに行うことである。
A.部下を育てたいのであれば、メールとは別に、部下を客先に連れて行くこと、あるいは部下に聞こえるように電話交渉は行うこと。
B.検討会議や報告会は所定時間内に行うこと。昼食を用意して昼休みを短縮して行う方法もあるが、ただ自由参加が原則。
C.メールのやりとり効果は、伝票や届出書面などの機能には、けっして及ばない事実を徹底すること。
D.社外の低料金の経営講習会・勉強会に出席させ、「事業の深化」を追求することとは別に、「事業の広さ」を追求するための視野を持たせること。
E.生活文化型商品の需要を肌で感じるために、夕刻は所定時間に退社させ、休日も十分に与え、消費者と同じ生活をさせること。
F.書面、文章、メールの効果は、物事や論点の整備確認には役立つ以上のもの、例えばアイデア、創意工夫、構想性、創造性などがないことを徹底すること。
G.着想、発想、創造、構想といったヒラメキは、議論を面と向きあって行われることを徹底すること。
H.どの分野に限らず、なるべく理論的な本を読ませて、合理的理論的に考えさせる訓練をすること。
I.「期限を決めて退社するつもりの人間」ほど、会社のことを良く勉強しているのが事実であること。
J.「打てば響く」と言うような単純思考(思い)を改善するには、「物事は時間とともに変化する」といった「X,Y,Z+Tの4次元概念」を教えること。
K.原因から結果への、いわゆる因果関係を日常的に考えさせ、文章にまとめさせること。個人が悪かったのではなく、自分で予見しなかった事または予見せず放置していた行為が悪かったことを徹底すること。
L.ずさんな言葉の使い方はさせないこと、様々な主題を一つ一つ順に扱うようにさせること。
M.仕事(契約行為)にかかわって「取り引き行為」をすることは、失敗を招く原因であることを認識させること。
N.上司がOJTを行うが、別にOJT教育担当者をおく。
ところが、大手企業では、ICT機器による効率追求、機密保持の機械的徹底、高度な労働能力水準の敬遠その他によって、OJT教育訓練面がなおざりにされている。その元凶は、東京大学大学院の中原淳教授が『経営学習論-人材育成を科学する』(2012/08/31、東大出版会)の中で調査をしているが、惨憺たる教育不足の現場である。


§実体経済が一層の深刻さを増す実態
そこでは、固有価値商品を先ずは内需の柱として、次に直接間接に多国籍展開することが柱となる。このままでは、大半の輸出製品は、採算割れの安値で輸出するしかない時代が来る。だから、まずは内需だけでも、生活文化型商品の産業化を進めることになるが、その教育の柱は次の5点である。実は内需だけでも相当景気は回復する。
イ.接客方法…親切な行為を現す、温かさを表現する。それには、客からの世間話には直ちに応じる手法である。それができてこそ、「意欲・感動・希望の3セット」である固有価値を紹介することができる。売り手からの世間話、売り手の押し付けは禁物であること。
ロ.商品知識の活用…お客の生活意欲・受容感動・将来希望の3点を同時に叶える、固有価値の商品知識を3点セットで提供すること。
ハ.提供する価値…とくに、巷の使用価値限定品(機能や数量)とは別の、どんな固有価値を提供しているのかを説明すること。
ニ.直接間接のリピート…リピートを念頭に置かず、廻り回って経済循環することを念頭に置く。それで買い手の共感も得ることができること。
ホ.具体的行為の中に、クレーム予防にとどまらず、クレームの創造的解決を、販売営業の最先端現場で行うこと。


§現在の日本企業の社是・社訓というものは
イ)今の時代になれば、昔の良いことばかりを思い出して、引っ張って来ようとする。ところが、それは創業時のものばかりであって、これから事業を継続するとか、今の時代環境に事業を合わせるといったものがない。
ロ)それは、第2次世界大戦後の米ソ対立の経済構造と、江戸から明治にかけて生き残った老舗といわれる企業が活躍した経済環境のものばかりである。
ハ)ことに、生活文化型商品を色濃く立たせる場合は、顧客と接する先頭社員は、「社是・社訓」が敬遠されるばかりである。ことに固有価値の内容を買い手と如何に共有するかが決定的ポイントなのに、「社是・社訓」が邪魔となるのである。
ニ)固有価値商品の由来・作り手の技・長きに重宝させるコツその他の、「地域と歴史のコンテクスト」を、買い手と相互理解することのプロセスが貴重となる。
ホ)これが、お客側の価格評価の基礎となり、商品価格が相場決定となる起因である。この場合はフェア取引が行われるから値崩れもしない。とにかく、より科学的な具体的な行動が、営業販売の末端にまで求められる。社是・社訓を社員が口にすれば、ほとんどの客は鳥肌が立つ! アイデンティティーが強いと、客は引く!


§仕事の教育を行うときの順序
A.これには定石がある。取扱商品や仕事の段取りが流れである。
(1)原理原則を教えること。
(2)基礎理論を教えること。
(3)歴史背景を教えること。
B.必ずこの「教育の定石3点」を示し、その内容を商品や仕事ごとに解説することが重要である。今日までの教育は、「歴史的背景」を教えなかった。すなわち、
One どういった具合で商品が開発されたか、
Two あるいは売るようになったのか、
Three 今の仕事のやり方を何故するようになったのか
といった事柄である。
C.「どうして実施・実行力が伴わないのだろう」といった疑問、すなわち教育訓練の行き届かなかった原因はここにあるのだ。
D.ではなぜ、それを教えなかったのか。その理由は、仕事や商品の売れ行きよりも旧態組織や人間関係しがらみを優先したからに尽きる。日本で資本主義が形成されて以来、その前時代の「世間体」を解消するシステムが社会に定着しなかったからである。明治以降、この「世間体」と戦って数多くの人が経済活動を発展させ教育を充実させたが、その闘いを全事業に行き渡らせる為のエネルギー消耗は多大なものがあった。そんな困難にあっても、その効果は、日々現われるものであった。
E.一昔前に大企業病といった言葉が流行したが、1977年職安法改正以後は、その大企業は仕事ができる有能な人たちを徹底してリストラしてしまった。その後は社内での教育体制は「人間関係しがらみ」を優先したものに、益々陥っているとの研究が発表されている。(前掲:東大大学院研究成果)であるから、
F.大企業の、大企業病は→心不全状態といっても過言ではない。


§監督職・技能職の教育ポイントは
今回のメルマガではその教育ポイントは省略する。監督職・技能職といった人たちは、新採用者・パート・一般職を経るなど(中途採用でも短期経験でも可能)した人たちに、次のとおりの教育をほどこして後、採用するものである。決して、監督職や管理職にふさわしい年齢に達したからとか、長年勤めているからといったものではない。
First 技術・理論を現場に落とし込み、重要者の多様性・一回性に答えられる技能の教育
Second 提言開発・企画プロセス、すなわち買手の受容動向により長くも短くも・効果的に調整できる技能の教育
Third 人材、機器材、基礎理論技術を、A及びBのために組み合わせる技能の教育
Fourth 業務の改善・改革、新商品その他は、個別事業の内外での主体的モーメント集約の結実であることを理解させる教育
例えば、日本の年功序列型賃金の基礎は、「電産型賃金」(日本初の人材確保型賃金体系)であったが、ここには年齢給ではなく経験給が用いられ、それは技術技能を積み上げるとの趣旨で組み込まれたのである。こんなことも、日本の電力産業のためにGHQと命がけで制度作った先輩のことは忘れ、電力各社では忘れ去られている。「電産型賃金」を、ちゃっかり真似した銀行や大手企業の多くは、命がけの制度であったことは知る由も無い。


§固有価値商品の、サービス(服務)行動、13ルール
(1)ここに示すサービスのルールは、従来型商品を提供する場合であっても、十分効果的である。サービスとは、日本語では服務というものであって、如何なるサービスであろうが、仕事に従事する姿勢を示している。ところが、これを事業資金面ばかりから考え、顧客の価格・注文の要素を考えないことから、服務行動がおろそかにされていた。あげく、サービス=値切るとか価格破壊といった誤解(滑稽さが増すと笑い)にまで至る。すなわち、そのことが営業販売作業を極端に未熟になっていった原因である。
(2)機能や数量に目を向けた使用価値・効用価値ばかりの商品には、本来的にサービス(服務)を考慮する必要がなかった。さらに、サービスそのものが商品となって対価が発生するようになるのは近年のことである。それまでのサービスとは、生産物商品の販売完結の一手段であり、製品価格にサービスの対価が含まれることが多かった。工業文化製品にはサービス(服務)行動が存在すること自体を、多くの消費者が理解できなかった時代があった。
(3)ところが、サービスすること自体が発達することにより、経済活動が活発になったり、社会の安定が進められたり、事前に無駄が排除されたりと、その効果は見直され、今や経済効果は絶大なものになったのである。昔の、あまりにも文化が進展していなかった時代には、サービス(服務)行動の価値や重要性が分からなかったのである。
☆そもそも、サービスの行為は「文化の応用」の側面を持っていることから、その地方の文化も良くわきまえている必要がある。
☆サービスを進めている過程で使用する業界用語は技能を現している。
☆ノウハウを含め技術(社会、人文、自然の3分野の科学的裏付けを持つ)が発展するきっかけは、はじめに言葉の概念の変化から始まる。
☆さらに柔軟性があるということはパラダイム(固定概念・概念規定)の転換をすることなのである。
☆サービスの事業化には概念、シンボル、コード(方策や方法)の3段階を揃えることから始まる。
(4)だが、「サービスの事業化」が完成を待たずして、まずはこの13個のルールをサービスに取り入れるだけで、販売(収益性)は増加し始めるのである。とりわけ固有価値商品を交換する過程では、その価値を伝えるための不可欠な行為でもある。
(5)サービス(服務)行動を充実させる 13ルール
イ)自己顕示欲は捨てること、権威のあること。買い手に接する教育をするから、仕事に笑顔が生まれる
ロ)スキ間に配慮。(親切がスキ間の入り口になる)。音楽家モーツァルトや、建築家の多くが述べる、『わずかの違いを大切に』である。
ハ)動作が軽快でスマートであること。それは、重要ポイントを一緒に発見するスタイルである。
ニ)時間を厳守すること、時間を守らない人物は信用されない時代になった。
ホ)念には念を入れること。お客の「意欲・感動・希望」に、念入りに耳を傾けること。そうすれば、それに対する固有価値が提供できる。
ヘ)技術を身につけること。それは技能=職人技や曲芸・芸当の類を磨くことではない。
ト)案内の良いこと。機能や数量の説明ではないこと。決してお客様の「意欲・感動・希望」を決めつけないこと。
チ)お客様の世間話には、仕事を差し置いて直ぐ応対、こちらからの世間話は、就業時間中では禁止であること。
リ)受付のしっかりしていること。買い手の好みを知って、「好みに合う品と使い道」を案内する準備をすること。
ヌ)依頼手続きが簡単なこと依頼の邪魔くささや障害をなくすこと。
ル)突っ張らないで、リラックスして仕事すること。お客の悩みに応じた解決方法をいくつか組み合わせるとか、いくつかの解決要素を選択すること。
ヲ)何事も明るくふるまうことで、お客の「意欲・感動・希望」を受け入れる姿勢を、組織的に保つこと。
ワ)人間に対して、心からの信頼感を持つこと。買い手の焦りを取り除くことに集中すること。
(6)ここに示した13個のルールは、「失われた10年×2回」の時期には、およそは確立されていた。ところが当時は、商品の固有価値といった概念が確立されていなかったために、残念ながらこれらルールは曖昧なものであった。しかしながら、曖昧ながらも導入した個別企業では、とても販売(収益性)向上につながっていたのである。
(7)だが当時その一方で、いわゆる「サービス産業?」として華やかに紹介されていた、スーパーマーケット、外食チェーンなどの実態といえば、「サービスレス(serviceless)」であった。すなわち、商品を選抜・運搬するサービスは客自らが行う、低価格の飲料は客自らが取りに行くといったわけで、店舗側のサービスが省かれたのである。小分けやパック詰めは商店街でも行われていたし、むしろ数量や販売量におけるサービスレスであった。さらに、ICT機器の普及で、ますます製造・提供者側の「サービスレス(serviceless)」は進行している。
(8)ところが、固有価値商品としてのサービスだけは省くことができず、その固有価値のサービス自体の全部または一部分を買い手との商品交換は継続してきたし、現在も変遷・進展が起こっているのである。それこそが、人類の文化・文化活動の変遷・進展により、売り手と買い手が相互に、「意欲・感動・希望」を託す行為であると考えられる。さらにそれは、平和平穏な人間関係にあって社会共同体が維持される状態でこそ、さらに変遷・進展することが担保されると考えられる。ちなみに、それは芸術性豊かな作品や商品が担保される要件と同じだと考えられる。
(9)13個のルールの解説は、現在、社会人大学院の教科書執筆中なので、そちらでまとめている最中なので、細かい解説は今回省略する。