2016/05/10

第169号:競合他社より、一歩リードする中堅中小企業の経営ポイント

<コンテンツ>
技術や品質一辺倒は売れない!Made in Japan
中堅・中小企業の、同業他社の競争ポイント
固有文化価値の商品は、確実に強い
組織の上にあぐらをかく官僚の考える経済とは


§技術や品質一辺倒は売れない!Made in Japan
今の世界経済状況では、文明基礎商品一本ヤリでは経済転落する。
日本のオーストラリアへの潜水艦:輸出は、事実上本決まりであったものがキャンセルされた。インドネシアの新幹線も受注できなかった。海外の原子力発電も日本政府の事故保障付(日本の税金投入)でなければ見向きもされていない。確かに品質・外交・軍事にわたる微妙な問題が絡むのだが、受注できなければ負け犬である。負け惜しみの論理構成は、競合する他国においても互いに持っている弁解にしかならないし、日本は反省がない。
やはり決定的なのは、「品質と売り込み方」である。高品質・技術一辺倒では売れるわけがないのは、現場の誰もがよく認識するところである。ところが日本では、「技術立国」の夢物語(過去は製品輸出をOECDなどで政府が買い支え)を、未だにマスコミや官僚などは、意識的に振りまいている。
日増しに目立つ、国内向け商品の劣化。
一般国民向けの小売は、すなわち、スーパー、生協、コンビニ、家電小売などに並ぶ商品は、おしなべて、取扱商品の粗悪が目立ち、偽物商品までが出回るようになった。驚くことに、ここには高品質・技術一辺の裏目が出ている。現代の若者が手に入れることの衣食住にかかわる商品は、団塊世代や一歩後の世代に比べると、手を変え品を変えカラフルではあるけれど、商品(価値)が劣化しているのである。


§中堅・中小企業の、同業他社の競争ポイント。
すべての会社が、技術とか高水準サービスでもって「オンリーワン企業」になれるわけではない。そこで、世界的な信用経済危機のなかで、当座の手法が課題となってくる。
1.同業他社よりも人件費対策で入っていく。
2.採用募集は、変に金をかけずに社員や、近親者へ働きかける。
3.同業他社よりも良い人を採る。夜間・土日・深夜の専門パートの展開。
4.マインバー(個人番号)は扱わない、個々人に任せ、企業のリスク回避をする。
5.価値の低い仕事と時間を減らす。経営者や管理職にはアシスタントをつける。
6.新採用の狙いは、大手企業をやめる人。(大手はドングリの集り:将来不安が)
7.小さい企業のネットワークは小さい、かつ低レベルの人との付き合いばかり。
8.仕事内容の重要性を理解させないから品質が低い。(基礎の無い者ほど反発)
9.現場の末端に至るまで、「管理データ作り」をさせること。
10.管理しないから時間がない。今もなければ:今後も時間はない。
11.目先では将来がない。ところが、言い訳ばかりで実行しない企業が普通だから、多少やれば優位に立てる。
……さて、同業他社に勝つための、こういった競争ポイントは、固有文化価値商品の製造や高水準サービスでなければ、実際の売上額や利益率が伴っては来ない。その理由は簡単である、文明基礎商品と言われるものは、その理念が、「より良いものをより安く」であるから、勝つための項目との矛盾をきたしてしまうのである。まして今時、滅私奉公などを唱えても誰も働きに来てくれない、もとより滅私奉公と言っても江戸時代から、その人の生活保障は行うのが前提であった、にもかかわらず、である。
まして、世界的経済の変動で、バブル経済期以前のような仕事が転がり込んでくる時代は、再来しないのである。生きてきた過去の経験ばかりが自然なことと勘違いをしていると、自我は否定されるばかりである、すなわち不幸しか来ない。


§固有文化価値の商品は、確実に強い。
こういった商品像は着実に増加してきており、それを供給する個別企業は安定をしている。反面、技術一辺倒:文明基礎商品の、新商品開発や新規事業の拡散を、資金融資(信用経済システム)に頼りきった途端に、個別企業の経営破たんが始まっている。その典型は、シャープの事業展開の顛末である。
One. 文明基礎商品(より良い物をより安く)は大いに活用して、提供先の固有文化の価値に合わせた製品や高水準サービスを提供。海外販路も同じだ。
Two. 文明基礎商品(~どこでも売っている商品)に、いくら:どのように=付加価値をつけようとも、経費倒れ若しくは、反社会(詐欺・欠陥品・危険物)の品質になるだけである。それは、経営者の気づかないところで、あなたの部下が計画しているかもしれない。中小企業であっても官僚のマネをして、必ず「ズル」をしている者は存在する。韓国での加湿器の水に毒物を混入させるオキシー・サクサク事件。そこには、甚だしい文化教養水準の低さ、防カビ剤を室内噴霧させる危険が認知できない程の理科学教育水準なのである。確かに、韓国では合法的のようだが、反社会的品質には変わりがない。
Three.文明基礎商品の製造には、労働契約というよりも雇用契約といった概念が強い。多くの企業では習慣的に「雇用」の言葉を使っているが、「雇」の解字とは籠の中の鳥の表現である。さて、労働能力のうち「主に労働力」のみを期待されている雇い方とは、まさに籠の中に閉じこめられた鳥そのものである。「労」の解字は、元は勞で、火を燃やすように力を出すことで、「働」は日本製漢字で人間の動きに意味を限定したもの。
(ア)その商品を需要する人たち(それは国内や海外のいずれの地であっても)の持っている、固有文化の価値に合わせた製品や高水準サービスを創造するのは、全般的な労働能力であり、能力未熟ならば無理である。
(イ)そういった固有文化の価値を読み取り、それを創り上げる労働能力の全般的育成と引き上げ。それは技術であって技能ではないことを間違えてはいけない。日本にとっては労働能力の全般的育成と引き上げ、さらには高齢者には労働能力の組直しが重要なのだ。
Four. 文明基礎商品は、もっぱら使用価値で成り立つだけである。流通や交換(売買)は、もっぱら通貨価値を基準としている。観念(思想)などといった労働全般の価値は評価されない。幸福概念などの文化価値が、通貨価値で表現されないと嘆くのではなく、事実は通貨交換が支配的な中で無視しているだけにすぎない。

http://netclerk.net/WebShomotsu/archives/57



§組織の上にあぐらをかく官僚の考える経済とは、
そのほとんどが略奪経済を頭に描いている。もちろん官僚とは公務員のみならず大手企業のサラリーマン経営者や官僚主義者にも巣食っている。これらに振り回された途端、利益先食いの白昼夢→負債地獄の悪夢にうなされる。それはサラリーマンが、出世を餌に、家庭生活が振り回される場合も同様である。
・第二次世界大戦に至るドイツのヒトラー政権は略奪経済の典型である。(以下、日本の現在や過去を頭に描いてどうぞ?)
・ヒトラーは開戦から直ちにポーランド、ロシア、フランスなどから1000万人を超えるユダヤ人その他の強制労働をさせる(経済外的)体制を行った、挙げ句にユダヤ人の働けない男女子供の収容所(抹殺処分)送りであった。
・それらの財源は、占領国の国庫支出の26.8%程度をドイツに上納させていた。日本の軍事官僚たちも、研究が少ないながらも同様のことではある。
・ドイツ労働者を大喜びさせた400万人:失業対策(およそアウトバーン工事など)はすべて借金。「毎週5マルク」で4年後に自家用車が持てる!とのフォルクスワーゲン計画は戦後になって、やっと行き渡る大失策。
・町中では、空き家にさせたユダヤ人の衣服・家財・金品を強奪し「公売会」と称し、それをドイツ市民に安値販売した。強奪を知りながらもこれに大喜びしたドイツ人は多かった。そういったドイツ経済は略奪と国家借金では、まかない切れなかった白昼夢だった。ただ、戦時中日本の場合は、その白昼のさえも無かっただけである。
・それはまた、生活・経営・経済活動その他にかかわる基本的人権が保障されなかった時代=ドイツのワイマール憲法下での事態であった。ヒトラーは、基本的人権の無い時代を好いことに、泥棒・強奪・ある夜の森の変死体を捜査しない警察などとで組み合わされた、「単純な多数決」の民主主義?制度を使って、ドイツに略奪と借金踏み倒しの白昼夢を持ち込んだのだった。


[お詫び]
今月の発行にかけて体調不良のため十分な取材ができませんでした。抜本的戦略を見据えるインテリジェンスは、これからも提供いたします。医学や医療思想の発展で体調回復の目処は立ちつつあります。いましばらく、猶予をいただきたく存じます。