2016/07/05

第171号:グロテスク!の火の粉を掃う

<コンテンツ>
「グロテスクの火の粉」を掃う!
EU=離脱や危機の本質を見抜く要素とは!
【その本質】そんなに便利なら、誰でも見られるマイナンバーとかに!
高齢でも、元気に長く働くチェックシート(中高年雇用対策)
=書籍紹介=『ヤバすぎる経済学』スティーブン・D・レビット他著 東洋経済新報社


§「グロテスクの火の粉」を掃う!
尊厳ある生き方、誇りを持てる経営と管理。その有無は自由社会か監視社会かのいずれかで分岐路のごとく別れる。アレコレと理屈をならべたとしても、物質で飼育され、そのコントロールの意思の範囲のままに動かされる。そこに、人類の英知は活かされようとはしない、むしろ無自覚に無意識のうちに日々年月を過ごしている人たち。人類の英知の源は、ひとえに「勇気と愛」であり、「意欲・感動・希望」を持って生きる道に因るものなのである。ある意味=人目を気にするのは監視社会であり、今や「自由の拡大」を望んで参加したSNSは、官僚主義者の監視や誘導の道具にされそうである。監視が激しくなるとグロテスクばかりがもてはやされ、商品や労働までが希望を捨て、グロテスクを代替にして、生活・経済・社会までが誤魔化されそうになっていく。だが、やはりグロテスクの需要は本質的に希薄だ。
グロテスクは抑圧、疎外、刹那、劣悪などにさいなまれた末に着想される精神作用と言われている。一生を骨折り仕事で雇われ、心身のエネルギーを出し尽くすことを要求された末の生き方にグロテスクがはびこるのである。グロテスクによりチャンスを活かす力量は萎えて行き、予め希望が失われていることも少なくない。さらに物事は、グロテスクの火の粉によって、「意欲・感動・希望」ではなく、「意欲・感動・グロテスク」へと汚染をされている。下品愚劣な冗談は物事の核心を覆い隠す。アイディアや企画が狡猾さで満ちている。戯れや芸事を自らの優位さを見せつける目的に使い、愛情に水を差すオヤジギャグは生涯絶えない。……だからこそ、周囲は義理で嘲笑?して場を取り繕うが、誰もが身を引いてしまうのである。監視されながらの資金(報酬)を積まれても、労働能力を発揮したくなくなるとの結果は経営の定石である。一流能力のある人物だからこそグロテスクには協力しないし、無能な者ほど官僚主義の中でグロテスクを用いて「出世」しようとする。

★1 経済活動や経済政策が金融化に走るのは、実体経済の停滞によって通貨が現実資本の動きを喪失した結果、新たな収益を有価証券その他の金融資産に求めることに起因した現象にすぎない。すなわち、金融の役割を「意欲・感動・希望」の道で果たしてきたところを、「意欲・感動・グロテスク」と価値を食いつぶす道筋となっているのだ。それは産業一般の萎縮を引き起こし、今や金融業界のリストラ的崩壊までも招こうとしている。一方、日本の第三次産業は「意欲・感動・希望」の道であれば、まだまだ経営手腕を発揮できるのであり、円高経済になればサービス業の株価は上昇する、だが大手金融の官僚たちはその道を歩むことはない。

★2 日本国民:約5500万世帯のうち2400万(住民税非課税)世帯が「臨時福祉給付金」を受給していても、日本人の9割は自らを中間層だと錯覚している。この現象にも現れているように、多くの日本人は、周囲と比べて平凡な境遇のみの満足にしか夢を持てないでいる。貧困・無知な人物にメリット:デメリットを説いたとしても、さらに選択等決断を迫ればグロテスクに至るだけである。「今朝の意欲、ほっとしたときの感動、明日への希望」を仕事や日常生活に織り込むことで、誰もが価値生産に寄与し実体経済を(立て直すのではなく)一気に伸ばすことができる。それは、まず個人の尽力、個別企業での尽力により、「希望を求める・手に入れる活動から!」である。
それこそが自由そのものであり、自由が在るから努力が実る。商品価値でのグロテスクは命取りになる。今、日本に蔓延しかかっている物はナショナリズムでもなく、ファシズムでもなく、ただ単にグロテスクである。
だから誰もが、心や気持・身体に降りかかる「グロテスクの火の粉」を掃う!掃わなければ燃え尽きている。


§EU=離脱や危機の本質を見抜く要素とは!
日本のマスコミの報道しないEU要素、研究が未熟なEUの歴史などについて、少しでも把握が出来ていれば、連日報道されるEU離脱問題やEU危機との名目で、そこまで煽られるコトは無い。すなわち、経済のみならず社会学や経営学問の裏付けでもって、不安をあおられることがないのである。そのいくつかの要素を披露すると…。
1.現在のEUの成り立ちをひも解くと、「反ファシズム」の社会体制が原点である。
2.ヒットラーらの借金経済に対抗した交易経済の1930年代の構想が基本である。
3.反ファシズムのレジスタンス運動だったから、命がけで実践する個人や家族である。
4.キリスト教の原点精神思考の個人や家族が主体だから、移民や人種の差別を禁じる。
5.EU統合時に、上記のような大論争をヨーロッパは済ませている(日本国内では皆無)。
6.英国が手引して、米英金融の負債膨張でEUが経済発展しないとの認識が強い。
7.27ヵ国のうち、結束が弱いとか貧富格差の激しい国を引き入れたのは英国である。
……読んでいただいて、EUについての認識は変化しましたか?
わざと作られた移民問題、EU債務や不良債権、残留派を支持する中高年の親世代は反ファシズムのレジスタンス運動の世代であることなどを考えると、日本マスコミ報道に右往左往することはなくなるのである。ひょっとすれば、「米英金融と連れ立って、ヨーロッパに進出しようと姑息に考えた人たちが、根っからのEU主要国からパージされた!そんな演出にも気づいていない」といったところかもしれないのだ。
マスコミなどの世論誘導は激しい。そのなかで数百年の伝統に培われた人物や企業は、EU問題でも中国問題でも、見事にヘマを打つことはなかった。


§【その本質】そんなに便利なら、誰でも見られるマイナンバーとかに!
(本質に迫るために、この記事はイロニー問答の形式で表現しています)
マイナンバーが、そんなに便利ならば、政府が推薦するエストニア(人口130万人の国)のように、姓名と同じくマイナンバーをオープンにして、誰もが個人情報を相互に監視できるようにすれば良い。自己紹介も省略でき、収入・納税、病歴や生活習慣までもが、相互に誰でも見られるから「便利!」である。ストーカー、詐欺師、販売営業マンにとっては魅力的な規制緩和制度である。
ICTにまで発展したインターネットは、最初、「自由と発展」の道具の筈だった。それが、何時の間にやら、他人の監視と行為誘導の道具に使われている。ソーシャルメディアでは「自由の拡大」を広げるばかりだった筈が、相互監視と支配者権力の監視に使われている。そう、自由と民主主義を望んでも、暴露されたNSA(アメリカ国家安全保障局)の実態からすれば、PCやスマホを通して個人データは企業と政府機関の間を往来するようになった。マイナンバーやスマホでの個人情報を追跡集積することで、内心の自由(内心で考えていることを言わなくてもよい権利)は脅かされ、結果化データで貴方への誤解や偏見がはびこり、人間の尊厳は脅かされる。(「表現の自由」の原型は「内心の自由」である)。
さてさて、こうして自由社会から監視社会の第一歩に足を踏み入れた貴方は、周囲に保護される立場となり自由は縮む。だがしかし、その人生はビックデータなどの平凡な目標尺度で評価されるから、満足度を味わうことが出来る人は増加するという訳だ。人生の夢や希望も、それに付き物の落胆や挫折も、お恵み深い親切な人たちが監視していてくれるから、そんなにリスクを背負わなくても生きていける。そう、そんな人生を送りたいキーポイントは、やはりマイナンバーが誰にでも(次々流出もして)知られることである。
税金徴収と社会保障付与の為のマイナンバーでは、恵みを授かる監視社会は醸成されないのだ。
(注意!)
マイナンバー法には、会社が扱う義務や権利はない。マイナンバー任意制度だから同意が必要、なので届出拒否者、16歳未満、認知症の人から合法的には回収する方法はない。社内の安全管理体制が不備と知りながら回収すれば、こちらは個人情報保護法違反となり、マイナンバー法違反にもなる。恐いのは漏れたときの高額の損害賠償の方だ。
http://www.soumubu.jp/download/template/template2/sonota/mynum.html


§高齢でも、元気に長く働くチェックシート(中高年雇用対策)
中高年でも活躍したい!ことを望むのは誰しもである。男性も女性も、職場でも家庭でも、健康かつ意欲的に活動したいとの希望があり、とりわけ日本経済の再構築のためには不可欠である。個別企業でも、高年齢女性や男性を戦力としたサービス業は発展し、日本ではまだまだ成長する余地が残っている。ほぼ未熟練労働力を若いからとの理由で集め→マニュアルとかで“通りいっぺん”の商品を作っていても、誰も・どこの国も買ってくれるわけがない。それは家族でも“通りいっぺん”では形成できるわけがないし、家庭生活と労働が有機的に両立してこそ労働能力が向上発揮される社会システムに移行しつつある。
ところが、体調不良や気がかり、その病気の前兆&そのまたサインをチェックするシートを誰も作らなかったのが現状だ。そこで、我々はその「元気に長く働くチェックシート」を作成した。
http://www.soumubu.jp/download/template/template2/sonota/genki.html
見ていただいたとおり、早ければ50歳を過ぎたあたりからの、男性・女性の変調の前兆サインを並べたものである。脳や心臓に関係する“虚血・血管疾患”とか、男女ともの更年期障害、そしてチェックシートをもとに医療機関を「探し求める」と有効な予防治療が向けられるわけだ。こういった症状に対しての治療や投薬のメドはついている。その、「探し求める」という意味は、町や村の研究熱心な医師を通じて、患者と医師が共同研究:追跡をするという方向である。ラッキーな場合は、発見困難な“すい臓がん”、重篤な“肺がん”“脳腫瘍”までも気づく可能性があるのだ。
にもかかわらず、大病院や救急病院の脳外科や神経内科では、血栓、脳出血、誤診の余地がない典型症状が確認出来ない限り、予備的な物も含めて治療を行わないのが現実だ。心臓疾患においても、ほぼ同様の現状であり、エビデンスと称する検査結果がない限り、緊急救急救命を除いて治療を希望するのは難しい。厚生労働省の医療保険フランチャイズチェーン化してしまった日本の医療体制・システムは、今やそのように変質してしまっている。有名だからと言って大病院が対応治療すると期待するのは幻想である。個々の医師が努力をしてもメジャーな治療方法に加えられることがないほどに厚生行政も官僚が仕切っているのである。
だから、患者と医師が努力をして共同研究:追跡~、すなわち患者の立場からすれば、「私が病気を予防や治療をする方向に導いてくれる医師」が重要のである。したがって、このシートの結果でもって、近所の町医者をあたってみるしかない。意外なところは、
☆脳梗塞や脳虚血は“めまい専門の耳鼻科”、
☆心臓などといった循環器は総合内科、
☆更年期障害の男は泌尿器科、女は産婦人科といったところである。
すなわち、医師養成の診療科目ごとの研究が進んでいても、疾病現象の横断的研究が手つかずである。これこそが、「患者が一刻も早く生活に参加できるように!」との患者の立場に立った医療ではない行政方針による弊害である。とにかく、先ず病名確定(元来、疾病は病名で区分出来ない)し→高額医療保険治療をし→病院の建物・設備と薬剤特権に寄り添っている間は、厚生官僚の定めた老いや病名で以って、お恵み深く保護されるしかない。だから、そんな厚生官僚システムに沿っての自由診療制度などもっての外である。それは、歯科医師が口腔周辺の癌とか全身の感染症を発見している事例も少なくないことに現れている。また、「痛風を味わった医師でなければ、痛風と骨折の区別がつかない」と揶揄されているのである。

★ついでに、ヤブ医者についての説明!
現代の圧倒的多数の「ヤブ医者」とは、サプリメント系悪徳業者、祈祷系啓発系サークルなどといった物である。医療機関とは別名称を使っているから見破りにくい。確かに厚生労働省がビタミン剤などの保険適用を厳しく制限していることから、市販薬とかサプリメントを活用すれば治療効果は進むのは事実だ。一部の医師はビタミン剤の直接販売もしているが、そういった事例は少ない。したがって、我々はサプリメントを活用するのであるが、医学・医療の知識(予防段階、発病段階、慢性段階の見極め)ならびに医薬品ごとの効果と相殺作用そして薬品使用方法(服用時間帯、水や湯などの溶解方法、食材適合など)は不可欠のである。要するに、個々人ごとに生活状況に合わせ、サプリメントの効果を確かめながら、個々に活用ノウハウを蓄積することが重要なのだ。ところが、要するに「ヤブ医者」概念という輩は、売りつけるための誇大説明、必要以上の大量投与、より効果のあるサプリメントの否定、治療よりも人間関係とか“しがらみ”を優先といった目的なのである。残念ながら、個別企業:総務人事部門とか保健所その他医療福祉機関で対策を実施しない限り、精神(フィーリング、スピリッツ)のせいだとか、同僚とのしがらみ薬服用、といったような「ヤブ医者」概念が蔓延してしまうのである、それは近代の歴史から現在においても、一般人や未開人の無知に乗じて繰り返されている。
これは、以前に作成している、物「うつ病:早期発見・緊急措置シート」と同様に、
http://www.soumubu.jp/download/template/template2/sonota/utsu.html
多くの企業の要望により作成したものである。うつ病対策では、本当に多数の企業において、メンタルヘルスの初動とか安全配慮を具体的に実行する道具として活用されるようになった。だが、未だ、こういったチェックシートが医療や福祉部門からは提供されていない。一説によると、圧倒的多くの医師が臨床といって、病院などに訪れた者だけを患者として扱って、実際の労働現場に踏み入れることがないので、専門家医師といっても把握のしようがないという説だ。だが真相は違う、法的責任、医療責任、人事管理責任の狭間に無為無策の三角地帯のできていることに、(各々専門家の意地が邪魔をして)対策が打てていないだけのことである。最近の厚生労働省は、医療費削減を目的に公衆衛生に力を入れ始めたのだが、そこでの枝葉の方策として、「医療機関は地域周辺全体の健康に目を向けること。来院する患者ばかりに焦点を当てない」ことを、やっと医療関係者セミナーで講演し始めたくらいである。したがって、今回の「元気に長く働くチェックシート」も、筆者周辺では急速に個別企業や一般家庭で広まりつつあるが、しばらくの間は首を長くして、医療や福祉部門からの#お気軽チェックシート#の開発を祈るだけである。
なおこの「元気に長く働くチェックシート」は、少なくない典型事例~病気の前兆&そのまたサイン、その後の発病や回復、治療不能で改善のみと宣告、その他(労働末端や生活現場から)の疾病状況を収集し、それなりに医師やWEBサイトで確認を進めた作業からのチェック項目である。「何かおかしい!」と自覚する間は、「通常の生活」参加を求めて行動し続けることが健康には重要だ。「通常の生活」と言うのは、子供の頃からとか長年の症状が他人にも共通する物だと誤認しているだけで、明らかに狭心症や脳虚血の自覚ができない生活は、異常であるという意味である。「年齢のせいかと思っていても、同僚や年上の人の症状出ていない?」といったことを、職場で自覚してもらうことが大切なのである。
狭心症の痛みは歯、頭痛、腕にも現れるし、加齢により頭がボーっとしたり急激な記憶低下は発生しないのである。


=書籍紹介=『ヤバすぎる経済学』スティーブン・D・レビット他著 東洋経済新報社
著者は、さもシカゴ大学に多そうな経済学者であり、共和主義的視点である。個別企業の経営にも視野を置いた経済を論じ、評論家タイプではなく、リアルな参加型学説を展開する。筆者が選ぶ、そのいくつかの要点は次の通り。
1.著者がつかんだ、行動経済学の立役者:ダニエル・カールマン(心理学者)インタビューの記述。行動経済学が何たるか焦点を当てた分析として。
イ)スキャンダル公表を先延ばしにすると、結果は悲惨となるが、先の話は思い浮かばない。
ロ)お金をかけずに人の行動を変えるには、文脈にちょっとひねりを加え、「他の人たちがちゃんと税金を払っていると思わせることができれば、人がちゃんと税金を払うようになりやすい」という風に。
ハ)「人が幸せを感じる可能性がとても高いのは、自分の好きな人と長い時間を過ごしているとき」
ニ)一方、「人が満足だと感じる可能性がとても高いのは、平凡な目標を成し遂げたとき」、例えば安定した結婚生活。
ホ)他人に物事を説明するには、「考えの中身と、考える仕組みを分けて、考える」方法を用いる。
ヘ)自己意識が強ければ、周りの人の態度に差別を感じる。安定した環境で、よく知っている人達とやりとりしていると自己意識は弱まる。
2.地産地消とか自家製よりも、食事内容を赤身肉や乳製品から鳥、魚、卵、野菜中心の食事に変更するだけで、温暖化ガスを大幅に削減できる。専門化した方が効率が上がる。ビニール包装や包装を工夫することで、食事の腐敗:廃棄が激減する。
3.銀行が破産したほどの横領事件の犯人は、刑務所釈放後に、銀行の監督官庁に勤め、使い込みを見破る手助けをした。単純で効果が大きい方法は、休みを取っていない従業員を探すことだった。(日本でもよく似た事件が最近ありました)。
4.貧しいお客が多い店は、だいたいサービスが酷いことになっている。
5.飛行機便で、アマルティア・センという経済学者と隣り合わせになったが、彼は自分を哲学者だと自己紹介した。
6.「小さいサカナを捕えるのばかりやってると、時間がなくなって-あるいは技を磨いたりしのぐことを学んだり出来なくて-大きなサカナはついぞ捕まえられなくなる。健闘を祈ってるよ」
……といった具合だ。ただし、ここに短く表現出来ない物が数多いので、是非とも購読を。公立図書館に問い合わせても、この本は貸し出し予約が詰まっているそうだ。
『ヤバすぎる経済学』
http://store.toyokeizai.net/books/9784492314777/