2016/11/08

第175号:はびこる崩壊と失敗。片やICT産業革命

<コンテンツ>
電通事件は日本の、「労働需給崩壊&商品の品質崩壊」の現れ
マイナンバーを集める意味がなくなった、新たな事態
  ・会社が集める意味がなくなった、その根拠は
  ・ここにきて、国税庁(税務署)が焦っている姿
  ・会社の1番やっかいな懸念は、損害賠償
  ・今日時点での会社のマイナンバー危険排除策はこれだ!
YouTube で解説 話題のマイナンバー 便利な書式など


§電通事件は日本の、「労働需給崩壊&商品の品質崩壊」の現れ
電通の刑事事件捜査が11月7日に、この労働問題の世論は持ちきりである。だが、自殺した女性は「手込め」にされたストレスの上での過重労働、といった情報は否定されていない。25年前の過労自殺認定の電通自殺事件も、革靴にウイスキーを注いで飲ませるなどパワハラ上での過重労働である。「記録に残る労働時間」の話の題材は労災認定の話である。
これに対し電通は「鬼十則」の主旨を見直して労働時間を減らすと言い出した。これが社員や世論からの信頼失墜の引き金になっている。電通は口先だけで元状態へ戻ると揶揄されている。それはなぜか、筆者は広告業界を知らないわけでもなく、事件の本質に迫るべく観察したところ、そこには電通社員にはびこる“職業能力欠落=職業倫理崩壊”の姿である。決して時代環境の変化ではない、「脳ミソまでが肉体労働」だから、そもそも仕事の品質が悪いのである。輪を掛けての長時間拘束だから事件・事故・自殺を誘発するようなものだ。~労働の時間換算を観察切り口から一旦外してみれば、残るは無法者の烏合の集にすぎないことが浮かび上がってくる。
すなわち、ここにメスを入れて、仕事の品質向上・労働全般能力発揮を進めれば、おのずと“善循環”が始まり、「鬼十則」も電通の経営技術として活きて来る。このメスを入れる事に経営者には極度の恐怖感が襲ってくる。たじろがない様に、「心と気持ちと思索と行動」を社内に築き上げるための、整理と戦術を組むことが総務部門の肝心な仕事である。それを事業のライン部門で組むことは不可能なのだ。
(そこに筆者の職業能力も存在する、なので忙殺の毎日に巻き込まれている)。
電通の事を細かく言えば、労働需給と商品論を専門とする筆者の判断は、社長が「鬼十則」見直しの旨を言い出した時点で、これは電通経営者を交替させたところで、仕事の品質向上の可能性はゼロと観た。


§マイナンバーを集める意味がなくなった、新たな事態
11月4日、会社がマイナンバーを集めなくても、来年5月になれば市町村から送付してくる市民税の通知書に、個人のマイナンバーが記載されることになっている。これは総務省の指示のもと、着々と準備が進められていたとの情報である。これを報道したのは、“赤旗”新聞だけだ。はじめ筆者も目を疑った、赤旗の視点は意味不明。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-04/2016110415_01_1.html

そこで手分けして確認したところ、全国的に通知書に記載されるようだ、ただ平成29年度所得用だとも市町村住民税担当は言っている。そこで、「本人確認の出来ない番号は勝手に書くなという法律である」ならびに、「安全管理措置が出来ないから会社は集めない」の2点に絞って各市役所に問い合わせると
市町村への給与支払報告書の、
「総括表に安全管理措置が出来ないから会社は集めていないと添え書きしておけば記載がなくてよい」。
との即答なのである。だとすると、この9月メルマガでお知らせした事態(↓)
http://soumubu1.blogspot.jp/2016_09_01_archive.html#173-01
これまでのマイナンバーの危険な要約は、YuyTube でも解説
https://www.youtube.com/watch?v=fxz8zLU43Xs


会社が集める意味がなくなった、その根拠は
★それ以上に、異変がマイナンバー制度に起こった!ことになる。
要するに、手間暇かけて投資をしてまで、会社が集める意味がなくなったのだ。(以下詳細説明)
1.会社は義務もなければ、権利もないのに、民法上の不法行為を起こすこともない。
2.市民税の通知書によってマイナンバーを知ったところで、それは会社独自の本人確認作業(受け取る場合に限っての法的義務)の場合をしていないことから、他の書類などに転記は出来ない。(国税庁は殊更に本人確認を要求するnetを今月4日にも公表している)。
3.雇用保険はマイナンバーがなくても手続き可能である。年金事務所はすでにコンピュータで市町村とつながっている。健保組合や年金基金では、会社が安全管理措置の不備を犯してまでマイナンバーを提出(個人情報保護法違反の罪)しなくてよいという返答を示すところが急増している。(ただし、一旦出したマイナンバーは削除してくれないようだ)。
4.国税庁(税務署)は、総務省の動きに焦ったのかもしれないが、本人確認の上の回収を呼びかけている。ただし、国税庁は本人同意の手続きを、未だあえて沈黙をしたままだ。そして、16歳未満の者は端から記載除外している。ただ、500万円未満の所得者の源泉徴収票は税務署に提出されない、扶養控除申告書も税務署には提出しない、これらは会社保管である。
5.世帯当たりの年収の把握は、国税庁が市町村に地方事務として押し付けている。市町村で把握した場合に限り、本人や世帯当たり年収を税務署に報告するといった制度だ。ところが、100%税務署に報告しているかと言えばそうではなく、市町村の責務で重要なのは住民福祉であるから、それに反してまで片っ端から税務署に報告するといった、矛盾するような事態になることを市町村はしない。
6.こういった根拠から、会社がマイナンバーを集める意味が、事実上も実態上も存在しなくなったといえる。
7.おりしも人手不足、嫌がることを強要してまで採用募集を断絶することはない。それは直ちに経営の足を引っ張る。DVやストーカー、訳ありで住民票のない人は、個人情報保護法でマイナンバー等を集めてはいけない。そうすると会社は、ダブルやトリプルで複数職場に働く人のマイナンバーを回収するにすぎない。(税務署は会社に違法をしてほしいようだ)。だがこれでは、近代社会共同体の善は、個人の第一義行為は生きることであるから、会社は意地悪をしているにすぎない、それも違法である。まして社員に家族分を回収させる行為は、会社に権利も義務もない上に窃盗を強要する罪になる。加えて民法の不法行為(迷惑行為)になるから損害賠償の対象になる、会社の経理担当個人も損害賠償の対象となる。


ここにきて、国税庁(税務署)が焦っている姿
本人同意がなければ、マイナンバーを集められないことは、法律の基本的なことである。だから税務署はこの点には一切触れない。すなわち、少なくとも16歳未満の子は家庭裁判所で特別代理人の審判、高齢者などの認知症の人は家庭裁判所での成年後見人の審判が必要である。
これに比べ、社会保険(同居していない親族)や雇用保険は会社に義務でもないことを強要しようという意思はなさそうだ。
だが、ここにきて税務署だけは、あえて本人同意手続には触れずに、会社の代理人としての世帯主(社員)が、ドサクサまぎれに扶養家族のマイナンバーを集めてほしいようだから、PRを強化してきたようだ。
【注意!】だがその方法と責任は、あくまで会社内で勝手にどうぞと言っているのであり、会社と世帯主(社員)との代理人契約が必要であるとのことにも沈黙している。だから、下手をすると、会社や経理担当者が窃盗を強要する罪になるのだ。
では事件が起きれば、その場合の危険はどうなるのとか言えば、「会社が勝手に義務も権利ないのに集めたのだから、損害賠償は会社の責任である」と、税務署が言い逃れすることは目に見えている、法律上もそうだ。
マイナンバーコールセンターは、「民間どうし内のことは、国は関与出来ません」と明言している。
そもそも法律では、「世帯主は番号を受け取り、保管する」とだけされており、本人同意なく持ち出すことを禁じている。従業員が会社での立場や事情を並べたところで、持ち出して他人に渡せば、逮捕されることはないが窃盗罪に間違いない。家族分を回収してこなければ不安と従業員が感じた段階で、会社と経理担当者は刑法の強要未遂罪、回収してくれば強要罪に問われる。さて、これが、この11月4日に出された国税庁のnetだ。
http://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2016/1102142035.html


会社の1番やっかいな懸念は、損害賠償
会社にとっては、それは経理事務担当が勝手に集めていたとしても、会社の個人情報保護法違反は免れない。損害賠償は(経理担当にも)会社にも責めを問われることになる。およそ事件になれば少なくとも、一人当たり2~3万円、一家族四人とすれば10万円前後の支払いが裁判所の判決だろうと予見されている。多くの似非専門家は、この事実に触れない。
まして、就業規則にマイナンバーに関する記載条項などを改正実施していたとすれば、直ちに契約不履行との損害賠償請求は、いとも簡単に裁判所が認めることになる。理屈としては就業規則に記載がない場合の、不法行為の原告立証の方が若干の困難さを伴うのは事実である。社会保険労務士の一部は、これをひた隠しにして就業規則を作成・届け出を済ませている。(後で述べるが、この改正の取り消しは可能、その社会保険労務士に賠償金も請求できる)。
常日頃から教育訓練をしていたのかといった程度で会社が敗訴するのは初歩的な低レベルで、委託した業者の安全管理が不備であれば会社の監督責任を問われて敗訴、委託業者がシスコシステムズのようにウィルス侵入されても会社敗訴、といった具合である。ついでであるが、頭の良い“番号回収代行会社”は、回収の際に本人同意の署名をとるようにして損害賠償請求の危険を回避している、だが回収率は50%程度だと思われる。説明をきちっとすればマイナンバーを提出する人は激減する、だから、国税庁や総務省は曖昧な行為を繰り返すのである。
社会保険労務士は社会権充実が責務の仕事、よって、(あっせん代理人は除く)すべての依頼を断れないとの法律条文があるから、社会保険労務士が安全措置の不備懸念を持てば、会社からマイナンバーは受け取ったとしても、留保して届出書面などに記載しない方法が取れることになっている。疑念を持っても届出手続きを行う社会保険労務士は罪に問われ、会社は罪を問われるものの、その社会保険労務士に損害賠償を請求する権利を持つ、その結果までは知らないが…。


今日時点での会社のマイナンバー危険排除策はこれだ!
[1]就業規則に記載したマイナンバー条項を削除(契約不履行の損害賠償回避)
   削除するには、直ちにマイナンバー条項廃止する通達で十分
[2]安全管理措置の達成は無理、不法行為による損害賠償の回避の手段をとる。
   個人情報保護法違反をしてまでマイナンバーを集めないこと
   マイナンバー法の違反刑罰はなくとも、経理担当の軽率行為の賠償責任あり
[3]パソコンには一切マイナンバーを入れない。会計ソフトにも入力しない。
   ネット回線、変換ソフト、CD、メール、どこからウィルスが入るか分からない。
   例えば一部の行政機関は画像読み取りで安全対処をしようとしているが、
   画像ファイルはテキストファイルより少し手間がかかるだけで、
   ハッカーにとって画像内容を読みとることは時間の問題である。
[4]集めてしまったマイナンバーは、シュレッダーその他で焼却処分する。
   安全措置不備(番号法ではなく個人情報保護法違反)での保管は危険、
   本人確認に要した物は返却すると、再び漏洩危険行為が生じる。
   その廃棄処分を通知しないと、漏洩事件に至らなくても訴訟はあり得る
[5]それでも、マイナンバーを集めたいのであれば、次のようなアンケートは必要
   ただし、安全 管理措置の不備があれば、法的には訴訟はゼロ%ではない。
   http://www.soumubu.jp/download/template/template2/sonota/mynum.html
[6]平成28年度所得の支払調書などのマイナンバーは使用されない、念の為。
   なお、市町村のシステム変更は来年7月以降の予定としている。
   今年の分も記載して出しても意味はなく、ただし一旦届け出たとなると、
   半永久的に安全管理措置義務の罠に落ちる。

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§YouTube で解説 話題のマイナンバー 便利な書式など

これから順次時間を作って YouTube を作成していきます。

>>「年次有給休暇台帳 PCより速い便利で簡単」
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=yH74Q1OhRjE
>>「協調性・規律性のチェック そして合法的とは」
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=4PWkPrLJNXI
>>「マイナンバーには注意する。」:最新動向
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=fxz8zLU43Xs
>>「高齢者でも元気に長く働くチェックシート 人手不足対策」
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=JcBs6X1u2A4
>>「はじめまして、総務部です。」:ごあいさつ
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=QR5Di0gtpQQ

ただし今月は、電通事件に端を発した会社PC22時ログオフの流行で、
その対応に巻き込まれ激務。思うように製作本数が出品できませんでした。
私どもの YouTube は、
a.日頃お目にかかれない方が多いことを思い起こし、
b.世界中どこでも、私ども株式会社総務部の話を聞いていただけるように
c.また、ダウンロードだけでは、深いところの使い方が伝わらないことから
YouTube で発信することにしました。
さまざまな書式を無料でダウンロードする=世間では未だ画期的。
今回の YouTube も画期的とのことですが、
実は本を執筆するよりも手間と経費が格段節約、でも内容が充実します。
論理構成をきめ細かく整理すると明快となる事柄は、やはり文章なんです。
あなたの会社の社長への説明、会議での説明にも便利に使っていただけます。
YouTube チャンネルに蓄積していきます。よろしく、お願い申しあげます。