2014/03/04

第143号

<コンテンツ>
労働者派遣業改正、その本質とは!
 ・法律改正で緩和されようとしている内容
 ・「どっちに転んでもの政策」その打開策とは、
 ・経営者とその作戦参謀(総務部門)は覚悟
肌で感じる経済構造の大転換、消費税増税前に
商品流通の歴史的な事実
固有価値を生む労働に職業能力を育む事例(続報)


§労働者派遣業改正、その本質とは!
政府の労働規制緩和の「目くらまし」として、労働者派遣法改正が行われようとしている。
来年4月1日施行を予定し、この3月上旬までに国会提出する見通し。
ところが実態は、良いか悪いかは別として、
1.現政府の規制緩和は既に官僚によって骨抜きにされている。
2.労働者派遣の雇用問題は、有期労働契約の一部分に過ぎない。
3.いわゆる非正規労働の大方は、業務請負の受注形態に移行。
4.経済的課題は、業務請負の労働者の職業能力開発体制がないこと。
………こういったところの現実が、いっさい議論のなされていないことである。

法律改正で緩和されようとしている内容
は、労働者派遣事業を行う個別企業からすれば、不採算を招く内容であることは歴然としている。
平成27年10月1日からの「労働契約申し込みみなし制度」も議論にはなっているが、結局のところは、どちらにどのように転がっても、形式や書面が変更されるだけで事業展開が変わるようなことにはなっていない。2月27日の審議会で了承された物はこれだ。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000037743.html
もとより、1996年秋に、労働官僚の曰く、「派遣事業の優遇制度」が無くなってから、人材派遣のみのでは不採算経営とならざるを得ない基盤が出来上がっている。その上で、社会保険の適用や派遣会社の利益率低下が生じて来た背景を無視してはいけない。マスコミは、1999年の労働者派遣事業の法律第改正ばかりを取り上げるが、1997年に派遣事業の根幹である職業安定法改正を行っていたのである。
なぜ、いわゆる非正規労働の増加に向けて、多くの経営者が非正規労働者採用へと動いているのかの分析が必要である。それは、
1.社会保険料・介護保険料は、実質全額経営者負担となることを回避したい。
2.1996年11月末まで、社会保険の2ヵ月以内の有期契約繰り返しが合法的だった。
3.週30時間未満の短時間労働者であれば社会保険は適用されない。
4.週30時間以上の労働者は、行政機関の手が届かない中堅中小企業で抱える。
5.労働契約法改正で、形式的短期契約の繰り返しが既に出来なくなっている。
6.産業育成のカギとなる職業能力開発が出来ていないので新製品の開発が出来ない。
7.不採算事業=不良債権累積が、規模拡大に走った労働集約型事業の現実だ。
8.労働集約型事業のイノベーションが伴わないから=自動で事業縮小となる。
………個別事業も政府の政策も、こういったポイントを分析しないで論評したところで、それは時間と思考の無駄である。

「どっちに転んでもの政策」その打開策とは、
日本全体を一挙に救済しようとすることが無理なことは解っている。よって、打開のポイントは、時代や社会が需要する新商品を重点的提供できる個別企業の体制を、先ずはイノベーションするための人材を確保して、改めて職業能力開発・訓練(練習)を実際に展開して行くことである。過去の人材での着想や開発は、この数年に出来ていなければ、明日からは無理である。
経済体制において、いったん出来上がった金銭流通の流れを、いくら議論したところで変更されることは無い。これがあたかも変更される合意が形成される?かの如くの議論をしていても仕方がない。職業能力開発・訓練(練習)ひとつとってみても、改めて習得する必要性を自覚する労働者は、おそらく日本全体の2~3%程度と推測できる。個人的に、「改めて習得する必要性」を自覚して、自己啓発関連の書籍(昔から類似のものばかり)を読んでみても、この2~3%程度の労働者を、「いかに個別企業が確保するか」といったことすら研究されていないのである。その研究は、具体的にイノベーションされた事業プランに対して、具体的に必要な職業能力と習得練習方法の明示、を要件づけすることでなければものにならない。幸いにも、そういった有能労働者は非正規労働者の中に多く紛れ込んでいて、要は活用の方法と仕組みである。
もとより、労働者派遣事業の着想は民間:失業対策事業であった。当時労働省内で企画を行った信州大学の故高梨教授も、「この派遣業は本来労働組合が行うべきものである」と力説していたのであった。
その時期は昭和54年。昭和55年のオイルショック前の構造的不況を察知することから始まり、あくまで、その対策にしか過ぎなかった。だからこそ今は、長いスパンを見通して、日本の社会経済構造をいかに豊かにするか!のために、個別企業が活躍できるかにかかっているのである。現実を見れば診るほど、きわめて綿密に事業展開の戦略・戦術そして作戦を考えなければならない。並行して有能な労働者が「戦略・戦術そして作戦」を企画立案できるように能力開発もしなければならない。世界の経済状況にあっては、ジャパンな精神力だけでは全く太刀打ち出来ない。社内の知恵で乗り切れるなら、すでにあなたの会社は、静かな成長をしている。懸念されている金融危機や事業展開の時間的スパン差を考えれば、現在保有している通貨転換型資本が吹っ飛んでしまうかもしれない状況でもあるのだ。

経営者とその作戦参謀(総務部門)は覚悟して
その先端を切り開いてこそ、次代の個別事業経営を維持できる可能性があるのだ。大勢に流れて不良債権を抱えてしまっているのでは見通しがあるわけもない。今の社会経済状況は、大勢に流されるだけでも、自滅を待つしかないといった現実なのだ。だからこそ頭の良い大手企業の経営幹部たちもが、運に任せて生きるしか無く、身の危険をかえりみずに新規事業展開など出来る訳がない立場なのだ。高度経済成長の真っただ中に活躍した、ある元経営者はこう話す、「大手企業出身者は自分の過去を自慢したがり、中小企業の職人達は維持の話をするのが大好きだ」と。
また、労働組合の政策立案者にも問いかけをしたい。古今東西、労働組合の政策には、「社員化要求」であるとか「公務員待遇」といった言葉が散在する。これは世界的にも良く似た傾向が発展途上国などにみられる。ところが、こういった「社員化要求」が実現した例は無い。政権についた場合でも実現した例は無い。なにがしかの人数の労働者には受ける政策なのかもしれないが、実行されたことがないのである。賃金も然り、職業能力が向上して組織的に能力発揮されない限り、賃金が上昇したことは無い。現時点でパートタイマーの賃上げムードが高まっているが、パートの賃金原資は増えていない。むしろ賃金がより安いパートの求人募集が、いまや大流行・目白押しで、低下傾向にあるのが現実だ。


§肌で感じる経済構造の大転換、消費税増税前に
経済動向は、その方面の職業能力の熟練を積めば、統計数値よりも正確に行き先のリサーチができる。経営管理や総務部門の職業能力センスである。政府その他の統計資料は遅すぎること&税収と政策のための調査であることから、民間個別企業の経営管理に役立つ部分が非常に少ない。経済経営の学術論文においてさえ、都合の良い統計資料を並べているだけの学者もいるわけである。公務員も学者も、それが仕事であるから、所詮は民間個別企業の用をなすわけではない。
今年に入ってから如実に目立つことは、統計数値に出ない、二極分化である。大手マスコミに至っては、この経済や社会の直面した課題を避けて、スキャンダラスな番組に終始している、やはりそこにはスポンサーの宣伝料金激減が影響していると弁解ばかりするものの……。
年初から、小売業では全く物を売れていない。
全体総量として低価格商品しか売れず、野菜にしても値上がりすれば売れていない。高級品は販売好調というが、総量からすれば無に等しい売り上げである。消費税の駆け込み需要といっても低迷している。経営の原則からすれば不況の時は価格を据え置いて内容を増量することでの売り上げ維持が最初の対策第一歩の定石だが、苦肉の策として消費税きっかけに価格据え置きの減量商品も出始めている。
圧倒的多くの資本投入型経営管理の個別企業は、
高度複雑な事業運営を実行できる管理職を育ててこなかったことから、一斉に経費削減の道をひた走っている、社内には直走る人材しか存在せず、アイデアや知恵のある社員がリストラされてしまっているから対処が出来ない。パートタイマーの賃金も経費削減の対象とされており、そのテクニックが知恵?だとの錯覚までおこしている担当者が多い。某有名スーパーは、昨年来から賃金の安いパートタイマーへの切り替えを強行した途端に、地元買い物客とパートとの関係が分断されたことから売り上げ激減をおこしている。店舗立地変化の展開ではなく、それが原因し閉鎖した店舗も存在する。大手スーパー小売業までが合併をすることで、「喉元の熱さ」を解消しようと、後継者のいなくなった中堅・中規模スーパーの買収を進めている。
ところが、「コスト削減?経費節減?」を小手先のテクニック
でやっているものだから、危険極まりないのである。小手先テクニックがコストと経費の削減だと勘違いしている若年齢層管理職が多いのである。そういった場合、ことごとく仕入れ品質低下、需要確保の“し損ない”その他の悪循環に陥っている。上から目線で見れば、活発に営業しているように見えるが、対営業効率の収益性が落ちている。原則は、個別企業にとって収益性(売り上げ)が第一番目の課題である。その結果なくして、残りの経営要素すなわち、生産性、労働意欲、効率の改善の対策はあり無いのである。それが若年齢層管理職には肌で感じることが出来ず、投資損が数字の結果が出てからしか分からないのである。ことに日本の大手や中堅企業は、資本投入型経営のみを唯一の手法だと思っているから、有名どころの大学教授も投資型経営学説を説けば人気が上がるものだから、益々もって若年齢層管理職は資本投入型経営のみの手法に振り回されるのである。結果を弁解しなければならないことでは、経営管理能力ではない。


§商品流通の歴史的な事実
から言えばこうである。……商品経済社会における貧富の二極分化も、こういった事情によるものである。
1.およそ500年前に商品が経済活動に次々と侵入して来た。
2.商品とは、それまでの人間関係の枠を超えて、次々と広まるものである。
3.固有価値を持っていたからこそ、品物も事業も人材も商品となった。
4.税収によって物資を買いあされば、固有価値商品ではなくなる。
5.固有価値商品でなくなった商品は、不毛な廃棄物の運命をたどる。
6.不毛な廃棄物の製造や販売の事業は不良債権を残し潰れていった。
7.そんな事業に寄りかかったとたんに、その人は豊かさから無縁となった。
8.「労働力」のみの交換で、心身共に豊かさから無縁、病に倒れ寿命は縮んだ。
9.固有価値商品を生む労働に職業能力を育んだ人は豊かになった。
 http://netclerk.net/WebShomotsu/archives/149
国家単位の貧富の格差、個別事業単位の貧富の格差、個人単位の貧富の格差、これを是正(格差による弊害解消で経済の解決)するには、いまあげたような歴史的事実に注意する必要がある。歴史的事実を踏まえないで、財政、金融、事業、労働確保を行えば失敗することは明らかである。
そして、こういった商品流通の歴史的事実の中で忘れてはいけないことは、派手で表面的な技巧による商品に喝采を送る人が増え、その見世物のような感情的半製品の動きへの「隷属的顧客」集団が現われ、またそれをマーケットとするものの商品寿命の短い中途半端な事業を繰り返していることに注意することだ。もちろん、不良債権はふくれる。
話が横道にそれるが、日本で商品流通が始まったころの経済原則が、「狂言」となって今も残っている。「狂言」は元から、滑稽さを笑いながら鑑賞するものであり、「能」と同じく観客と一体になることを重要視している、それは一般住民の教育も兼ね備えていたのだ。
賢者はそういった失敗の分かっている事業には近寄らない。ただ集まるのは愚者ばかり、それは現代の流浪の民そのものである。


§固有価値を生む労働に職業能力を育む事例(続報)
賃金価格は、その人物の持つ固有価値労働が、単位労働時間に投入され、固有価値商品に結果する度合いによって、その水準が向上する。
有能な経営管理者、科学技術者、臨床医師、芸術家、プロスポーツ、商社商人(オーガナイザー)といったような、目につく職業に就くことができる人たちは、そのすべてが固有価値商品に水準の高い結果を出している。資格や立場あるいは名乗りを上げるだけでは、全くもって結果は出ない。
………この続きは、3月4日夜の「ジョイフル音楽」開催での商品開発ノウハウ蓄積の都合で、その音楽会の成果を踏まえて1週間程度の期間での、まとめる余裕をいただきたい。日本では音楽の産業化・商品化がきわめて遅れ(商業化を嫌う人も多い)、そこに携わる人は他に比べ貧困化している。その貧困化は経済的にも哲学的にも社会的にも、なのである。他に比べて基本的技能(楽器演奏、歌唱、価格交渉)の教育練習構造が非常に未熟である。そこでこの音楽会で筆者は、この分野での固有価値商品の開発(音楽練習→演奏歌唱加工→「場」の設置・流通・航路)を研究すれば、他産業への波及容易な開発内容が固まると判断したのである。音楽はおよそ、「能動的で知的」部分と、「受動的感情的」部分の2つを含むが、いずれにしても諸外国のように産業として日本では成り立っておらず、「国内は2流しか残っていない!」と揶揄されるほどに、楽器演奏、歌唱の狭い技能(技術ではない)範囲に落ち込んでいるのは否めない。
 http://www.soumubu.jp/image/20140304joyful.jpg
予め、御了承お願いします。

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