2015/06/09

第158号:事業経営の経理と心理が、国の型にはめられる

今月のテーマ「事業経営の経理と心理が、国の型にはめられる」
<コンテンツ>
マイナンバー制度、個別企業側の肝心な留意点
12月1日実施、国の「ストレスチェック制度」の狙い?を解説。

◎特集=既成政党の誤算(都構想廃案)となった「大阪春の陣」
 大阪市住民投票は、「経済視点の商工業住民自治」が仕切った!【ケーススタディ】
(序:住民自治側の反対派参謀ブレーンの功績)
 ・
大阪都構想成立予定の住民投票は、
 ・5月10日の日曜までは、都構想賛成は優勢
 ・5月11日月曜ごろから、反対派の反撃
 ・5月13日水曜から「つばぜり合い」
 ・5月14日木曜から賛成派は最後の作戦計画に入った。
 ・5月15日金曜から、最終決戦の反対派大反撃開始。
 ・15日の午後からは、賛成派の戦術崩壊。
 ・5月16日、二の足をふんだ、都構想総大将
 ・5月17日、大阪市中央区最大の投票所では
 ・5月18日からの負け惜しみ?、結果分析?
 ・当時の、反対派戦時同盟のFacebookこそが、
 ☆選挙戦とは、(そもそも原理原則とは兵法に基づく)


§マイナンバー制度、個別企業側の肝心な留意点
マイナンバー制度の説明。こればかり聴いていても、肝心のことが分からないのが当然である。
そこで留意点を解説する。
所得税の徴収漏れや申告漏れ、及び行政(保険)給付の実態捕捉などを充実させることで、ある試算によると年間6兆円の国税収入を確保する制度である。社会保険料など派生的収入となる。
で、その実態と問題点も徐々に浮かび上がって来た。
(1)賃金支払いとして扱い、それを企業経営の損金とするためには、労働者のマイナンバーの登録が不可欠である。マイナンバーの不明な労働者に賃金や報酬を支払っても、企業の損金計上できない。
(2)そこから、賃金を日本円通貨で支払うことをやめて、各種商品券や現物支給が生じる。報酬は「お礼」扱われることとなる。これらは戦後の混乱期などでは、誰でも何処でも行われていた方法である。
(3)来年10月1日から週20時間以上労働のパートにも社会保険が適用されるが、月額88,000円以上の源泉徴収対象者と連動させることにより、年収106万円を超える労働者のコンピューターによる洗い出しが可能となる。個別企業の社会保険未適用ついては、既に国税と社会保険は連携をとって洗い出し作業を行い個別企業競争進めている。これが、これが個々人にまで及ぶこととなる。ただし、社会保険料の支払い義務は個別企業に課されているから、意外にも企業規模が大きくなるほど指導に対する弱みが露呈する。すなわち、社会保険に加入しない脱法行為(実質内容が強行法規に違反)が摘発されることとなる。
(4)決定的弱点がマイナンバー制にはある。東京や大阪には事実上治外法権の街がある。東京の歌舞伎町、大阪の千日前などは昔の山野、釜ヶ崎とは趣を異にしているが、ここでのマイナンバー売買が弱点なのである。この売買による不正経理とか脱税行為に対する行政側の捕捉は全く無理であると、行政も想定しているのだ。マイナンバーの流用は同居の親族間でも流行する可能性がある。
(5)人手不足である企業では、DV被害女性やその他ワケありの男女労働者を常時雇用している。この人たちはマイナンバー、住民票記載事項はおろか、本名や年齢を隠して働かざるを得ない状況にある。現行行政機関では、いずれも住民票記載事項の捕捉は行わず運営を行っているが、それは各々の法律の趣旨に基づいているものだ。マイナンバー、住民票記載事項などを必要事項としていない行政機関は、健康保険、雇用保険、労災保険、小中学校入学など多岐にわたっている。こういった部分にマイナンバーが使えない実態ため、そのための特別措置を各行政機関が現在実証的に進行させている。が、この10月1日が番号配布である。
(6)現場でも偽装請負で労働者派遣を行ったり、独立自営と称して外部労働者に仕事が発注されている。現在でもこの分野については社会保険その他の制度からはみ出している、決してその範囲は小さくないのである。マイナンバー制度もこの分野では実行を果たすことが極めて少ないと考えられる。高度経済成長に至っても大都市部では、2年以内に本社所在地を変更するとか、税務申告をしないで税務署管轄外を渡り歩く事業所は多数存在したのである。政府のマイナンバー制度は、この部分についての具体策を持っていないのが実態である。


§12月1日実施、国の「ストレスチェック制度」の狙い?を解説。
世間の話題にもならずに法案成立した「ストレスチェック制度」、その個別企業への影響について解説する。
今年の12月1日から実施、労働分野におけるストレスの増加や精神疾病急増の対策として、労働者50人以上の事業所での制度とされている。この5月8日にも厚生労働省は実施マニュアルを発表した。ところが、その影響する効果については、その殆どが示されず、個別企業にとっては対策の検討が難しくなっている。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/
このストレスチェック制度実施に向けて、個別企業の委託先として、健保組合や民間企業その他が活発な営業受注活動を行っている。まるで疾病分野をめぐるニュービジネス、精神科医や関係者向けのニュービジネスとなりそうだ。厚生労働省は、国の基準に従って実施を済してもらえれば差し支えないといった責任回避の姿勢である。
そこで、その影響や効果について検討した。
1.チェック項目を集計すれば、職場単位の管理監督責任が判明する。
2.実施して監督署への届出が、事業所の安全配慮義務の履行の裏づけ証拠となる。
3.労働者個人はチェックの拒否が可能、チェック者率も問われないから、事業主の実施できない理由が成り立たない。
4.この制度は個別企業の統治権統治義務あるいは企業内自治権とは相反する。すなわち、自ずと導入にあたってギクシャクした事態を招くことは企業統治権では当たり前のことだ。これを回避するために外部者への委託実施とならざるを得ない。
5.並びにストレスや精神疾病についても医学的にも確立したものとなっておらず、対象を疾病(概念としてはdisease)であり傷病(illness)としていないことから、法律と適法性が受け手の経験を分断して、職場人間関係、家族関係、教育、ストレスの定義にまで影響をこぼすことから受け手の気持ちの納得性に大きな疑いが残る。
6.すなわち、個別企業としても企業運営の心理方針・企業理念・社是社訓に官僚統制がかけられることとなる。その官僚統制の実施者が個別企業自前の人物であるから、画一的管理にそぐわない或いはイノベーションや創造性・構想性を重視する企業にとっては、経営の足を引っ張るマイナス効果とならざるを得ない。
7.とりわけ日本の個別企業は、商品価値を高めて正当な理由を得る(固有価値商品)の国際的提供が不可欠であり、そこには事業に従事する者たちの個性によるイノベーションや創造性・構想性に頼る労働を一挙に促進する必要がある。そのための個性に関する日常教育は、いくつかの専門分野を各々のマンツーマン教育と教育者の能力水準にかかっている。すなわち、こういったストレスチェック制度を持ってして、労働者の共通教育を行って個性を潰してはいけないのである。ストレスチェックを毎年行うことは個性的労働にブレーキをかけることとなる。
8.ことにサラリーマンは周囲の人間関係や社会的人間関係に影響を受けて労働するから、働き方ストレスの共通性や着想の共通性を企業内で野放しにすることは、個別企業事業の創造的構想的事業展開の命取りとなる。
9.なお、社員や企業の中心メンバーに至る可能性のない、いわゆる非正規社員ついては、個別企業が要求する労働契約内容が労働ではなく労働力の売買であるから、非正規社員に労働を期待しない限りにおいて、今日の時点の経営環境では当該ストレスチェックは有効と考えられる。すなわち、社員や企業の中心メンバーの雇用を長期的に考えれば、創造的構想的に育成しない限り、個別企業にとっては「お荷物労働者」の面倒を一生になければならないのだ、まさにそれが終身雇用制度の責任である。


大阪市住民投票は、「経済視点の商工業住民自治」が仕切った!
(序:住民自治側の反対派参謀ブレーンの功績)
大阪都構想をめぐる住民投票は、日本全体の経済構造と住民自治の将来に大きな影響を残した住民自治のイベントであった、そう、政治政局にはならなかった。「経済視点の商工業住民自治」とは、経済と経済経営を支える商工業街地での住民自治として根付いている文化や生活や経営の概念で、政治とは一線を引く意識である。そこで今回は、大手マスコミなどの視聴率や部数確保のための記事を差し引いて分析し、かつ現地末端での実際の選挙運動と整合性のある分析を試みる。このことは今後日本の地域経済・地場産業の育成&住民自治における豊かさを象徴する「まちづくり」を進めるにあたっては、個別企業経営に資するものであり、その地域基盤形成の基準なのである。すなわち、
1.行政運営のための国税や公営事業の配分ばかりに焦点を当てた大阪都構想に対して、
2.行政や国税交付使途と公営事業を以ての経済基盤・労働基盤に焦点を置く、100年以上の理念を持つ政令指定都市との制度選択であった。
結果は、大阪市民は政令指定都市制度を選択し、経済成長と豊かさの住民自治を継続することとなった。
都構想は道州制の大阪版概念とされたため、この敗北で道州制にも一旦停止がかかった。大阪は経済最優先の歴史が400年以上も続いていることから、住民自治システムも経済からの視点が問題となったのである。多くの政治家が狭い政治課題ばかりに目が向いてしまったから、大阪の本質的特異性を見落としてしまった。学術的理論的にはこのようになる。その証拠として、賛成派が反対派に対して経済政策がないと言い放ったところ、反対派からは反対政党議員団の経済政策はまとまっていないが、具体的な国際商業工業都市政策や新幹線計画(都構想は新幹線を拒絶)が反対派の戦時同盟(ソエキタス:社会の語源)から示され、賛成派中枢からの「経済政策がない」といった切り込み事態が止まってしまった。加えてこれこそが、賛成派が国税や公営事業の配分ばかりに焦点を当てていたことを証明したのだ。だがこれらは一般住民にとっては難解であった。否、住民にとって肌身で感じている事柄を政策や理屈にする必要はなかったかもしれないのである。とにかく大阪という所は、いずれの政治や政治家の組織力も脆弱な街なのである。
そこに突然降ってわいた、「住民自治側の反対派参謀ブレーン」が、烏合の反対派をまとめ、そのベクトルで大阪都構想を打ち破った、戦国時代の勝因のごとくに。

大阪都構想成立予定の住民投票は、
「チェンジ:対:現状」といった短絡的争点が目立った。この短絡さのためか、マスコミ報道などの情勢判断とは裏腹に現地大阪では、告示当初は大阪都構想への賛成が25万票の大差で成立するはずだった。日本国中のあらゆる政治家がそのように観ていたし、そう見ていたからこそ政治屋の目は曇っていた。

5月10日の日曜までは、都構想賛成は優勢
チェンジを掲げる賛成派は政治的思考で将来を託した。現状を掲げる反対派は経済経営生活的思考で抵抗を試みた。いわゆる、本当にいわゆる単なる政策論争は、最後の1週間まで、「絡み合う」こともなかった。雰囲気で大阪都構想は優勢を続け、反対派も大阪市廃止の是非に翻弄されたことから劣勢であった。旧来政治パターンをもとに、10日の日曜日に開催された反対派集会も不発に終わった。ところが、

5月11日月曜ごろから、反対派の反撃
反対派戦時同盟(仮称:極右から極左までの集合)が形成していたFacebookから、「大阪市営地下鉄の京阪電車に払い下げ疑惑」が持ち上がった。これに大阪都構想賛成派は否認できず、よって創価学会(約15万票)は5月13日に都構想反対への方向転換を行った。旗色を鮮明となり、公明党議員は14日からテレビ出演を開始、投票動員を投票日の20時まで大動員をかけ決死の組織力を徹底した。この現地の路地や投票所の動きをマスコミは気がつかず報道できなかった。
(これが反対派勝利作戦計画第1弾)すなわち、反対派戦時同盟は、二重行政キャンペーンに負けており、その反撃として「地下鉄毎年340億黒字、市水道局の毎年100億黒字、なぜ民間に払い下げ?」を、全有権者211万人に話しかける作戦を開始したのだ。数10年を必要とする大阪都構想に、なぜ北陸新幹線誘致が挙げられていないのかへの疑問も提示をした。それは、マスコミ流の政党組織票を併せても大阪都構想賛成票数には数10万票及ばないとの判断からであった。だが、賛成・反対いずれの政党もこの作戦計画に気づかなかった、今流に言えばネット選挙すら理解出来ていなかったのである。「市内全有権者211万人話しかけ」は極めて高度なノウハウである。創価学会(約15万票)を反対派に付かせる作戦スタートとは、マスコミも既成政党もの誰もが気づかなかった。

5月13日水曜から「つばぜり合い」
賛成派が水面下で準備した「反対派への反撃チラシ」、これが発行者無記名で準備されていることを、反対派戦時同盟Facebookから暴露した。このチラシを配布するために、日本維新の党は議員ら1,000人を投票日の20時まで全国動員をかけたのだ。ところが、これに対する反対派戦時同盟は、発行者無記名チラシに対する反論を地元の路地で展開する機動力を見せた。賛成派の発行人無記名チラシ配布前に原稿が漏れてしまったから、賛成派のドンデン返しは不発に終わった。加えて反対派が、全国の「維新の党議員」の元へ、個々の議員の政策と大阪都構想の政策の食い違い、例えば北陸新幹線の大阪誘致を都構想では拒絶!といったことが、反対派戦時同盟から大阪動員された議員の地元選挙区に直接にNetで追及され、1,000人全国動員の足を300人程度に止めてしまったのだ。

5月14日木曜から賛成派は最後の作戦計画に入った。
それはマスコミを通じて住民投票が運動員同士の戦い(傷害事件も発生、両派対峙の映像も流出)に矮小化し、投票所前にオレンジTシャツ団数10人を配置することによって、ホワッとした反対票の投票阻止に舵を切った。維新は元総務大臣が企業ぐるみ選挙を行い企業単位で賛成票確保しようとした。反対派戦時同盟は賛成派の街頭演説内容の微妙な言葉ジリと、都構想賛成派の選挙ビジネス屋の定番定石どおりの作戦を見抜いていた。おまけに、見抜かれていることを賛成派が悟ったのは投票前金曜日だったことから作戦計画転換の余裕は無くなっていた。反対派戦時同盟の参謀ブレーンは、この先ほど述べた賛成派最後の作戦計画の実施を見定めてから、あえて見抜いていることを口に漏らした感がある。結果、賛成派はすべての作戦計画ネット配信を停止した。またこの作戦で計画ネット背信停止は、反対派のネットによる運動を勢いつかさた。

5月15日金曜から、最終決戦の反対派大反撃開始。
その作戦計画は選挙ビジネス屋とか使い古した既存政党方式ではなかった。反対派戦時同盟の参謀ブレーンは、大阪都構想賛成派の運動計画が、「策を労使政策に溺れる!」と判断していたのである。
(反対派勝利作戦計画第2弾)それまで温めていた賛成派幹部らの社会的道徳の欠落に対して、この日から一斉に211万有権者語り掛けるといった反撃を開始した。ことに黄色いTシャツ団がメタボの風体で市内交差点を練り歩く外人動員部隊の姿が、戦前ドイツのヒットラー親衛隊に酷似しているとして、反対派戦時同盟は地元大阪市民の心と気持ちをつかんでいたのである。社会的道徳欠落を理由に反対票を呼びかけるイラストも作成され、Facebookに投稿されシェアに次ぐシェアが繰り返され、土曜早朝にはネット配信完了、プリントアウトもされ、そのまま投票日に突入することとなった。賛成派の運動員らは、社会的道徳問題を反対派戦時同盟が引き合いに出したことに対して、「汚い手を使われた!」と激怒したようである、そもそも住民投票や選挙戦になるものに対する賛成派の不認識であった。それは一気に、「目的のためなら手段を選ばず」との大阪都構想理念をさらすこととなったのである。

15日の午後からは、賛成派の戦術崩壊。
(反対派勝利作戦計画第3弾)反対派戦時同盟は市内小学校などの投票建物入り口に設置されている防犯カメラのチェックを金曜日から開始した。それは、オレンジTシャツ団の動員と傷害事件を防止するために、衝突が発生した場合には防犯カメラに事件の証拠を残し110番通報準備を済ませ、ホワッとした反対票の投票通行路確保の作戦であった。投票日、これに対してオレンジTシャツ団は投票建物入り口への大量動員を、全国動員不振とも相まって作戦を断念した。ホワッとした反対票の投票阻止に大阪都構想賛成派は、決定的失敗を犯したのである。すなわち、反対派戦時同盟の参謀ブレーンは、「ホワッとした反対票の投票」のない限り勝てないと認識していたことから、投票日の最先端現場での戦術を繰り広げ、賛成派の運動ブレーンは策に溺れたのである、ましてこの金曜日の午後の時点で。

5月16日、二の足をふんだ、都構想総大将
そして賛成派総大将であった橋本大阪市長は、大阪の御堂筋最南端での最終演説会で、彼は大阪市民の社会的道徳に対する反発を見抜くことができず、賛成派ブレーン提案の苦肉策にも踏み切ることができず、まさかの敗北をしてしまったのである。選挙ビジネス屋の用意した投票日限りの顔写真入りチラシは、その効果を反対派戦時同盟に逆手をとられてしまうのである。賛成・反対いずれの既成政党も、繁華街での最後の大演説会に焦点を定め、それはマスコミ報道されることによって、「翌日の投票に影響を与える!」といったふうに、議員選挙と異なる住民投票制度の無理解並びに時代錯誤を起こしていたのだった。だが、反対派戦時同盟のネット運動は土曜日曜と益々盛んになっていたのである。

5月17日、大阪市中央区最大の投票所では
ヴィジュアル的に激戦となったのは大阪市中央区の中大江小学校入口だった。私拙者は朝7時から夜20時過ぎまで、小学校入口周辺で状況を見ていた。「百聞は一見にしかず!」、今回のメルマガ記事が書けたのである。大阪市は小学校設置の緊急防災放送を使って小学校区域に投票を呼びかけた。マスコミは、「この小学校入り口が激戦だ」としてTV局2社、新聞2社は張りついたが、ヴィジュアル的な報道は投票日当日もその後もされることはなかった。マスコミの出口調査をじっと観察していると、意見を言いたい人が応じているだけで、その数は3割にも満たなかった。
都構想反対票の人は静かに投票し静かに返っていった、賛成派運動員に見向きもしない。午後3時あたりからの創価学会の組織動員は、常時乗用車が切り替わり5台ほど停車しているとか、地元の創価学会の決死の動員が手に取れることに分かる。小学校入口で初めて分かることだが、企業ぐるみ選挙で反対票から賛成票に寝返った数は少なくない。いわゆる旧来自民党の組織票は大阪では崩壊していた。
投票終了後の大勢判明前に、反対派戦時同盟の参謀ブレーンからは反対派の手ごたえが投稿され、「あとはアナログを併せての選挙結果を見るだけ」と述べられていた。その数10分後に各マスコミが反対派の選挙選勝利を発表したのだ。

5月18日からの負け惜しみ?、結果分析?
マスコミ各社は様々な思惑を未だ引きずって、選挙結果の分析を行った。行政区別の分析を行うも、マスコミ出口調査の数値だけが勝手に走り回っている。南部の老人票・北部の若者票といった非科学的な話まで流れる。老人票の差というのは、旧来自民党の強い所の行政区で(自民党組織票の崩壊により)大阪都構想賛成派が優位に立っただけのことである。それに比べて、反対票の動きは、各党併せての基礎票が50万票程度の所を、反対派優勢地域の投票率自体を平均よりも10%程度引き上げることによって、大阪市内有権者数211万票の10%以上の反対派20万票を基礎票50万票に積み上げて、その差10,000票の70万票で大阪都構想が否決したのである。
この住民投票では、賛成・反対の両派既存政党の旧来型選挙戦の運動方式が通用しなかった。既存政党各派の選挙総括は、筆者が見た限りいずれも煮え切らない論調ばかりであった。すなわち、大阪市内できわめて重要なことは、経済復興豊かさ問題と、社会的道徳の現代風信頼関係への視点だったのである、少なくとも経済学や社会学的にはそうなる。それは、
1.いわゆる教養の差=大阪都構想の合意理念はもとより崩壊していた。
2.社会や人間の原動力への無理解=
 人の意見を聞かないギリシャ文化の象徴が修辞学や詭弁であり、良心でもって合意を形成するローマ文化すら大阪都構想の理念には無かった。そのことから、社会的道徳や人情味(心や気持ち)をテーマに反対派戦時同盟からタイムリーに追及されれば、最後の3日で、ひとたまりもなかった。
3.賛成派の作戦参謀は営利主義なので、選挙ビジネス屋の営利に載せられ崩壊
 大阪市の選管経費9億円?に加え、10億円ともいわれる選挙資金を使い果たしたのだが、すべての着想・発想が営利主義に偏っていることを反対派戦時同盟ブレーンには見透かされていた。大坂都構想に先行投資した者が支持母体の賛成派は、営利主義理念を選挙終盤で転換出来るわけがなかった。賛成派の拝金作戦参謀が納得する選挙ビジネス屋の口車に載せられ、選挙屋、広告会社、印刷会社などが資金を食い散らした。反対派戦時同盟の参謀ブレーンに、都構想賛成派は「策を労して、策に溺れる」ことを無自覚のうちに強いられたのであった。

当時の、反対派戦時同盟のFacebookこそが、
にわか仕立ての反対派戦時同盟の唯一の運動道具であった。このネット運動道具を使って行動を繰り広げ、旧来政党政治家から離れた住民主導の住民自治の緊急にわか行動であった。だからこそマスコミは取材し切れなかったのだ。
賛成派の大量運動資金とは裏腹に、反対派の政党は地方予算を使い果たし、投票日4日前からはチラシ印刷の資金もなかった。そのため反対派戦時同盟は個人が手書きチラシを作るなどして、その種類は少なくとも十数種類が確認された。細かいポスター類はパソコンで出力された。反対派戦時同盟のネットは、地元の各派市会議員ばかりか、その後援者、細かい地元路地のリーダーや運動ボランティア、大阪市外からの宣伝ボランティアの元へと、おおよそ1時間程度で通信が届いた。賛成派のネットは維新系が3本稼働していたが、情報が漏れるとして投票前の金曜から全面停止、維新応援議員のFacebookもほぼ動かなくなっていた。反対派戦時同盟Facebookでは、金曜から投票日深夜に至るまで、書き込みを読む以上に投稿数が激増して内容はともかく多賑わいだった。これらは住民自治を充実する上ではネットの欠かせないことを証明し、民主主義を進展させる形態で新たな創造がなされた。反対派戦時同盟Facebookの大所とは別に、無数のFacebookグループも存在し、市内チラシ配りボランティア調整Facebookまで登場した。反対派既存政党のFacebookは、ほぼ機能していなかったことも現実であった、すなわち反対派既存政党は昔の選挙戦運動をそのまま繰り返していたのであった。

選挙戦とは、(そもそも原理原則とは兵法に基づく)
自治体であろうが個別企業内(就業規則代表者選挙など)であろうが、戦争と全く同じで、途中でたじろげば負けるし、引けば崩壊する…その上で、最後の1週間の作戦参謀ブレーンの頭脳戦で勝敗が分かれる。社会的道徳や信頼関係が形成できない総大将に、有能な作戦参謀が付くわけがないし、作戦参謀は金銭では買えないのである。そしてもとより、反対派戦時同盟の作戦参謀ブレーンは、いわゆる世に言う「兵法」の原理原則を行っただけのことである。近年の政治学者やマスコミに翻弄された有権者には思いもつかないノンフィクションである。
敵を知り己を知れば、百の戦争も危なくない、その他である。
日本における総務人事部門は、本来実に作戦参謀部門なのである。私どもの会社の仕事の「売り」は、作戦参謀本部ブレーンと情報収集事務であり、たまには地域経済復興の端緒としての作戦参謀も行なえることであり、それはサラリーマン的官僚的無責任さを持たないことなのである。