2003/12/09

第20号

 労働基準法改正特集。平成16年1月1日施行。

 マスコミ、一般書籍に書いていない話を書きました。専門書にもほと
 んど書いていない話です。常に、最先端の現場での実績と30年余りの
 経験で以って、実務的に解説します。

 内 容 項 目 今月のメルマガは重要課題で大幅増量。
 解雇条文の新設 第18条の2関係
     今までの解雇条項では、何故不備が出るのかです。
     甘く見ると、大変な事件と出費を招く
     労働基準法、解雇条文の文言を解説
     就業規則の改定・周知徹底・届出がなければ無効です
     ある種、解雇に関する社会権が法律化
 短期雇用契約の注意点 第14条改正と第137条新設
 短期雇用契約書に新たに加える場合の文言内容
 派遣業が製造部門でも解禁。その狙いと見通し
 年金の論議、表面話題で、お盛んな世論操作

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 改正部分(解雇)   労働基準法 第18条の2
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 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認め
 られない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

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 今までの解雇条項では、何故不備が出るのかです
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 (今までの、解雇規定の不備についての追条解説)
 なお、不備を満たす解雇規定は文末に再度このメルマガでも掲載しま
 した(解雇規定条項のみ著作権放棄)。労働局の動向から考えて10月
 号のものに若干追加しています。
 「第○○条 社員が次の各号の一に該当するときは、解雇する」とよ
 くあります。
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 ?社員の勤務成績または業務能率が著しく不良で就業に適さないと認
  められたとき
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  能力が平均水準に達していないとの事では理由になりません。従業
  員の個性や能力が重視されますから解雇の最低基準事項が必要なの
  です。マニュアル、研修、チェックリストなりで具体的に教育した
  のか、その上で配置転換もできなかったのかが問題とされるのです。
  「なぜ、著しく不良な人をあえて採用したのですか?」と、たださ
  れる訳です。
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 ?会社の服務規程に違反したとき
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 「服務規程」万能主義では作成方式の期待効果と「社会通念上相当で
 あると認められない場合」とが重複矛盾する、いわゆる企業社会概念
 との矛盾を抱えかねませんので不十分となります。服務とは英語で言
 うサービスのこと。仕事を遂行する上での、「立ち居振る舞い」や
 「心得」をさします。明朗闊達溌剌、社員一致団結、協調性、家族的
 温情、社会的シツケ、社風と伝統、信用保持などの条項は人によって
 判断が大きく異なり、曖昧さが残りますから非合理的とされます。
 「いつもモミ手で外部に笑顔の警備員」は採用の間違いであった可煤@性が高く「笑顔」が理由で解雇はできません。多種多様な教育をした
 後「改善の見込みがない」との事が必要なのです。
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 ?社員が精神または身体の障害により、業務に耐えられないと認めら
  れたとき
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 就労不能の医師の診断書が必要です。従業員が提出した医師の診断書
 は尊重しなければなりません。不況時のように雇用不安があると、病
 気の発覚による解雇を恐れ治療をしない者が出てきます。メンタルヘ
 ルス以前の課題です。高血圧、心臓疾患や糖尿病などでは、常時機嫌
 が悪い、態度が横柄、不備や瑕疵が多いなどの症状が出ます。病気を
 知った上で業務強化を強いれば「労働災害」です。このとき会社の専
 門医の受診するよう業務命令を出したのに、従業員が受診を拒否し続
 けたときは労務提供義務を怠ったとして解雇できます。そのときに
 「虚弱、疾病のため業務に耐えられない」との解雇規定が必要なので
 す。
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 ?事業の縮小・廃止その他事業の運営上やむを得ない事情により、社
  員の減員等が必要になったとき
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 「整理解雇の法理」(判例確定)の4要件を満たす必要があります。
 「やむを得ない事情」があれば可能なのではなく、4要件を満たして
 いなければ敗訴です。4要件のうちある程度は今回改正の法定法理内
 容と一致しますので、その部分は最低事項として具体的に解雇規定と
 しての作成が必要です。なお、整理解雇の4要件とは、
    A.人員整理の必要性
    B.解雇の必要性
    C.人選基準の合理性
    D.全員への統一的な解雇の説明協議
 の4つです。Dの説明協議は今回の改正で想定している状態より範囲
 が広いものですが、十分な説明義務不足や信義則無視があった場合、
 ほとんどの裁判では会社の敗訴です。そのとき正当に選ばれた従業員
 代表との協議すらなければ裁判どころではありません。退職金も絡む
 ため裁判に訴える事例は急増です。解雇ですから本人の意見を聞かず
 に首にするときの話で、希望退職や退職金個別上積合意退職などは含
 みません。
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 ?その他前各号に準ずるやむを得ない事情があるとき
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 従来判例から考えると、抽象的表現は手抜かりを招きますから具体的
 表現が必要です。要は裁判を起こされたとき記載が無ければ、即決敗
 訴、執行されるということです。しかしながら、想定していない事由
 はどうするのかとの問題が残ります。この点、国会での政府答弁も限
 定列挙とは言うものの曖昧でした。裁判のことを考えると準用規定の
 補強は必要です。

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 甘く見ると、大変な事件と出費を招く
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 解雇条項の改正(1月1日施行)を甘くは見られません。最低限、解
 雇理由を就業規則に具体的に定めておかないと、「客観的に合理的な
 理由」と主張しても法律上まったく認められません。かつ、それが
 「社会通念上相当である」必要があるのです。
 改正にともない労働者から申告や相談があったときの、監督行政の見
 直しが現時点(11月17日)でも進められています。あくまで監督官が
 即刻立ち入りするのか事前連絡するかしないかなど監督官の立場から
 見た最善の解決方法の範囲ですが。監督署の中には「労働基準法によ
 る解雇の手続を満たしていても、その解雇の有効または無効の判断は、
 最終的には裁判所の判断によることになることに注意する必要があり
 ます」と、ことさら、経営側にとって耳障りの良いことを話している
 監督官がいます。ところが、男女雇用機会均等法のときや基準法の過
 去の施行実例でも、判断の法律がなかったことから裁判官の中には判
 断を下さなかった者が居ましたし、監督官で判断を避けていた者も居
 ましたが、このような逃げ方が出来なくなった、との効果が今回の改
 正で生じるのです。監督官が判断を示し、その上で突っ込まれたとき
 に「最終的には裁判所が判断する」と監督官個人の責任逃れをするだ
 けの話、と見ておいてください。監督官は司法警察員、捜査もすれば、
 書類送検もするのです。先日の監督官労働組合(全労働)の調査発普@によると30%強の監督官は司法警察員の警察権に強い興味があるよう
 です。現場の監督官は強気のようです。また政府の行革論議で「基準
 法違反の書類送検」の件数でもって監督官の業務成果の判断がなされ
 ていますから経営側にとって話は甘くありません。国会議員で圧力を
 掛けようものなら現場の監督官の感情を逆なでし、洗いざらい徹底し
 て捜査されています。経営側は権力が無いので監督官以上の知恵で対
 抗するしかありません。激動時代、社会の知識と知恵を身につけなけ
 ればなりません。
 そして、就業規則の未整備は会社側の権利放棄と見なされ、何かにつ
 け提訴した労働者に有利に働くことになります。平成15年10月10日、
 「就業規則が拘束力を生ずるためには、内容を周知させる手続きがと
 られていることが必要」とする最高裁の初判断が出ました。(最高裁
 で判断されると行政指導通達になるのが通例) 解雇関連では期間雇
 用の法令整備がされ、期間雇用が不明確に更新されて4年目に突入し
 ていれば労働者は終身雇用(判例定着)とはっきりみなされることに
 も留意が必要です。どうするかは、このメルマガの短期雇用契約の注
 意点を見てください。

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 労働基準法、解雇条文の文言を解説
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 条文は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であ
 ると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とす
 る。」となっています。
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 「客観的に合理的な理由」とは
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 「客観的に」とか「合理的な」は論理的・科学的に判断しやすいかと
 思います。
 客観的とは外部の第三者が確かめられる事実で証明できるかです。
 合理的とは理由の事実が真実で解雇の正当な事実を証明できるかです。
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 「社会通念上相当であると認められない」とは
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 「社会通念」の概念は論理的にも解りにくいのです。よく社内の会話
 の中に「常識の無い」と言われます。ところが、文化、教育、商習慣、
 年代、地域そして社風によって常識は微妙に異なっているのです。こ
 れを世間一般にあわせようとするのを「社会通念」とひとまず考えて
 ください。「社会で広く受け入れられるであろう判断」では実務的に
 は曖昧です。個人保護、プライベイト事項、個人の基本的人権、男女
 雇用機会均等、コンプライアンスなども少数・異質であったとしても
 社会通念としては守らなければならない時代です。現代は価値観が多
 様ですから幅広く慎重に判断することが求められるのです。具体例を
 話します。
 たとえば「客観的に合理的な理由」を満たしていても総額30%の賃金
 切り下げが不服なら退職を迫るというのは「社会通念上相当であると
 認められない」に該当します。法令や司法の底流には、終戦以後一貫
 して、終身雇用の発想の無い時期から、「労働者は解雇された途端、
 非常に弱い立場に立たされ、対等に扱うのは非常に酷である」との、
 日本独自の社会的判断を取り入れているのです。余談かも知れません
 が厚生労働省告示に「…自らの労働条件を決めるに当たり、交渉上、
 劣位に立つことの無い労働者…」の具体的限定列挙に、資格とともに
 年収が1075万円を上回ることとしていることからも行政の考えをうか
 がい知ることが出来ます。
 茶髪は社会通念上相当と認められています。特異な髪形や色を禁止す
 るには業務遂行上特段の禁止事情が明確になっていることが必要です。
 ライブやパンクの社員の例では解雇をしていません。そのほかにも、
 風俗飲食業では飲酒は社会通念上禁止となっていません。
 じゃ、そのときどうすれば良いかですが、業務遂行上特段の禁止が必
 要な事情が社会通念上存在する事業であれば、その具体的な禁止の解
 雇規定を定めておけばよいのです。
 また、社会通念上問題であれば労働組合と協約を結んだからと言って
 条件をいくらでも切り下げることはできません。
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 「その権利を濫用」
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 この部分は、数ある法律の中でも独特で労働基準法での独自の類型を
 設定していて民法1条3項の権利濫用とは一致していません。民法と
 異なる「解雇権濫用法理」(今回の改正で法定法理ともなった)は弁
 護士でも間違えやすいところなのです。権利濫用の要件・判断基準も
 最高裁判決で確立しています。(なお整理解雇法理はまた別と考えて
 ください)
 又、この場合、事業主が権利の濫用をしていないとの事実を主張し証
 拠で立証しなければなりません。就業規則に具体的解雇項目の定めの
 無いときは論外です。事業主側の主張を裏付ける物的証拠も必要です。
 仮に現行とは正反対の医療過誤裁判での「病院には過失は無かった」
 と立証責任が課せられている状況を想像してください。従業員に「お
 前の筋が通ってるなら言ってみろ」と言えば、途端に事業主は敗訴で
 す。
 「規則を振りかざし守れなかったから首だ!」との機械的短絡的運用
 も敗訴です。「解雇は不当だ、定年まで首になる責任は無い!」と労
 働者が主張するのに対して、「この不都合の事実がありました。ウメ@ではありません。その証拠はこれです。だから就業規則第何条で解雇
 しました。」と証明をしなければなりません

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 就業規則の改定・周知徹底・届出がなければ無効です
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 就業規則に「解雇事由」の記載が義務化(第89条)されました。各事
 業所での変更手続きが無ければ、欠落事由は解雇の規定が無いものと
 扱われます。変更しないのも自由ですが、解雇規定が無ければ根拠が
 無いことから、規定欠落解雇は全て違法または無効になります。もと
 より事業運営での法的保護のある解雇権は合理性が必要で理由の曖昧
 さは許されません。具体性が無ければ効力の判断から不明朗となるこ
 とから、実務的には普通解雇条項での具体的限定列挙(書いてなけれ
 ば無効)の必要性が生じ、ここに客観性・合理性・社会通念性を保っ
 ていなければならないことになったのです。
 従業員から解雇理由の証明書の請求があったときは発行が義務(第22
 条)となりました。拒否すれば客観的合理的理由の無いものと疑われ
 ても仕方ありません。(拒否だけで30万円以下の罰金)
 懲戒(制裁)規定との関連ですが。懲戒とは、あくまで罪を問い罰す
 ることが前提で、本人にそこまで罪を問わないとき、罰する必要がな
 いときなどは適用できなかったのです。普通解雇と懲戒解雇は別物と
 考えてください。普通解雇規定の条項に「懲戒規定に該当するとき解
 雇」と決めると合理性を欠くことになります。
 パート、嘱託、期間雇用(今回の改正で注意が必要)アルバイトなど
 の対象者に、別に規定を定めるとして解雇規定などが欠落している場
 合があります。社員の規定を準用できませんから、解雇規定は無いと
 みなされますので注意してください。

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 ある種、解雇に関する社会権が法律化
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 なお、一般には気づかれてはいませんが、個別紛争解決の法律(紛争
 調整委員会のあっせん制度など)と相まって、この今回の条文が法令
 の範囲内においてのみ、従来の事業所内自治とか企業論理を認めなく
 なりました。ある種、解雇に関する社会権が法律化されました。「わ
 が社の自由」とか「わが社のポリシー」も具体的解雇事由で以って規
 制を受ける時代になったのです。すると、採用・解雇などの事業のお
 ける労働力需給の概念を変えるものです。年功序列や終身雇用をまっ
 たく想定しなくなります。これは実務上の大きな変化です。
 ところで、最後に念のため。運用実務上の話です。勧奨退職、希望退
 職、自己都合退職などは本人の同意が存在するので解雇にはなりませ
 ん。労基法にいう「解雇」とは、定年などの終身雇用を含め期間中に
 会社が一方的に雇用契約(労働契約)を破棄することです。合意した
 り本人の同意を得たものは解雇といいません。同意を強制したときは
 根本からすべてが無効になります。短期間雇用といっても雇用契約が
 4年目に突入すれば定年まで雇用したと裁判所の判例で扱われます。
 (短期雇用契約の注意点を参照)退職はただ単に会社を辞めることで
 す。希望退職に応じたものには職安出頭後7日の待機期間後すぐに失
 業手当の給付が始まりますが、雇用保険の失業給付が3ヶ月間の支給
 停止となるかどうかは雇用保険法の主旨から決定していますから解雇
 外だからといって同一には扱われないのです。

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 短期雇用契約の注意点 第14条改正と第137条新設
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 1年間の短期雇用契約についての中途解約はあまり問題にされてきま
 せんでした。今までは、「1年以上の拘束をして退職を禁止する」行
 為をさせないようにするところに労働基準法の主要な目的が有りまし
 た。それが、今回の法律改正で、期間雇用の概念が労働基準法の改正
 で変わりました。
 契約期間中の雇用の安定です。不合理不明朗な解雇の制限です。
 契約期間や契約更新の明示が無い場合や更新の判断基準が不合理・不
 明朗な場合は、以前にも増して雇用が4年目に突入した時点で定年ま
 での雇用をしたと、はっきり見なされます。別途解雇事由が無ければ
 解雇は認められません。なお、定年は法の定めにより60歳以上となっ
 ています。決めてなければ死亡退職までの雇用保障です。
 途中解約の損害賠償義務が、労使ともに請求できる根拠が第137条な
 どで加わりました。
 具体的には、1年の雇用契約を結んだ場合、その途中で契約解除した
 ときは1年までの残りの賃金を保障しなければならなくなりました。
 3年以内なら3年以内です。途中解除の正当な理由が前もって明示さ
 れていなければ残りの不就労日賃金の損害賠償の責めに応じなければ
 なりません。労働者は1年間の就労義務があり拘束されます。他に就
 職することはできません。そのときは退職により与えた損害を賠償し
 なければなりません。ただし、強制労働は禁止されています。圧力が
 かかったと訴えられる行為は強制・強要と見なされます。賠償請求を
 しても支払能力が無ければ取り立てることはできないのです。判決を
 もらって給料を差し押さえると言っても1/4までです。
 また、このほどの法改正による3年以内の雇用契約の場合では、事業
 主には3年以内の保障義務が必要となります。ところが、労働者は1
 年を過ぎれば何時でも途中解約できる権利を保障されていますから、
 労働者の就労義務は3年契約であっても義務は1年です。
 満60歳以上の高齢者は3年が5年と期間のみ長期に契約することがで
 きます。
 高度な専門知識の有る労働者は5年契約ができますが、弁護士などの
 資格要件と、加えて年収1075万円以上の賃金要件がありますから、実
 務に実例や影響は少ないのです。
 ですから、雇用の期間の設定と明示、雇用の更新、更新の判断基準を、
 雇用契約書等に追加して作成し双方の確認を取っておく必要がありま
 す。厚生労働省は民間の契約行為にまで介入できませんので、雇用条
 件の明示義務と表現していますが、実務的には雇用契約とか労働契約
 を文書で交わしておかないと「手抜かり」を生じさせます。
 平成16年1月1日から、更新とか開始する期間雇用契約から適用です。
 契約書は前もって明示が必要です。

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 短期雇用契約書に新たに加える場合の文言内容
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 A.(雇用の期間は3ヵ年までの期間で設定できるが)
 「この期間は退職禁止による本人の就労拘束期間ではなく、会社の解
 雇を制限する期間ではない。雇用の期間の終期の定めをしたものであ
 る。したがって、本人が希望したときには所定の手続きにより2週間
 後にはいつでも退職でき、就業規則の解雇の規定に定める事由のある
 ときは30日前までに予告して会社は解雇することができる。」
 B.更新の有無について、次のいずれかを明示する。
    ア.契約は自動的に更新する。
    イ.更新する場合があり得る。
    ウ.契約を更新することは無い。
 C.更新は次の4項目の基準すべてにつき判断して行う。
    1.契約満了の時点の業務の有無または業務量により判断する。
    2.本人の、職務能力、就労成績、健康状態、解雇の規定に定
      める事由により判断する。
    3.事業所の、経営内容、経営悪化や大量の業務消滅など経営
      状況により判断する。
    4.期間満了の1ヵ月前までに更新の手続きを完了する。

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 を持ったものがグループで当たります。秘密は厳守いたします。まず
 はメールで以って、株式会社総務部事務方まで
    yogo@soumubu.jp
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 から万全を期すためにも、どうぞご利用ください。サンプルの就業規
 則をホームページのダウンロードから無料配布しています。
 (お問い合わせ電話番号06-6946-9921)
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 派遣業が製造部門でも解禁。その狙いと見通し。
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 一部の派遣会社や違法の「偽装請負会社」は法律改正で大喜びしてい
 る。よく事情を知らない「人材派遣コンサルタント」たちは派遣業の
 ビジネスチャンスと触れ回っている。ところが、製造派遣に限っては
 そうではない。法律家では法令分の説明だけで、「見事に」説明でき
 ないのです。派遣業内部事情の表面的皮切りは昭和55年である。昭和
 61年に業務請負の業態が発生した。ここを説明せずして厚生労働省の
 意図は推測すら出来ない。(派遣法改正の実務解説は次回のメルマガ
 でします)
 では、その狙いは…製造派遣においては実態が派遣である偽装請負を、
 「公序良俗又は非経済的不合理派遣業者」の摘発抑制対策が狙いで、
 方法は派遣先ともどもで解決させようとのことであります。ですから
 期間は1年なのです。派遣先の安全衛生上で派遣労働者を保護させる
 のです。労災事故の管理監督責任は派遣先なのです。「物の製造」業
 務で派遣をするときだけは申請等で記載が必要なのです。この4項目
 と派遣社員への社会保険適用とで、以前から「偽装請負会社」が主張
 していた納得性は崩れてしまいました。指導監督業務を公共職業安定
 所から格上げして労働基準監督署の上級機関の都道府県労働局でもっ
 て司法警察権を使って進めようとしています。派遣先が気になる、指
 導監督リストの順番は通例からすると、No.1派遣労働者の事故や事件
 の解決をミスった派遣先、No.2新規に製造派遣の許可申請した業者に
 注文している派遣先です。
 まして、狙いが偽装請負対策ですから、厚生労働省は社会的コスト対
 策を熟慮はしていますが、個別契約にコスト軽減の配慮などありませ
 ん。派遣になればコスト急増で支払いは多くなります。製造派遣業者
 との付合経費が増えます。業務請負で「発注条件の整備」をした方が、
 現実的な解決になります。施行は平成16年3月1日。

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 年金の論議、表面話題で、お盛んな世論操作。
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 もっぱら厚生年金ばかりである。ところが厚生年金は脱退者が続出し
 ている。適用されてない人がパートや期間雇用の形で急増している。
 高卒・短大卒の女性社員はほとんどパートや派遣(この15年で900万人
 増加)に変わったため、未加入である。国民年金の若者保険料未納問
 題の原因はここにある。昔はよく問題にされたが、これらの議論はど
 こかに隠されている。社会保険事務所は、標準報酬月額より低い未加
 入者、保険収支の合わない事業所、保険料回収効率の悪い企業、など
 には手を付けないのを肌でヒシヒシと感じる。未加入者の遡及の確認
 申請に至っては、先日も必死で受け付けようとしない。「給料の安い
 人を社会保険から外し国民年金に押し付けると厚生年金は安泰?」と
 の悪い冗談にも耳を傾けてしまう。

2003/11/11

第19号

 選挙結果によって経済政策が大きく変わることはなくなった。日本は
 昨年のアジア経済戦争に負けた。バブリー中国、英会話のインドと2
 国に経済の地位を奪われている。これに対抗しての日本は国家として
 事を成そうとのこともなくなった。アメリカに経済進出や貿易の邪魔
 をされても、じっと我慢するだけになった。これも国民の選択なのだ。
 それではこれから事業を伸ばす方法は何かである。企業規模の大小に
 関係なく、国際経済に進出するか、それとも国内風土特化事業に限る
 かなど、いずれかの中途半端では成り立たない。商品や事業内容は、
  a.世界中を相手に付加価値の高い商品とか
  b.世界相手の高サービスに的を絞ることである。
 景気で思い悩むことはない。2005年3月末までは銀行への経済政策で
 民間企業への資金繰りは締め付けられるので経済は下降するばかりで
 ある。2006年までは不況は続けると総理大臣すら言い出した。この前
 提で企業経営の見通しを立てるしかない。やはり、ここ3年は世界の
 現実と事業の現場をよくよく見て、個別企業の組織的な運営に徹する
 ことである。

 IT化は組織運営の道具になるので、今のきびしい時代に、ホント、
 いろいろな分野で助かる。パソコンやITは40?50年前の自動車とよ
 く似ている。エンジンやメカに強くなければ途中で止まるような代物
 だったから運転できなかった。パソコンも便利な動かし方をしている
 と70%ぐらいしか動かない。ある弁理士さんが言うには「パソコンは、
 まだ機械じゃない」と。ところが、自動車でもパソコンでも、これで
 物や情報を運べば、他人より先に取引ができることには間違いないの
 である。顧客は見つけに行ったほうが簡単で、どんどん見つけにいけ
 る。仲間内の連絡も早いので、段取り良く意思の統一が図れ、内部管
 理費用がかからない。運送業界・情報産業業界、仕事がら観察できる
 が、扱う道具は異なっても、驚くことに、働いている人の気質は本当
 によく似ている。パソコンは自動車。使い道がわかれば「歩いて」行
 ってばかりでは居れないのは確か。そして昔も今も、機械好きはいて、
 商売(経営管理)よりも「メカの趣味」第一との「士」(さむらい)
 も居るものである。

 紛争調整委員会の「あっせん制度」は現実対応として、あっせん申請
 に至るまでもなく、納得性のある制度として社会に歓迎されている。
 都市部での紛争調整委員会への「あっせん申請」急増との各地の地方
 労働局からの発表が相次いでいる。
 斡旋や和解の解決方法は、実態では事業主や労働者の切なる願いで現
 実対応である。その証拠に今までは制度がなかったから労使双方が議
 員・暴力団・事件屋・示談屋の類に頼らざるを得なかった。…ところ
 が期待はずれも少しある。
 あっせん委員の法律や制度の趣旨に沿った養成が出来上がっていない。
 労働紛争調整官は受付や事情聴取段階での事務処理優先思考が強く、
 思い込み、決め付け、法体系処理の未熟さからの個人的判断、調整官
 と相談員ともに法律体系の無知、無自覚の職権濫用など、他の類似あ
 っせん機関と比べると未熟・頑固さが目立つ。
 「一度あっせんに応じたら譲歩しろ」と恫喝をかけるケースもある。
 問題は、これらを本省担当課では把握し切れていないところにある。
 そもそも、労働者・事業主の双方とも意見や気持ちは、専門家でもな
 いことから十分に表現できないのである。あっせん委員は期日の半日
 だけの聴取で、能力では非常に個人差が激しい。陳述書の提出を促す
 ことは少なく、調整官レベルでは事情の取り違えも多い。調整官は口
 頭で事情を聞くことに終始し、十分な背景まで聞き取れる訓練がなさ
 れていない。来年度から、企業に出かけて行って紛争実態把握の専門
 調査員を全国に配置する方針とか。だがサービスなのかな? 圧力な
 のかな? ちょっと怖そうな雰囲気である。制度と云うものは人の心
 に訴えなければ何事も長続きしない。
 そこで、加えて、制度の運用上の改善アイデアとしては、社会保険労
 務士とか弁護士の代理人制度を積極活用し、「あっせん」であるから
 といって端から問題をあいまいにするのではなく、双方が選択した主
 張は文書での陳述を促すなど内容面での合理性を工夫することで、納
 得性は増し当事者双方に資するのではないだろうか。

 労働基準法、解雇や期間の改正(1月1日施行)は甘く見てはならな
 い。就業規則の未整備は会社側の権利放棄と見なされ、全て提訴労働
 者に有利に働くことになる。10月10日、「就業規則が拘束力を生ずる
 ためには、内容を周知させる手続きがとられていることが必要」とす
 る最高裁としての初判断を示した。(ただし判例としては既に定着し
 ている。最高裁で判断されると、ほぼ行政指導通達が出されることに
 なる) 期間雇用が4年目に突入していれば提訴労働者は終身雇用
 (これも判例定着)となる。判例が定着すると以後の裁判では異なる
 判決が出ることはないので、法律が出来たのと同じ効果が出るのであ
 る。よって、労働基準法は読んだだけでは何の役にも立たないのであ
 るが…。
 先日の監督官の労働組合の調査発表によると30%強の監督官は司法警
 察員の警察権に強い興味があるようである。本省や地方労働局の官僚
 が甘いことを言っても現場の監督官は強気のようだ。また「基準法違
 反の書類送検」の件数で業務成果の判断がなされていては、経営にと
 って話は甘くない。国会議員で圧力を掛けようものなら現場の監督官
 の感情を逆なでし、洗いざらい徹底して捜査される。経営側は権力が
 無いので監督官以上の知恵で対抗するのが得策である。これもコンプ
 ライアンスだ。激動時代の社会の知識と知恵を身につけましょう。
 ※客観的合理的解雇理由についての記事は、メールマガジン第18号
  (2003/10/7発行)を。書式集の無料ダウンロードのページ、サン
  プル就業規則に解雇規程例を掲載しました。
     http://www.soumubu.jp/download/index.html

 年金問題。選挙が終わって国会議員の考え方は落ち着いた。「年金支
 給額は当面は現役月額収入の50%で、保険料負担は月額の20%を労使
 で折半。」(今の保険料は13.58%)
 厚生労働省がダンマリを決めて資料を出さないものだから、国会議員
 の素人たちは納得? してしまったようである。…たぶん、これで国
 民年金に続き、厚生年金も空洞化すると見た方が妥当。日本商工会議
 所の緊急アンケートでは厚生年金の保険料を引き上げられた場合は半
 数以上が賃下げの実施を示唆したとのこと。国会議員や官僚が決めて
 も民間企業は言うこと聞かない。厚生労働大臣が「年金を変わると言
 いそびれた人が18万人もいる。もう一度、届け出忘れをした人にチャ
 ンスをつくりたい」と届け出を忘れた人が申し出ればいつでも過去に
 さかのぼり記録を変更減額しない措置を検討していると、女性のパー
 トからも保険料を取るための懐柔策を発表したのは、この夏に流され
 たウワサ(メルマガ16号)のとおりになった。
 ※社会保険の本質に迫る記事は、メールマガジン第16号(2003/8/5
  発行)、第17号(2003/9/7発行)を見てください。

 夏から全国で爆発・火災災害が続発していることで関係省庁、地方労
 働局、労働基準監督署、経済団体、災防団体が動き出した。労働災害
 防止の要請が中心だが要請文では配置人員減少、熟練作業者退職など
 の「雇用問題」が生産性重視で安全管理水準低下を災害の要因とする
 内容が多い。厚生労働省は500人以上の製造業に安全管理に関する自主
 点検を要請。その実態も調査する。12月半ばに点検結果を回収し悪質
 事業所は監督指導をするとのこと。

2003/10/07

第18号

 労働基準法、解雇の条項が、大きく変わります。
 来年1月1日から施行です。

 (解雇) 労働基準法 第18条の2
  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認
  められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 最低限、解雇理由を就業規則に具体的に定めておかないと、「客観的
 に合理的な理由」と主張しても、法律上まったく認められません。従
 来判例から考えると、抽象的表現は手抜かりを招きますから具体的普@現が必要です。「服務規程」では作成方式の期待効果と「社会通念上
 相当であると認められない場合」とが重複矛盾する、いわゆる企業社
 会概念との矛盾を抱えかねませんので不十分となります。要は裁判を
 起こされたとき記載が無ければ、即決敗訴、執行されるということで
 す。今回の法律文は従来の事業所内自治とか企業社会論理を否定する
 内容になっていますから念のため。
 労働基準監督署の中には「労働基準法による解雇の手続を満たしてい
 ても、その解雇の有効または無効の判断は、最終的には裁判所の判断
 によることになることに注意する必要があります。」と、ことさら、
 経営側にとって聞くだけなら心地よいことを話している監督官も居ま
 す。ところが、男女雇用機会均等法のときでも、基準法の過去の施行
 例でも、判断の法律がなかったので、裁判官の中には判断を下さなか
 った者が居たし、あるいは監督官で判断を避けていた者も居たが、こ
 のような逃げが出来なくなった、という効果が今回の改正で生じるの
 です。監督官が判断を示し、その上で突っ込まれたときに「最終的に
 は裁判所が判断する」と監督官個人の責任逃れをするだけの話、と見
 ておいてください。今回の改正は労働側の勝利。経営側に好い顔をし
 ても浮いた話に惑わされません。監督官は司法警察員、捜査もすれば
 書類送検もするのです。
 それと運用実務の話。労基法にいう「解雇」とは、期間中に会社が一
 方的に雇用契約(労働契約)を破棄することです。合意したり本人の
 同意を得たものは解雇といいません。期間中といっても雇用契約が4
 年目に突入すれば定年まで雇用したと裁判所の判例で扱われます。な
 お、勧奨退職、希望退職、自己都合退職などは本人の同意が存在する
 ので解雇にはなりません。退職はただ単に会社を辞めることです。た
 だし、雇用保険の失業給付が3ヶ月間の支給停止となるかどうかは雇
 用保険法の主旨から決定していますから解雇外だからといって同一に
 は扱われません。
 就業規則の、客観的に合理的な理由とするための具体的例を、本メル
 マガの巻末に掲載!!!
 これで、本屋さんで買う必要はありません。無料でどうぞ。「おまけ」
 です。

 年金問題での現場の実態・実情を、このメルマガ、8月号に書きまし
 た。
 年金改革なんかどうでもいいさ!と口にする官僚たちの「理想」を示
 唆した記事を9月号に。
 真意を汲み取っていただいて、マスコミから流れる的外れなStoryに
 もてあそばれないよう、冷静になりましょう。

 個人の労働組合への個人加盟が急増。解雇や条件変更トラブルで。事
 件が拡大して経営側が不当労働行為で訴えられると、どんなに安い弁
 護士でも300万円の費用は必要。火に油を注がないよう注意しましょ
 う。経営の味方の顔をした労務屋とか示談屋には気をつけましょう。
 労務紛争解決機構など経験と教育と国家資格のある安全なところに任
 せましょう。

 景気回復?は経済数値のマジック。前時代の経済指標で今の経済は測
 定できません。まるで明治時代になってから、江戸時代の米の石高・
 大阪商人・両替商の経済指標数値を持ち出して的外れの話題をするよ
 うなもの。ポイントは、一番目に中小企業の海外輸出量、二番目に個
 人消費回復なのです。ヒントは、ITを駆使したマッサージチェアー、
 IT分析で開発された健康食品とかは海外国内に通用する商品になりそ
 うなところに。ターゲットは日本人と当初から限定してイタリアと北
 欧の商品が売れているが、海外進出など思ってもいない中小企業の初
 めての海外進出のヒントがありそうである。経済対策とは商品・販売
 に地に足をつけたことを言うのです。

2003/09/09

第17号

 国家政策として民間企業の退職金廃止を誘導している。個別企業での
 終身雇用とか長期安定雇用にストップをかけ社員の流動化を図ってい
 る。外部積立には損金算入が設けられ、平成14年4月から退職金引当
 金の内部積立損金算入は出来なくなっている。内部積立では税金がか
 かるので401Kとかの外部積立とすると、他企業に転職しても引き継が
 れることから、個別企業としての退職金の意味は無くなる。
 そもそも日本の退職金は大正時代に、他社からの引き抜きを防ぐため
 に3年や5年さらには10年の単位期間で始まった。戦後、高度成長時
 代に向けて社員の長期教育訓練の必要性から終身雇用とともに退職金
 制度が現在のように整備された。ところが大手企業であっても現実は
 社員教育の対象は40歳までであることから40歳以降の退職金を大概は
 惰性で決めている。若者の育成や定着を必要としない企業は、たとえ
 有名大手企業でも退職金は無きがごとしである。
 とはいっても退職金の内部積立は税制優遇措置のもと事業資金に流用
 していたのが現実で、流用できなくなった退職金引当金を課税されて
 まで、はたして退職金を用意をすることになるだろうか。原点にもど
 って、社員の育成・教育・訓練・定着の人事方針を持ってこそ退職金
 制度の意味が出て来る。だとするとハイテクかローテクかを問わず、
 いわゆる「開発型企業」に退職金制度は限られることとなる。相当の数
 を占めるその他一般企業で退職金制度は持ちこたえることが難しい。
 すなわち退職金制度は無くなり従業員の定着は悪くなる。

 昭和36年、「国民皆年金」とのことで国民年金の制度が始まった。当
 時は「財源の見通しが皆無」との事で賛成するのは厚生省と身内の関
 係者だけ。反対運動団体に裏金をばらまき、「ビルヂィング」を建築
 し裏でプレゼントまでして、圧倒的反対の世論を抑えて開始させた国
 民年金である。その後、厚生年金や共済年金と混ぜこぜにして国民年
 金の安定を図った。1000万円以上の所得が有って国民年金を納めてい
 なかった人たちがいるので「保険料徴収を強化…」とのことは、これ
 までサボりにサボってきた証明ではないのか?
 8月末に「国民年金を完納すれば倍以上年金が戻る」との発表があっ
 た。少子化、1/2国庫補助、年金資金切崩しと、官僚の手前勝手な
 架空計算である。財務省方式の経済成長には物価の引き上げ政策が不
 可欠だが、生活必需品物価を毎年3%ずつ上昇させる(3%複利計算)
 とすれば、保険料の13300円も40年満額年金80万/年も約3.3倍の金額
 にならないと…?「バカヤロー!2.4倍じゃ損するじゃないの!」…だ
 から試算は合わない。社会保険庁の素人集団が官僚のプライドで「策
 を弄して策におぼれ」、それでも金ヅルだけは離さない醜さと言われ
 てもしかたがない。
 社会保険労務士会は8月5日、日本で唯一の専門家集団として、年金
 問題での提言を発表した。老齢年金給付率を50%下限、総報酬負担率
 20%限度、3号被保険者と加給年金の制度を廃止、さらに給付と負担
 を被保険者単位とすることなど。厚生労働省の専門家らしき委員の居
 ない審議会と比べることもないのだが、4つのポイントだけで本質を
 押えて具体性があり、個別の現場を知った上での改革案であることか
 ら、議論の柱に値する。
 (社労士会ホームページ0812新着情報)
 http://www.shakaihokenroumushi.jp/

 black-humor??? こうすれば儲かる!社会保険事務所の営業???
 標準報酬月額の全国平均より給与の高い企業単位では強制適用と法律
 を振りかざして保険に入れる。
 平均より低い事業所は、難癖をつけて社会保険に入れない。…出費が
 多くなるから。
 保険料が未納になるようなら、数十人以下の事業所は、さっさと社会
 保険をやめさせる。
 倒産会社などの保険料が回収できない遡及加入手続きは、社保職員の
 出世にひびかせて遡及加入阻止。
 脅しに弱い大手企業の子会社を重点に、来年から実施の「パート加入」
 で保険料をかき集める。
 回収に手間の掛かる企業とか調査に時間の掛かる事業所はこの際、手
 を付けない。
 これらを10年ほど続け、社会保険は高給与優良企業ばかりにして、安
 月給劣悪企業は保険給付が持ち出しになるので被保険者と事業所を国
 民健康保険と国民年金に移してしまえば空前の利益金が出る。そのと
 き法律改正をするだけだ。
 年金受給者への資金が無くなれば支給額をカットするだけのことであ
 る。??えっ?そんな!「政府のやることか?」と国民に抗議された
 ら、社会保険を民営化して官僚も職員も丸ごと天下るだけ???(と
 倫理観のない話)

 9月は平成16年度の政府予算を固めていくヒアリングの月である。陳
 情、政府施策案とか予算要求は6月から本省へ持参し8月中には終わ
 らないと間に合わない。(陳情などは民間企業担当者でも可能で基本
 的には国会議員の口利きは要らない)。ことしは政治の話ばかりで、
 来年度の予算や経済再生化の話が出ない。まして「官僚機構」が話題に
 なっているのに、官僚の粛々なる予算作成について話題にしないマス
 コミは三文小説の著者(記者)なのだろうか。(所詮、文学部などを
 出て経済部や社会部の記者になる者だから基礎も知らなくて当然だが…)
 日本の国家財政は、一言で言えば「40兆の年収で80兆円使う」という
 こと。話題の年金資金や郵貯は使い込んだ。漢詩「国やぶれて財務省
 あり」である。
 総選挙は景気のどん底に合わせて行われてきた経緯もある。SARS、
 タバコ値上げ、水増按分などで、GDP国内総生産が水ぶくれした。
 国の官僚を除いて景気回復などと信じるものは誰もいない。2005年3
 月31日までは不良債権処理のため個別企業は基本的に景気の落ち込む
 経営環境にある。
 本質的には国家財政と民間経済は別物である。「国家財政は政府のも
 のへ、経済や豊国は民間のもの」が経済の本質。事業経営としては、
 現実には秋から本当の意味でのリストラをしたいところだ。出来れば
 社員は半減したい。「10年後の景気回復のときの融資が…」と銀行マ
 ンは嘘を言う。優良経営なら融資はすぐある。経営の実は今が必死な
 のだ。不良債権の返済のために会社を動かしているだけかも?…しか
 しながらジレンマだ。民事再生をかけるに掛けられない。労働債務を
 抱えすぎているのだが圧縮の方法がわからない。この堂々巡りの呪縛
 脱出にはドラスティックな決定打方針が要る。ズルズル行くと必然に
 労使面従腹背の有形無形対立で会社財産の取り合いに陥ってしまう。
 この正念場は作戦参謀としての総務担当の活躍にかかっている。「成
 長(商品)分野への進出で社員の士気向上」と「デフレ型業務遂行で
 収益改善」の2つが解決戦略の原点である。

2003/08/05

第16号

 国の年金制度は人件費のみならず、採用・労働力調達、社員の安定確
 保に多大な影響がある。今それが現場から崩壊が始まっている。社会
 保障が崩れ正直者か馬鹿を見ている。
 社会保険の脱退は20?30人の従業員規模だと国民健保と国民年金に切
 り替えることを条件に各地の社会保険事務所が黙認している。
 本来、法人は社長も含め本人の希望や事情を無視する強制適用加入と
 法律で決まっている。かたや社長と2人だけの事業所が加入を申し込
 んだところ「保険料が払えないのでは」と断られたが、社会保険労務
 士が加入手続きをさせた。
 社会保険の調査でパートの未加入が見つかった後に解雇すれば保険料
 の請求が来ない例。
 別会社へ社員を移す例。2社で給与を2分割し一社分のみ保険に入れ
 る例。
 外注契約・青色申告で社会保険を外す例。(使用サレル者の本省解釈
 通達の不備から生じる問題)。
 2年ごと事業所所在地を移転し調査を逃げる例。(適用促進努力は弱
 まり、社会保険事務所の調査は2年以内は無い)。
 賃金台帳・社員名簿を抜いて隠して知らん顔する例。(調査官はつじ
 つま合わせが無い)
 数千万の保険料未納はそこら辺の会社で存在。延滞利息14.6%は銀行
 のカードローンと同じ利率なので(銀行貸付金の実行利息のこの程度)
 毎月融資の資金繰りに予定している例。
 大手企業の子会社からの保険料徴収は、脅かせば本社が立て替えて即
 金ではいるのが実態。
 給与が下がっても、健保組合職員が当該事業所の給与規程解釈に因縁
 をつけて報酬月額を下げさせない健保組合。
 社員で本来強制加入なのに会社が加入手続きをしなかったが為に被保
 険者自ら申し立ても社会保険事務所職員が(会社に言え。証拠がない
 と)取り合ってくれない実態事例多発。
 社会保険の適用や保険料集金について、厚生省時代から、会計検査院
 や行政監察によって長年にわたり指摘されても改善が図られない。
 社会保険労務士が努力しても社会保険事務所が法令無視をするから
 「人を二階に上げておいてハシゴを外す」ようなものである。
 社会保険審査会もあきれる行政実態もあり次々と法令を守る旨の「社
 会保険事務所決定の取り消し」が裁定されている。
 先日は加給年金の24億円払いすぎと未払いを同時に起こしてしまった。
 こんな場合は回収がほぼ不可能なので間違わないための事前KNOW-HOW
 があるのだが…そして社会保険庁長官の処分も訓戒と極めて軽い。

 共通して言えることは、事実上保険料集金のため、保険の収支バラン
 スのため、意に沿わない専門家の意見を排除して、官僚の素人さで金
 銭次第の短絡業務に陥ってることである。なので社会保険事務所は
 (実体が)法治主義ではないから正直者が馬鹿を見ている。社会保険
 庁の味方をする人や、一部の職員OBの弁は「社会保険に逆らって何
 か得があるのか?」の恫喝が、とにかく第一声であるが…。
 これらが厚生労働省や社会保険庁の無能力と人手不足なのかと言えば
 そうではない。今年10月からの労働保険と社会保険の保険料徴収のた
 めなのか社会保険事務所には、春から既に研修中の職員が配置されて
 いる。
 電子申請に至っては美辞麗句で説明しても、IT好きの正直者から、
 民間の手間と経費と紙使用増加で、社会保険事務所職員もが悪評する
 素人仕立ての申請ソフトシステムを使わせてと、道具は粗悪で動機も
 不純と評されても仕方がない電子集金制度だが。いずれにしても社員
 の個人情報を政府の使いやすいようにデジタル化して、不本意な増税
 (保険料は税と同じ)に協力するほど、民間企業はおめでたくない。
 厚生年金保険と一体である国民年金は保険料集金が市町村から社会保
 険事務所に変わった。が、ちなみに3ヶ月保険料の支払いが遅れると
 個人宅まで夜の8時を過ぎて(サラ金法適用外なので)督促電話が架
 かって来るようになった。保険料の集金体制と事務の電子化準備だけ
 は突出して早い。
 しかし中央官僚が笛吹けど現場が踊らずで未納率は37.2%に跳ね上が
 った。国民の責任ではない。悪人はいつの世も何処にでもいる。冒頭
 から数々の実態を示したが社会保険事務所が悪行を放置黙認し、権力
 的窓口行政を進め、正直者か馬鹿を見る実態が多発し、そこへ年金資
 金の使い込みで穴が開き、ここから国民の信頼感がなくなったのであ
 って、これだけの事を防がなかった厚生官僚の不作為なのである。証
 拠を一つ。年収1000万以上の国民年金保険料(1ヵ月13300円)未納者
 が20万人存在していたとの記者会見。これが調査差押能力が在りなが
 ら不作為で増加させ、悪行の見本を故意に作り上げた証拠である。
 とりわけ社会保険庁や社会保険事務所は保険料の集計集金、調査計算
 と年金保険給付計算の体制及びそのKNOW-HOWは世界レベルで信頼性が
 高い。標準報酬月額での計算方式とか税務署以上の倒産情報収集機煤@など、こと事務やお金に関しては民間企業は比較にならない超高水準
 である。「なのに」なのである。
 パート等の厚生年金加入問題、来年春から実行しそうだ。年収65万円
 以上が対象になると被保険者は400万人増加、週20時間労働の雇用保
 険被保険者と同基準にすると300万人との増加政府見通し。穴を開け
 た年金資金の穴埋めが唯一の目的である。東京商工会議所(山口信夫
 会頭)は7月10日、厚生年金の短時間労働者への適用拡大には、強く
 反対の姿勢を示している。「労務倒産」の恐れがあり、「企業経営を
 大きく圧迫し、結果として雇用を縮小させる」と指摘。社会保障財源
 や税制を含めた検討が必要であり社会保険の安易な適用拡大は行うべ
 きではないとの考えを示している。さらに、流通、外食産業界でもパ
 ートタイマーへの厚生年金適用拡大に反対する動きが加速している。
 パートタイマーを特に多く抱える日本チェーンストア協会、日本フー
 ドサービス協会は反対要望書を厚生労働大臣に提出した。雇用縮小、
 事務手続きの煩雑化など企業への過重な負担増が引き起こす悪影響に
 ついて訴えている。
 パート加入問題の水面下では机上論・現場論のこんなウワサがある。
 パートは妻の立場の配偶者が多く国民年金制度上の不備から年金手続
 き(3号被保険者)をしていない者が多人数存在するので、(5年10
 年)さかのぼっての「特別無料加入措置しますよ?」と、抱き合わせの
 「パート厚生年金加入キャンペーン」を実施するのでは?…ところが
 保険料不要のカラ年金期間を算入すると保険給付は増加で収支が悪化
 する矛盾を抱えることになる…と。また「女性の年金権」をことさら
 アッピールすることで権利意識の強い女性をパート加入のけん引役に
 仕立てて世論を動かそうかな?…ところが(試算によると)年金権を
 根拠に保険料を集金しても支給額はさほど増えず、被扶養者で無くな
 ると夫の収入が減る、離婚をしたときは夫婦折半の年金額では単身で
 の生活維持は出来なくなるので、…「権利は正当な金銭利益を伴う」
 と正論を主張されると「女性の年金権」はウソの表現になる…と。
 (政府や与野党の意に沿わない年金政策を提言する専門家は幾人もい
 るが、意に沿わないので審議会候補から外すし意見も聴かないのが実
 態。メールで意見を聞くが数量ではなく質の問題である。女性の年金
 権確立は妻のカラ年金期間を離婚とともに実年金とし離婚年太りにな
 らないようにした上で最低保証をすれば老齢年金離婚は防げ給付者数
 も少ないので財源も確保出来ることで解決する現実策もある)。あな
 たの意見も是非お寄せください。
 ここまでお話したがマスコミや世論のごとく、国の年金制度や社会保
 障制度は制度疲労したとはいえないのである。他人事のように機能不
 全したとも言えないのである。運営方針と組織方針を素人官僚や厚生
 労働省出向(なので素人)の財務省官僚が「間違えた」と言われても
 仕方ないのである。いずれにしろマスコミは蚊帳の外である。「A新
 聞やY新聞は無知だから調子に乗るなら記事が書けないくらいに行政
 情報を流してやらない」と脅かした職員が何人か居たこともあった。
 保険料集金や財源穴埋のために、なりふり構わずと判断されても仕方
 のない事態である。「資金をこう使って穴あけました。辞めます」
 「後任の私が正直者が馬鹿を見ないように責任持ちます」といえば、
 ほとんどの日本人は良識があるので年金保険料を払う国民であるのに。

 司法制度改革推進本部は、東京地裁の裁判官や労使双方の弁護士など
 合計14人の司法関係者からなる労働訴訟協議会を設置して、労働裁判
 を進めるに当たって、当事者の主張の出し方、争点の絞り込み、裁判
 期日の設定などが効率的に行われず、審理期間が長期化している実態
 を改善。解雇事件については運用ガイドラインで労働者の早期救済を
 図るとの意見も。これに対して日本経団連は、政府が進めている労働
 裁判制度の見直しに対する企業意識調査をまとめ、労働事件で裁判所
 を利用した割合は約4割で、そのうち訴訟の進め方や判決内容への満
 足は3割に満たない。不満の原因の多くは、判決までの時間が長すぎ
 たり、裁判所が労働問題に精通していない点を指摘している。
 労働組合には労働委員会、個人には紛争調整委員会があっせん機関と
 して存在する。どんな改革をしても裁判所となると訴訟も調停も対決
 の構えを取ってしまい、戦わなければ負ける。トラブルを煽って訴訟
 に持ち込む弁護士もいる。不安を煽って火に油を注ぐ事件屋も数多く
 いる。この弊害を防ぐ為にもあっせん機関が出来た。事業の現場で後
 日の人事管理や組織運営のことを考えると、斡旋や調停は最低限でも
 表面対決は避けられるので、現代日本社会では受け入れやすいと思わ
 れる。4月からの法改正で今までは予想できなかった、「一時的に労
 働条件ですれ違いがあっても業務ライン外であっせん」すると円満解
 決でき再び能力発揮してもらえ職場の人間関係は壊れないとの事例が
 何件も発生している。ここは、裁判所、弁護士会、労働委員会、労政
 事務所、紛争調整委員会の縄張意識(弁護士も不況で仕事確保に弁護
 士会としても大変な様子。委員会や労政事務所は職員の雇用と組織の
 存続を気にせざるを得ない。東京都労政事務所は権限が無くても実績
 と実力で有名)をこの際押さえて、視野を広くするのが先決ではない
 だろうか。

 さて個別企業の、これ以上のことは読者の皆さんで察してください。
 ご質問はフリー相談にどうぞ。全国の総務部代理店や専門的分野の社
 会保険労務士を紹介できます。
 2005年3月末までの経済景気転落期限まで希望は捨てずに個別企業ご
 とにみなさんがんばりましょう。なお、政権交代したとしても救済策
 は発動されますが経済回復策は不良債権も存在するので、何よりもア
 ジア経済戦争で「国破れてしまったけど財務省ありの政策」から突然
 の急旋回政策は出来ないので、落ち着いて腹を固めましょう。

 時代の変革期です。用いられる用語は新聞や会社によっては意味もさ
 まざまです。このURLに「辞書にない会社用語」を設置しています
 ので利用してください。質問のあった用語を記載しています。で、解
 からない用語もリクエストしてください。
 http://www.soumubu.jp/contact/yougo-index.html

2003/07/08

第15号

 株価上昇? 昨年夏に予想されていた3月危機・6月危機の反発のよ
 うな「波打ち現象」。日本経済は凸凹しながらも谷底向けてゴロンゴ
 ロンと落ちていっている。マスコミの一喜一憂をしり目に、これまで
 好調だった企業でも、4月から軒並み売り上げが低下している。
 そこで中小では一挙に、人員削減・リストラに手を付け始めようとし
 ている。ところが、全員解雇して再雇用と考えたものの退職金が払え
 ない。そもそも退職金原資が無くなっている。バブル期に節税のため
 に退職金引き上げの措置を行った会社はなおさらである。こんなこと
 から、決死の退職金問題が急浮上してきている。決死になるのは当て
 にしていた資産売却価格が予想以上に悪化している現実に遭遇してい
 るからだ。
 このような時、経営側に事業の将来ビジョンが無ければ、いくら代替
 措置を社員に提供しても、「どうせ辞めるのだから」と社員は退職条
 件闘争に入り、会社の資産の食い合いになってしまう。「将来がない
 場合」は、対話を求めれば感情問題を起こし、妥協案は値切りと受け
 止められ、按排(バランスを配慮)する措置は強行的と受け止められ
 る。
 反対に、将来ビジョンには若者は夢を抱き、中高年はそれを見て一肌
 脱ぐ。元より仕事意欲のないものは、日ごろと違って多くの者がこの
 際の退職を選ぶ。企業再生と言うと資金・債務整理に対策が傾きがち
 だが、社員への事業ビジョンの具体策の浸透如何では、成長分野進出
 で士気向上し、デフレ型業務遂行で収益改善も出来ている。
 特に労働債務の縮小は複雑なので、手遅れになる前に、その道の「外
 部専門家」に依頼するしか無さそうである。巷では目先の売上げのた
 めに好都合な経済分析を素人ながら吹聴しているが、実は2005年3月
 末までは経済を落とし込む仕掛けになっている。「店を縮めるときは
 表座敷から取り壊す」との江戸時代のことわざが生きてくるのである。

 役所へ提出する書類の、電子申請の準備が民間企業の中でもはじまっ
 ている。事業をやっていて一般的によく通う役所は、職業安定所、社
 会保険事務所である。雇用保険、社会保険の事務はどうなるのか?
 10月開始を前に、パートをたくさん雇用している事業所、労働集約型
 の会社、これらは理由があって、電子申請開始やワンストップサービ
 スをとても嫌がっている。事務を取り扱っている中小企業団体の中に
 も「パソコンが出来ない?」との口実で頑強にいやがっている団体が
 ある。これらのところは社内の事務管理を、労働者名簿、賃金台帳、
 雇用保険被保険者名簿、社会保険被保険者名簿など、あえてバラバラ
 別立てで作っている。事実パソコンは速度が遅いかつ瑕疵点検に余分
 な手間が掛かるのではあるが。さらには社会保険事務所の職員の代り
 に民間企業が給与・設備費を負担しての入力作業をなぜしなければな
 らないのかとの苦情もある。点検時間・出力時間まで余分に掛かる上、
 紙代印刷費まで民間負担だ。
 ところが、本質は事務手数ではないのである。年金制度・政府機関や
 官僚を信用していないのに民間企業は協力する理由がない。理由の解
 からない年金保険料負担増。年金加入基準が週20時間働くパートか年
 収65万円の雇用者か、いずれにしても前もってそんな個人情報を政府
 の使いやすいようにデジタル化して、不本意な増税(保険料は税と同
 じ)に協力するほど、民間企業はおめでたくない。今の社会保険行政
 では「正直者が馬鹿を見る」との不信の目で民間は見ているのである。
 役所は実態を非公開・民間も非公開。まるで役所はキツネ民間はタヌ
 キの状況である。そうさせてしまった官僚の責任は大きい。
 これ以上のことは読者の皆さんで察してください。ご質問はフリー相
 談に。

 労働基準法改正。全般的には解雇制限の強化がされたこともあり労働
 団体側の勝利となった。連合、全労連ともに「成果を得た」としてい
 る。(6月27日成立)。年内施行の予定。
 主な変更の内容は、労働契約期間の上限を1年から3年に原則延長。
 就業規則に解雇事由の記載義務化。裁量労働など。特に、解雇につい
 てはどういう場合に解雇されるのかを、読んでわかるように具体的に
 記載されなければならなくなった。社会通念として合理的理由も必要
 とされた。違反するとどうなるのかと言うと、毎月の給与と賞与を払
 い続けなければならず、5%の利息とともに差し押さえまで至る事に
 もなる。「解雇ルールの法制化」とは、裁判判決を待たずに、監督署
 の段階でも、職権濫用解雇無効の判断が次々と行われるとの意味。ま
 た政府が整理解雇4要件の使用者側への周知を付帯決議した。整理解
 雇の4要件とは、(1)経営上の必要性がある、(2)解雇回避の努力を行
 った、(3)解雇者の選定が合理的、(4)労働組合や労働者との協議を行
 った、というもの。

2003/06/10

第14号

 SARSの流行地域へ出張させるとなると労働法令ではどうなるのか。
 東京や大阪では危機管理セミナーが予定されているが組織管理や労務
 管理からの視点はほとんど無い。業務命令を聞かず出張拒否しても会
 社の懲戒処分は出来ない。使用者には安全配慮義務がある。無理無謀
 をして雇用者を流行地域へ行かせ感染したときは業務遂行性があって
 も労災保険がいったん適用されたとしても、不法行為となり損害賠償
 となる。現地へ行ってもらうには、雇用者の志願の形を取るしかない
 のである。さて社内SARS対策はと言えば「保健所へ電話してから
 病院へ」と聞かされても不安が増すばかりである。理屈よりも、社内
 で風評被害を防ぐには、「つば・鼻汁の体液感染」ルートや一般人が
 取り扱える消毒薬(80%エチルアルコール、イソジン、台所にあるハ
 イターの100倍水溶液の三つ)の使用法を特に会社が文書通知するなど
 して不安を取り去ることである。月額5万円、10万円とかのSARS
 手当だけの問題ではない。

 サービス残業解消に向け、6月と11月に労働基準監督署が重点監督月
 間を設ける。申告や監督歴などを優先して指導を強める。大手企業や
 管内の多人数事業所から着手される。厚生労働省が打ち出すからには
 産業界の内諾は既に取ってあるとのことであり雇用拡大・個人消費拡
 大にプラスになると判断するくらいのことは考えている。ところで、
 紛争調整委員会の労使紛争斡旋制度があるが、法違反を含んだ事案の
 斡旋そのものを拒否すると基準や安定の各署所へ通報が入り即調査に
 入る地方が出てきた。今国会での労働基準法の改正でも経営側の主張
 (解雇権など)は与野党で拒否され成立しようとしている。これが社
 会の流れのようだ。

 りそなショック。旧大和銀行は関西が基盤。マスコミが分からないか
 ら書かないことを一言。大阪地方では…資産がすべて担保に入って取
 られる物のない企業は借金返済額を10分の1とか20分の1に減額する。
 なぜなら、りそな国営銀行になったから。「上方商人」は「お金は物
 資を廻し物作りするための道具」にすぎないとの倫理観を持っている。
 借りたものは返せとのサラ金並みの屁理屈に対してもモラルハザード
 などとは意識していない。これが経済を優先する関西の事実である。
 関西では今年3月決算が税務申告とは裏腹に、前年対比30?40%減の
 会社がザラである。借金返済よりも日銭稼ぎの消耗品投資、「生活安
 定資金?対策」、経営指南役との付合い優先、と腹を決めた経営者ほ
 ど強いものはないのである。

 適格退職年金(要は優遇税制)廃止で401Kなどへの制度移行が保険
 会社や金融機関主導で進んでいる。社員とのトラブル多発である。こ
 の夏から秋は制度移行のセミナーがラッシュ。その業務に必要な人材
 (ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士が対象)の養成講座
 が現在頻繁に行われている。ところが退職金制度の不利益変更は「退
 職金倒産する!」と言っても、従業員に訴訟を起こされると100%会社
 は負ける。規制緩和の「5/30の政省令」でも最低保証額を軸として
 いる。労働債務は一般債務より優先されるので差し押さえも弁護士が
 気軽に行う。松下電産も5月21日に訴えられた。この不利益変更問題
 は誰もが避けて通っている。厚生労働省は国会答弁でも不利益変更は
 駄目と言っている。保険会社のN社やT社は「私どもは御社の就業規
 則又は退職金規程が先ず在りまして、それに見合った金融商品を、お
 選びいただくもの。支払義務、不利益変更、受取額目減りに関与いた
 しません」と口をそろえて言っている。今、個別企業が抱える焦点は
 退職金倒産。401Kは中小企業がほとんどの約300社が現在の導入企業
 数。N生命の当面の契約目標は250社とかで超低低位目標の水準。大手
 企業は財務帳簿作成目的に401Kを導入することが多いと言う。中堅・
 中小企業で、退職金問題を形のうえだけでも解決しようと思えば、あ
 る程度の条件を考えて、必ず裁判や団体交渉の以前の段階で、有能な
 代理人に依頼して「あっせん」(都道府県の紛争調整委員会)に持ち
 込むしかない。

 労務紛争解決機構。この4月に代理人制度を認める法改正がなされた
 ことから実態の上で裁判外の道が開けた。大阪本町で、あっせん代理
 人(都道府県の紛争調整委員会の代理人)の国家資格と教育終了した
 10人が、受付機関を5月7日に設置した。この機構はもっぱら経営側
 の紛争解決に乗り出す。国の機関である紛争調整委員会で、労働条件
 変更などあらゆる労務問題をあっせん解決する。裁判などの対決を避
 け、当初から「あっせん」で円満解決を目指すことで弁護士や裁判か
 らの区別をつけている。必要となれば代理人団を組む。関西文化特有
 の、裁判所の判決は軽視する、怒ったら恐い、話し合い解決が商習慣
 ならではの方法などからして、大阪では依頼も名称も口コミで急拡大。
 「社内と言えども感情問題があり当事者では無理」「代理人を通じ公
 的機関へ非公開で持ち込める」などと好評である。人間関係や業務ト
 ラブルなど法律外に事案も斡旋の対象となる。夏から秋にかけての、
 リストラ、賃金切り下げ、退職金凍結など労務紛争が多発することが
 予想され期待が寄せられている。URLはこの下をクリック。
   http://あっせん代理人.com/

2003/05/06

第13号

 SARSのアジア経済とアメリカ経済への影響が注目され始めた。確
 かにショックではある。が、昨年のアジア経済戦争に負けた日本が中
 国経済の上位に返り咲くことはないのである。視察や観光案内にない
 現地の都市街中を知る事情通からすれば、この衛生インフラと労働調
 達環境は当初から織り込み済みのことで、その上の経済戦争敗戦認識
 なのである。当の中国経済リーダー本人たちは、病気で少し人間が減
 れば社会全般の矛盾・問題が解決して更なる経済成長ができると思っ
 ている始末である。この現実のポイントを知る日本の中国投資顧問会
 社が存在しないことも残念な話である。

 前代未聞の、労働行政。労働行政は、はっきり変わったといえる。
 雇用保険法が改正され5月1日から施行された。法案が国会に提出さ
 れて後、いつ成立し施行されるかによって、リストラの時期や解雇通
 告日を決めようと思っていた方が多かった。当初の予想は5月1日な
 のでそのまま念のために4月中に退職者を出した事業所は良かった。
 ところが、多くは社内事情や気の緩み、あるいは安定所付近からの10
 月1日説に振り回された。統一地方選挙状況で成立が左右されたとの
 ウワサもある。4月15日付帯決議つきで衆議院で成立。25日午前10時
 半ごろ参議院で成立。25日の夕方から「新制度パンフレット」が安定
 所で配布されている。厚生労働省WEBもミスを抱えながらもページ
 のトップに載せる。改正とWEBを知らせるメールがJIL労働情報
 が25日16時33分作成され即刻官民に一斉配信。土日をはさんで28日ほ
 ぼ全事業所に「新制度パンフレット」が到達。こんな一連の流れであ
 った。びっくりするのは、この段取り?良さ、参議院通過前からパン
 フを作成完備し後は配布だけと準備していたキップ?の良さ。IT化
 が進みイメージはますます変化するだろう。
  http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/04/tp0425-1.html

 個別労使紛争の斡旋をする紛争調整委員会の役割には、実際活用され
 てみると、目覚しいものがある。実例を挙げると仮払金を20数万円持
 ったまま退社して一切の連絡を絶って、その家族も取り合ってくれな
 い挙句、駄目もとの「あっせん」に応じて話し合いの窓口が出来たケ
 ース。退職金大幅減額問題で、入れ代わり立ち代り何人もが朝から夕
 刻まで幾度も、社長に面談に来ては堂々巡りの話し合いで仕事どころ
 ではなかった事態が、代理人をたて「あっせん申請」に入り、紛争調
 整委員会の事情聴取が事業所内で始まるや否や、業務は正常になった
 ケース。などなど。
 相手方を追いやってしまっては話合入口のきっかけすら出来ない。訴
 訟では相手が構えてしまい打開が計れない。ここを紛争調整委員会で
 道を開き、けっこう円満に解決できる手助けになっている。日本に無
 かった制度なので予想できなかったとは言え効果はおおきい。紛争調
 整委員会に引き出されて、悪行の居直り、仕事不履行の言い訳まです
 る社員はさすがに居ない。本人の不真面目やアイマイな態度で困る事
 案にも効果的である。
 ところで、司法制度改革推進本部は、平成16年設置をめざす労働調停
 制度の大枠を明らかにした。労働関係紛争を扱う新たな処理機関と位
 置づけ、最高裁判所が任命する専門調停委員が紛争解決に当たるとの
 こと。調停成立の見込みがない場合は、委員の意見などに基づき調停
 に代わる決定を積極的に行う考えらしい。やはり裁判所なので、斡旋
 とは異なり労使対決が前提となっている。弁護士としても「対決して
 戦い」その後「矢尽き刀折れ」調停に持ち込まないと仕事として成立
 しない。果たして「対決」が経営者や労働者の社会ニーズに存在する
 のでしょうか?切った張ったの対決姿勢は産業や生活を豊かにするだ
 ろうか。

 厚生年金へのパート加入?今の流れからすると、社会保険事務所は数
 年のうちに徹底させるようである。バラバラに流れ出る情報ではパー
 トへの適応はまだまだ先とか実態は未加入で逃げれそうに思いがちで
 ある。ところが、整理してみるとこうなる。15年前パートの社会保険
 加入を拒否する社会保険事務所は多かった。理由は保険料収支バラン
 スが合わなかったからとか。いま厚生年金資金は現在無いに等しい?
 とも…穴が開いてる?とも…年金資金運用悪用?。本年10月からは社
 会保険料と雇用保険料を電子申請によって一括支払してくれる政府に
 とって「ありがたい」事業所がいっぱい出てくるので集金の手間がそ
 う掛からない。週20時間働くパートは雇用保険に加入している。厚生
 年金も同じ加入基準で300万人の被保険者増だ。収入要件を考えると、
 パート時給相場=103万円÷30時間÷48週間だ。65万円÷20時間÷48週
 間=677円は大都市圏の最低賃金を超える。65万以上の年収パート加入
 とすると被保険者400万人増。2007年からの団塊の世代への膨大な資金
 支出には遠く及ばずとも年金資金の大穴埋めには積極的理由はなくて
 も魅力的財源なので「妥当」との審議報告が出そうである。パートの
 人件費総額も今から計算しておいたほうが良い。保険料追徴は2年分
 全額事業主負担になるので要注意。

 4月からの経済の落ち込みは激しい。経済統計を待つまでもなく肌で
 感じる。日本の産業を支えるあの部品メーカーもこの機械メーカーも、
 海外の代替が出来ないものを製造しているところも、ても資金繰りで
 ショートしそうである。さらに、アジア圏での経済戦争で中国とイン
 ドに負けたとの自覚で以て、日本にしか出来ない製品やサービスをや
 っている企業が資金金融不安なのである。約4兆円の個人消費消滅シ
 ョックによる6月以降の更なる落ち込みは給料の遅配までも随所で生
 み出すであろう。「月給日に給料がもらえてうれしい」との「喜び」
 の声を数十年ぶりに聞くことになるかもしれない。給与遅配の前に退
 職されると、退職金ショート+差押えのWで=民事再生を掛けるどこ
 ろではない。
 経済落ち込みや無秩序状態に対して労働関係法令の改正は遅く、まし
 て裁判所判例はほぼ昔のままである。さらに専門家でも間違いやすい
 ほど「時代についていけない企業」への負担急増や足かせの法改正が
 目白押しである。年金基金の脱退・解散とか、生保の説明責任を欠い
 た適格年金、これの廃止?だけでは焼け石に水だ。日本では、この70
 年間昭和恐慌以後は、問題を先送りすることで本当に儲かった。日本
 人の経営哲学や人生哲学はここから来ているのだが。差し当たり3年
 は政府に頼らず、自前で安心安全経済圏を相互に構築するのが良策だ。
 ITが無かったので同様とはいえないが江戸時代の信用創造方法は極
 端な教訓ではなさそうだ。現時点は、日本だけの製品・技能・技術を
 残すには当該企業が必要である。大切な企業で「社員の不満を解決し
 退職金を不支給」かつ「士気を落とさず」数年後経済回復兆しの見え
 たとき打って出る「準備を合法的」にする秘策の実行。ジェネラリス
 ト志向者の「そんな秘策信じられない」との質問への答えはこうだ。
 …人に言えない仕事内容ではなく、言われるがままの素人仕事でも無
 い。むやみに実行しないが条件がそろえば「つまずく前に腹をくくる
 事態が来ただけ」と専門家は自信を持っている。

2003/04/08

第12号

 サービス残業の摘発!監督行政ノウハウを開示
 東京労働局監督課長実名入りのインタビューを、旧労働省の専門新聞、
 週刊労働ニュース(全国の監督署や安定所に週刊配布)に掲載した。
 監督課長実名入りの記事を載せることは監督指導の教科書を公開配布
 したのと同じで、全国の監督官は手を抜くことは出来なくなる。
 東京労働局監督課長はサービス残業を7つのパターンとしている。
 3億円の時間外手当が遡及された金融機関の大手企業の事例も東京中
 央労基の話として載せている。
 (このメールの末尾に、7つのパターンと複数発覚の調査方法を掲載)
 東京中央労基第三方面主任監督官は「労働時間の把握を本人の裁量に
 委ね、時間外労働の申告が行われていないことをもって、労基法に規
 程する労働時間の把握管理の責務を免れるものではありません」と語
 る。
 この事例のきっかけは一枚の匿名投書。担当監督官は「投書一枚の情
 報提供…臨検端緒として軽んじることはありません」とのこと。監督
 行政の変更にも気づかず「どうせ来ない」と高をくくっていた会社担
 当者がいたにせよ、これは真にお粗末。
 このようにパターン化したり実例を示すことで、経験の浅い監督官の
 調査の実効向上に役立たせようとするもの。また監督官の労働組合
 (全労働)は、行政の手続きを正確にすることで国民の信頼を得ると
 の考えのようで、サービス残業の監督行政では監督署内では労使一丸
 となっているようだ。

 個人と会社の労働問題紛争のあっせん機関(紛争調整委員会)で、プ
 ロの社会保険労務士が代理人となれることになり、会社も労働者も
 「あっせん制度」を本格的に利用できるようになった。労使紛争が訴
 訟や弱み追及を覚悟するばかりでは無くなった。さっそく大阪では使
 用者側から退職金凍結紛争の「あっせん」が十数人の社員対象に申請
 された。労働者側の利用が多いと見られるが使用者側も大いに活用す
 る様だ。事業所内の私的自治に収められていた労使関係は個別個人の
 トラブルについては労使とも社会システムに頼った解決を望む声が広
 がりそうだ。
 ところで、あっせん代理人の養成セミナーも初めて4月12日(土)大
 阪で開催の予定であり、これも盛況である。この代理人グループは電
 子掲示板でノウハウの一部公開までしている。

 就業規則、36協定の「本社一括届出」が、可能に
 2003年2月15日付の通達で、内容が同一であるときは、就業規則と36
 協定を本社のある労働基準監督署へ必要部数(事業所数分と控え用に
 1部)と一覧表を出すことで届出が可能になり、事務の手間が省ける
 ことになった。但し、提出先の監督署が配送サービス代行をしてくれ
 るようなもので法律の「事業所単位」の概念が変更されたわけではな
 いので注意してください。何部も提出するときは、前もって監督署と
 相談したほうが無難でしょう(現場の監督官は不案内のときがある)。
 なお、受付ゴム印は、各事業所の分は一覧表に押印とのことです。日
 経連が旧来から要望していた企業単位届出の主旨は一貫して無視され
 ている。

 年金改革? 401Kの迷走! 社会保障や年金の専門家が政府の中核
 に配置されていない。これは意見の相違ではない。あまりにも基本的
 知識と実 務を知らなさ過ぎるのである。そこへ、大手企業の人事担
 当に圧倒的シェアを持つ戦前からの有名な労務専門R誌で年金と保険
 料シミュレーションの基本的マチガイをした。150万を超える賞与額に
 すると保険料節約になるというマチガイだ。これは保険料の標準(報
 酬月額または賞与)額制の知識が無いのだ。知識が無いと断定出来る
 訳は、標準額制は政省令以前の日本の年金計算の基本的枠組みであり、
 シミュレーション表で8箇所も同様のマチガイを起こし、[注]2で錯
 誤錯覚の解説にまで触れ、とても社会保険労務士の執筆したものとは
 考えられないのである。
 私の言いたい問題はここからである。R誌のマチガイを発見した人が
 少ない。社会保険事務所への問い合わせも少ない。食い違いに気づい
 た人が少ない。このメルマガ前回号の「まさかの話!」に関心を持っ
 ていた方が発見してくれた。日本一の権威を築き上げたR誌先輩記者
 の努力も空しく、R誌の閉鎖的な編集は先週でも「数字のミス」と答
 えている程度の苦情件数なのだろう。大手企業の人事担当は年金に関
 心が無いのか、知識が無いので読めないのか、世間が官僚のウソに振
 り回されるのも納得できる、お粗末な民間の実態である。なので、知
 識のある方、その立場にある方、がんばろう。

 不良債権処理策が昨年10月末から本格的に動き始めた。不良債権の最
 終処理の本格化である。これに伴い、これから景気は大幅に後退し、
 企業倒産リストラ頻発、失業急増となる。日本は、企業と労働者に技
 術力又は技能があるので世界経済に向けての底力はある。だが技術力
 又は技能を取りまとめ組織してきた企業が持ちこたえられない。潰れ
 るのである。政府がこの3年間、景気を落ち込ませるので、技術力又
 は技能の取りまとめを再組織するしかない。今は3年後の恐慌脱出期
 に踊り出れるかどうかが企業戦略の焦点である。

2003/03/04

第11号

 まさかの話! 厚生年金保険料の仕組みが変わるが、同額の保険料で
 も年金受取額に差が出る。4月1日からの厚生年金保険料は賞与から
 も同率の保険料7%弱が控除となるが、約1千万円の年収では、賞与
 の無い人は年金が減額される。50歳の人で試算すると、無賞与を10年
 継続すると月額1万1千円ほど少なくなる。これは社会保険庁が年間
 賞与を「3.6ヵ月」と仮設定し、賞与がこれ以下で賞与保険料減が生じ
 ると支給年金も減額する仕組にしたため。年間賞与は「3.6ヵ月」を超
 えても年金は増えない。役員報酬は年金減の直撃。年俸制は12ヵ月と
 15.6ヵ月で年金差額の変化である。このことは知らされていないも同
 様で、あなたの会社では対策を打ちましたか? 同額保険料なのに矛
 盾した話ですが…。

 倒産企業の元従業員の訴えに対して、社会保険審査会は「使用されて
 いた事実がある」として、遡って保険の加入を認めた(平成15年1月
 31日付社審発078号社会保険審査会裁決)。
 Y社会保険事務所は破産管財人の加入届(資格取得届)の受付をも拒
 否したもので、従業員らは社会保険事務所の怠慢として遡っての加入
 確認申請を行った。法律では翌月の賃金支払いより後は保険料を被保
 険者から遡って徴収できないので、約2年にわたり加入を認められた
 人は、2年分の保険料納入の必要なく、2年分の国民健康保険と国民
 年金の保険料も返還されることになった。

 支払い振込先の銀行口座が解約されている。これを知らずに送金する
 と振込料以外に手数料をとられる。(M銀行で2000円を送金。420円+
 630円)ところが、この大阪人は「ATMで引き受け表示が出た。手数
 料と言っても約款の表示が無いので、譲ったとしても630円払わへん!」
 と金融庁へ行政指導を求め、銀行とも交渉。銀行も約款の表示を欠い
 ていた為、4回の電話やり取りの上、非を認め無料とした。これから
 の社会を示唆するネギリの実態? 或いはネット社会での約款の形骸
 化?(約款とは料金や内容の契約規定みたいなもので明示義務がある)

 ハンガリー国のIT産業インフラの様子がNHKで放映された。100メ
 ガの光ファイバーではない。151メガのレーザー通信である。設備費は
 格段に安く、速度は1.5倍である。例えば、日本では三角点と言うのが
 網の目のように幾つもの山の上にあって日本列島などの伸び縮みを測
 るなど地図の測量をレーザーを使い何十年も前からやっている。三角
 点の頂上は少し平地になっていて樹木も伐採してある。…NTTの光
 ファイバー布設工事などは明日にでも中止してほしいくらいだ。

2003/02/04

第10号

 今年の1月半ばになり、売り上げ・販売・受注に目途の出てきた企業
 と、低迷困惑の続く企業とにはっきり2極分化して来たようである。
 日本はアジア経済戦争に負けて、今や中国やインドの下位にある。こ
 れからは超高級技術製品と高級技能サービスの2つで世界に羽ばたく
 道がある。この「目途」と「低迷」の差異はどこにあるのか?(後日
 分析してメルマガに掲載します)。とりあえず。

 退職金のためにと生命保険会社と適格年金の契約をしている企業は多
 いが、昨年春ごろから生保からの一斉「解約アドバイス」が行われて
 いる。専門家が詰め寄ると生保側は止めてくれとは言ってないと開き
 直るが、相手が社長になると生保はどこでも強気。私たちが何社かの
 相談に乗ってカラクリの概略が分かった。今話題の予想利率とは別の
 事態であった。
  《このメルマガ末尾↓へつづく……。》

 「病気と貧乏は同居する」。70年前の昭和大恐慌と比べると、今の経
 済指標は極端に悪い。ところが、悲惨さの少ないのは「人類の知恵と
 良識」の経済政策が活きているからなのである。70年前の「借金の保
 証人で破産」「騙されて田畑を取られた」などの話が、現代まで「こ
 とわざ」として残った。では平成恐慌ではどんな特徴があるのだろう?
 つまり、**マスコミでは社会経済情報が入らない→知らないうちに経
 済から取り残される→それも経済と世間から取り残されても自覚が無
 い→なので現実を発見するたびに不安ストレスを感じ精神的ダメージ
 を受ける**。ハッとしてしまう。「人+もの+金」の70年前の発想に
 加えて、現代は情報(特にインテリジェンス)とノウハウ(著作権問
 題がこれである)がとても大切になった。平成恐慌克服は、「情報&
 ノウハウ」を経営管理できるか否かに掛かっていそうである。

 介護職員のサービス残業で社会福祉法人の理事長が逮捕。東京羽村市
 で。労働基準法違反(不払い額1億円余)との報道。残業不払での逮
 捕はめずらしい。逮捕されるのは、脱税も1億円、賃金不払も1億円
 と見てよいだろう。但し、賃金不払額とは過去2年の累積金額を計算
 するので、月額四百万強が2年で累積1億円となるから要注意。

 経営管理手法の『発見‐開発』……ノウハウの蓄積は属人的で企業で
 の科学的管理は不可能とされてきた。管理職や技能者の職人性として
 蓄積計画に手が付けられる事もなかった。ところが、人事管理や経営
 とは畑違いの財政学の大学教授がこれを発見していた。「ノウハウ蓄
 積のプロセス」として私どもが企業向けに研究開発した。それを今月
 公開する。私どものHP【辞書にない会社用語】で、「の」をクリッ
 クしてください。
   http://www.soumubu.jp/contact/yougo-index.html
 〈このページには他にも、IT失敗の判断基準、売れる商品とは、管
  理と目前の仕事、芸術性(仕事・商品で)、サービス、新商品とは、
  衰退期(企業の)、問題点の把握、などなど経営管理・業務遂行・
  企画計画に使用する概念が便利に説明されている。このほど44件追
  加しています。〉

2003/01/07

第9号

 本年は、日本型リストラの柱である人件費の切り下げを狙った法律の
 改正施行が盛りだくさん。労働基準、雇用保険、労働者派遣、職安、
 健康保険、厚生年金、個別紛争解決促進法など。ここまで来ると、確
 実社会は変わる。個別企業の風土も変わる。1年たつと、当たり前の
 ごとく社会に定着するが、時代を見据えて、いかに先手を取るかで人
 件費が天国と地獄になる。

 日本の資産は1400兆円。借金や不良債権は1000兆円。通貨価値を数分
 の一にしてしまうHiパワーインフレをして借金棒引きするか、又は企
 業や個人を順に破産させて個々に不払にするか…。この程度の政策だ
 からアメリカ系ユダヤ資本は資産の買い付けに来ている。リゾート法
 適用第一号の宮崎シーガイヤは、投入2000億円、売り200億円の破格値
 だったので、外資系に「第三セクターが安い」とのウワサが立ってし
 まった。官僚の商売だから、これで相場は決まったも同然。国内の至
 る所に虫食いの様に外資が入り込むのは覚悟の上だ。とりあえず個人
 も民間も借金で下手を打たないように頑張ろう。3月と6月の経済危
 機は(第7号既報)節目となる。

 アジアでの日本の経済的地位は極端に低下。重厚長大産業、軽工業、
 コンピューター関連ともに中国とインドに物量も人材も負けてしまっ
 た。 無能な官僚のおかげで国際化は失敗! なので、次は a.世
 界中を相手に付加価値の高い商品とか b.世界相手のサービスに的
 を絞ると良い。教育、福祉、環境などの背景産業も欠かせない。イン
 ターネットなど世界への流通手段も必要。技能者と技術者を育てるに
 は労働分野へ先行して投資が大切である。個別企業も同じ事。本年は、
 悶々と惰性でやっている場合ではない。官僚には唯一「国敗れて財務
 省あり」とならないように期待するのみ。