2002/12/10

第8号

 今年の賞与の特徴は、3万、5万、10万の金一封の定額もさることな
 がら、決定時期が遅れていることである。来年への不安が先立つのと、
 ボーナスの融資がとてもきびしいところに原因がある。

 セーフティネットといわれるが、パート、アルバイトの割合が増えて
 いる中で、多くのところが雇用保険加入はしていない。小さな業務請
 負会社と専属契約している場合も保険加入はほとんどない。官僚の考
 えるセーフティネットとはこの程度のもので、個人消費を増やす上で
 も、法の主旨である治安対策も、「間の抜けた」ままである。労使喧
 嘩未然発生防止、ナゲヤリ的労働防止、解雇時の収入確保にギリギリ
 のところで、雇用保険だけは、現に役に立っているのである。

 年金改革の案がいっせいにマスコミ報道された。ところで最も前提と
 なる加入実態は公表されない。ほとんどの事業所が強制加入と言って
 社会保険を止められないはずだが、中小企業は「お金が無いから脱退
 します。国保と国民年金に入ります」と言えば即やめられる。都市部
 の社会保険事務所で起こっていることだ。社会保険労務士に頼まず脱
 退手続きをすると良いらしい。数千万円の保険料を滞納している会社
 は無数にある。社会保険事務所は「倒産する!」の言葉に弱いので集
 金担当は滞納の金額確定さえすればもう何もしない。保険料の減らし
 方も教えてくれる。細かいことに出費になる被保険者は事実をごまか
 してでも加入させない。30年前は極端な赤字企業とか経営の不安定な
 業界は「任意適用」の役所独自用語を乱用して排除してきた。この手
 法なら黒字転換するのは言わずと知れたこと。なぜそうしないのか。
 昔…財政投融資に使う厚生年金資金を増やす目的があった。その後…
 年金資金を不良債権にした。今…マトテ返す(原状回復)ために年金
 改革が必要なのだ。年金では正直者がバカを見ている!

 物の製造業務、いわゆる工場への人材派遣が、いよいよ認められる状
 況だ。派遣社員は社会保険と雇用保険加入が派遣に当たっての条件だ。
 今まで業務請負だった場合、その多くは非加入だ。派遣に切り替えた
 場合給与の14%ほどの粗利益が下がる。料金アップ又は手抜きが生ず
 る元である。業務請負社員は多くが国民健康保険は無収入者保険料の
 月額千数百円、国民年金は未加入だ。ところが派遣になると給料の14
 %ほどが控除される。いくらなんでも急な話で収入減は大きすぎる。
 ところが、官僚たちは派遣先の常用労働者化を図ろうとしているので、
 民間人のマイナスなど何のその、労働力の国家統制のほうが大事なの
 である。何の思慮も無く派遣対象業務拡大と言ってきた派遣業者の足
 元はすくわれてしまった。よく考えると独立性のある業務請負の方が、
 将来ともに安定している。

 特殊法人、地方自治体の人件費削減が進められている。ところが実態
 は外注費への帳簿の付け替えである。人材派遣と業務委託(請負)で
 直接人件費予算が減れば良いと言うわけだ。官公庁も労働者派遣法が
 適用なのに対象業務や期間を無視する人が多い。……この際、民間の
 方が労働力の品質が高いので、民間で受注しよう!

2002/11/12

第7号

 解雇ルールの労働基準法への法律明文化への政府の意図はどこに???
 民間の現状はこうだ……。整理解雇の四要件(経営悪化、解雇回避努
 力、公平解雇、説明納得性)を満たすより、民事再生の方が簡単であ
 る。期間契約雇用者が四年目の雇用に突入すると60歳まで雇ったこと
 になるのだが、三年も雇う予定が立たないのが現実である。コミュニ
 ティユニオン(合同労組)でトラブった場合、パートで100万円、社員
 で300万円ほどの解決金が必要である。地位保全の裁判を起こされると
 70万円持って専門の弁護士事務所に会社が駆け込まなければならない。
 着手金が50万円の弁護士は敗訴の覚悟が要る。労働者側弁護士は、東
 大や京大の学生現役司法試験パス組の宝庫であり、事情による10万円
 着手金後払いはザラである。解雇を撤回して組合員がひとりでも残る
 と団体交渉でプロを相手にすることになる。労働組合には刑事免責、
 民事免責をフルに使った行動が出来るので会社には「無視の仕様」が
 無い。労組に、たいがいの事をされても監督署、安定所、警察でも結
 局は手は出さないことになっている。…これが現実。
 昔々の労働省には企業育成の発想があったが、今は「事なかれ主義の
 官僚統制」で民間を子ども扱いしているとしか見えない! 希望退職
 を募り3年分の年収を退職金に上乗せして10年分の人件費を払わなけ
 れば7年分お得なんてな単純発想は今では通用しない。
 事業の柱と会社の石垣は築くのには何十年もかかる。

 労働力の切り替えが進んでいる。二つの流れがある。ひとつは、パー
 トや業務請負。二つ目は最近芽が出始めた個人請負(委託)とかSOHO
 である。個人請負は契約の名称に関係なく指揮命令、専属性、時間管
 理の順で労働者かどうかの判定を下される。現に条件付出来高性労働
 契約は存在している。SOHOはスモールオフィス・ホームオフィスとい
 ってるが、昔ながらの内職そのもの。専門職業のプロは「事務所」を
 開く。実態把握は必要だが研究は既に終結している。厚生労働省は家
 内労働実態調査として発表している。所得は労働に対する工賃なので
 ある。世界に目を向けてみると、個人請負と家内労働(SOHO)はILO
 (国際労働機関)で10年も前から討論されている事項であり、今にな
 って注目される背景には、日本での労働力調達と労働の工程管理の後
 進性によるものがある。

 イラク戦争で景気はどうなる?… イスラムの文化・社会・経済への
 進出が出来なかったアメリカが貿易や資本進出したいだけのこと。と
 冷静に見てみれば何がどうなっているのか良くわかる。その点、今の
 日本は経済進出し放題である。13億人ほどのイスラム地域への「アメ
 リカ経済進出の岐路」ではあるが、アメリカを先頭に先進国と言われ
 る国でイスラム教が激増している事実は見逃せない。

 来年の日本経済の行方… 政府は産業育成再生ともに対策をしないよ
 うだ。内需拡大もしない。この政策を専門的には新古典学派というが、
 実は100年前の幼稚な理屈そのもの。経済恐慌は金融に及びそうな一触
 即発。三月は年度のしわ寄せが出てくるので経済危機がくる。六月の
 危機はとても厳しい。健康保険、雇用保険、年金、介護保険などなど
 個人消費減少で直撃。その額は四兆円弱となる。今の経済力だと、97
 年橋本消費税5%のときの3兆円個人消費ダウンの際の、数倍の経済
 不安を生む。これは会社の売上を激減させる。
 ことあるごとに、多くの年寄りや年金生活者は「私たちを政府が見捨
 てることは無い」と発言する。「子供たちはかわいそう」と言う。こ
 れだけ口を揃えて言うのには、戦前からの人生経験がそうさせるのか
 もしれない。「国破れて破れて、財務省あり!」なのだ。

2002/10/08

第6号

 ペイオフ延期は、日本経済の相当な低迷の証拠。
 ところで政府のデフレ対策とは、単に通貨供給量を増やして通貨価値
 を目減りさせるだけのようだ。

 社会保険料と労働保険料をまとめて徴収するとか、政府の電子申請の
 来年実施、ワンストップサービス…など、一見素人目には便利な改革
 やIT化が進められているが、よくよく研究してみると、企業経営に
 とっては損な話が散らばっている。さらにインターネット詐欺で銀行
 口座から預金が消えたりのトラブルは続発。今の法律からすると、銀
 行は責任を取らないことになっているので、取られ損!…。
 政府までが集金第一指向になってしまって、本来の政策目標である国
 内労働力の安定供給が危ない。先ず採用のリスクが増えて、事業には
 痛手だ。国の管轄する保険料は税金。なのにリスクは民間に?

 国内産業育成策や輸出拡大策が成果をあげないうちにデフレ対策とし
 て通貨価値を落としたときは、国内1400兆円の「貯金など」に消費を
 頼らざるを得ず、瞬間消化型の「サービス業や商品」が幅をきかせて
 いる現状の社会では、売れる売れないは、消費者の「快?愉快か不快」
 に頼ることになる。
 とすると、労働力の雇用形態は瞬間消化型の労働力を増やすことにな
 り、採用には、消費者が「快?愉快」とするキャラクター能力が重視
 される。事業の労働力戦略は変化する。民間のメリハリと底力が肝心
 である。

 ASP方式の社内ネット構築商品完成。オーダーメイドで費用は百万
 円以内。社内運用ノウハウ積み上げ方式は、営業販売ノウハウや会社
 組織運営を知りつくした専門家によるもので、国内に同様レベルの商
 品は見つからない。現在パッケージソフトやパッケージASPは使い
 物にならず、700万以上の投資及び運転管理者まで必要なERPからす
 ると、格段に進歩して、便利になった。
 <参考サイト→ http://www.soumubu.jp/contact/free/f005.html >

2002/09/03

第5号

 人事院勧告。初めて月例給をカット。国家公務員の年収は四年連続ダウ
 ンしているが、賃金の基礎となる月例給カットは初めて。今回は平均年
 収は627.4万円で15万円の最大引き下げ。

 ネット系ベンチャー企業、倒産多発(帝国データ)。この業界は倒産に
 いたるまでに消えて無くなる会社が多い。手形を切れる等の事業規模に
 成長していた企業が、いま倒産に至ったと判断するのが正確である。

 社内ネットが期待どおりに動かない初歩的理由は、
  1.フリーズ…続発するが対処できない。
  2.ダウンロード…これができるとHPからたくさん情報が収集できる。
  3.コピー貼り付け…HPやメールの記事が他人にメールすぐ出来る。
  4.疑似ウイルス…怖いからインターネットに接続できない。
 の四つにあることが分かった。
 「社内ネットを動かしている」と言っていても間接部門は全国どの会社
 も、ほぼ失敗状態である。原因は、コンピュータ技術者の多くが職人気
 質で人を教育できない上に、企業の組織形態や組織運営とは縁が無い職
 人たちに期待をかけざるを得なかったからである。とりあえず解決の光
 が見えた。

 食の安全と環境問題に無頓着な企業は、経済恐慌なので、官がつぶしに
 かかり競合会社が追い討ちをかける。ある漬物S会社の男性お客様係は
 「疑えばきりが無い」と原料の中国野菜に不安を訴える電話に対して居
 直ったそうだが、官僚的ピラミッド型組織に生きる社員としては当然の
 発想であり対処である。その考え方は現代のマーケットとは相反する。
 そもそも官僚的ピラミッド型組織はお客の声に耳を傾ける目的は持ち得
 ない。マーケット重視の組織に形を変えない限り誰が担当してもいずれ
 は再発するのである。

 ところで、国内総生産GDPは年間500兆円くらい、前年対比は取り上げ
 られても総額が分からないではないか! 借金のうち利息を払わないも
 のが不良債権なのだが実は150兆円あると言われている。

2002/08/06

第4号

 小企業も大企業も恐慌から脱出するには、?多国籍企業になること。
 ?ITで武装すること。?生産システムを改革すること。の3点だと…。
 発明や特許より、いまは抜本的マーケッティングの新商品が現実的。こ
 れこそ総務部門の提起する経営方針草案ポイントとのこと…。北欧諸国
 やイタリア地場産業は、その点で進んでおり、だからこそ日本の市場を
 ねらって進出して来ている。ちなみに70年前の恐慌のときは如何に?

 昭和大恐慌のときは、多国籍化と生産システム改革で克服しようとした。
 当時も日本製や特産品を米英欧に輸出していた。フォード自動車を話題
 にテーラーの科学的管理法での労働生産性Upや、労働力の計画養成教育
 で販売技能、マーケッティング、生産計画が取り入れられた。今の百貨
 店や商店街の原型である。新製品を大量に安く大工場で作る原型が出来
 た。ところが、その当時、政府首脳を陸軍などに握られてしまって経済
 発展は頓挫。と昔の教訓。

 政府の構造改革は経済は二の次。財務省の財源維持が第1になっている
 ところからするとペイオフ延期は当然のことかも。来年6月からの経済
 深刻化を政府は予定しているのか? 銀行融資枠の状況からするとリス
 トラ資金が危険。退職金もアブナイ! こういうときは重点成長産業へ
 の資本と労働力の集中が大切とのことらしい!… そしてさらに、
 「今の日本では、中央の政策決定者と現場の間の理解が不十分。その原
 因はコミュニケーション不足。国家公務員倫理法の弾力的運用などで、
 コミュニケーションを円滑にするべきだ」(井植敏・三洋電機会長7/4)。
 この発言は、政府が実質的に民間の声を聞いていない現われではないの
 か。

2002/07/02

第3号

 東京経済は人が溺れているようなもの。景気底打ち? といっても地方
 は海の中。大陸棚も日本海溝も同じ海の底。これから3年間は現状のま
 ま=政府見通し。大手企業の固定費不払。労働力大移動も進行中。大恐
 慌である。70年前の昭和大恐慌のときの、民間の脱出策にヒントが…。

 労働基準監督署の労働条件調査が相次いでいる。政府内部で労働基準監
 督官は仕事の実績が少ないとの批判が、昨年出たとたん、検察への書類
 送検、是正勧告が増加しているようである。火のないところに煙は立た
 ずで、労働条件調査をすると何らかの是正勧告が出る。労働基準監督官
 は司法警察員なのだが、調査動機不純により半身に構えている監督官が
 多いのか、調査技術が甘いのか、結構イイカゲンに終わっていて、会社
 の担当者はホッとしているのが、結果としては大半である。ところで、
 昔は、労基署というと「強い者の味方」とのウワサがあったが、いずれ
 にしても名は体を現していない役所である。

 日本版401K、8ヵ月後の5月末でも105企業9万人の低導入率。1000人
 以上の会社は20社しかない。厚生労働省の思惑は大ハズレ。そもそも
 厚生年金保険の運営で大失敗をした厚生省の安易な代替品として米国の
 401Kをマネしたようなもの。「米国は資産目減り」で、日本では特別な
 会社以外は冷たい視線を送っている。

2002/06/04

第2号

 来年度からは賞与からも社会保険料が引かれる方向。そのために、ほと
 んどの会社が来年からの賃金体系を見直しに着手。そこへ、5月18日大
 阪地方裁判所が「年俸制でも時間外支払え」との判決を下した。
 経済恐慌の今、営業販売といい生産流通といい、メリハリのある経営方
 針が求められデフレ時代の利益の源泉になっている。自己負担率が3割
 もお忘れなく!!

 落ち込む経済、進む官僚統制!! 人材派遣業も官僚統制への道か!
 人材派遣健保組合の設立? 業界、業者、周辺団体への行政指導などな
 ど…。労働市場内での派遣会社とスタッフを正規社員の周辺常用労働者
 に組入れる官僚統制をされつつある。厚生労働省の雇用政策の下請負で
 は、事実上営業利益が激減するなかで、民間業者としては先行不安!小
 規模派遣会社や役所の外郭団体で公務員よりも高給与の社員は存在する
 のだろうか。しかし、昭和61年に私どもの発案した「業務請負」形態
 は、今後とも将来に向かって健全の様である。

 いずれにしろ、約70年ぶりの経済恐慌で経済構造大再編。昭和大恐慌当
 時は長引く不景気と言っていた。今は長引く不況である。今も口が裂け
 ても恐慌とは言わない。デフレ??。昭和大恐慌の後、すぐに…。百貨
 店は今のような業態になった。経済は大量生産の生産体制を整備し始め
 た。売買の基本である、商法の大改正をして今のようになった。
 総務、人事、経理の、今のような概念は、このとき考えられた。

2002/05/08

第1号

 財政難のせいか、いくつかの健康保険組合では、扶養家族の収入制限を
 厳しく設けて、中小企業の入っている政府管掌健康保険に比べて、扶養家
 族の排除をしている。年間130万円の収入の取り扱いであったり、個人
 のプライバシーに踏み込み届を出させないよう仕向けたりの疑いがある。
 厚生労働省の行政指導も受けないようである。近頃の健保組合は脱退分担
 金があり政府管掌健保と比べ条件が悪くなってきている。